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家族信託サイト【新着情報】ページを更新しました! (2022.03.30)

家族信託サイト【新着情報】ページを更新致しました!

 

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家族信託(=民事信託)は、生前対策を考える上で非常に有効な手段として、様々な分野から注目を集めています。

弊社では信託専門サイトの『新着情報』にて、家族信託についての知識や最新の動向について取り上げております。

 

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【『民事信託・家族信託』とは?『遺言』『後見制度』との違い】

今後も家族信託についての最新の情報を随時更新していきますのでご確認ください!

また、ご相談・ご依頼等もお待ちしております!

 

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相続のキホン⑤ ~戸籍の読み方~ (2021.02.10)

相続のキホン⑤

前回より相続の考え方、法律用語などを不定期にお届けしております『相続のキホン』。

今回は、『戸籍の読み方』について取り上げていきたいと思います。

≪目次≫
戸籍の読み方
平成6年式戸籍
②昭和23年式戸籍
③大正4年式戸籍
④明治31年式戸籍
⑤明治19年式戸籍

 

相続手続きでは、相続人を確定させるため戸籍の取得が必要となります。

公正証書遺言がない場合では、状況により亡くなった方の父母の出生まで遡って戸籍を取得する必要がありますが、戸籍の書式は時代とともに変化しており、その戸籍がどの時期(いつからいつまで)のものであるかを読み取ることは容易ではありません

今回は、戸籍について、年式別の種類を説明するとともに、取得した戸籍がどの時期にあたるものかを確認する方法を紹介したいと思います。

 

①平成6年式戸籍

2021年現在の戸籍は、平成6年式戸籍といわれる書式です。

コンピュータ化されている書式で、他の年式が縦書きであるのに対し、横書きの書式となっています。

 

<時期の確認方法>

●戸籍事項(当該戸籍の情報)
当該戸籍がいつからいつまでの戸籍なのかが記録されています。

(最新の戸籍である場合は「いつまで」は書かれていません)

●戸籍に記載されている者

この欄には、戸籍内の人ごとの情報が記載されています。

この欄に「除籍」となっている方の除籍理由が「死亡」となっている場合は、その者にとっての死亡時の戸籍となります

また、「除籍」となっていない場合は、その者にとって最新の戸籍となります

 

②昭和23年式戸籍

昭和23年式戸籍は、平成6年式戸籍と同様に、昭和22年の民法改正に従って作成された書式です。

よって戸籍事項、戸籍にされている人の記載は平成6年式戸籍と同様です。

ただし、コンピュータ化前の書式となっているため縦書きとなっており、数字が「壱」「弐」「参」「拾」といった漢数字となっています。

 

<時期の確認方法>

●本籍欄の右側欄外(横)

本籍欄の右側欄外に「平成六年法務省法令第五十一号附則第二条第一項による改製につき平成〇〇年〇月〇日削除」と記載されていることがあります。

この場合、コンピュータ化により平成6年式戸籍が作成されていることになるので、この戸籍は改製までの戸籍(改製原戸籍)として扱うことになります。

●戸籍事項(当該戸籍の情報)

本籍欄の左側が戸籍事項です。当該戸籍がいつ編製され、いつまでの戸籍であるかが記載されています。

ただし、上述の通り、コンピュータ化に伴い削除されている場合、当該戸籍の終わりは欄外に記載されています。

●戸籍内の者ごとの情報

戸籍事項につづいて左側に、戸籍内の人ごとの情報が記載されています。

「昭和〇〇年〇月〇日□□で出生父△△届出同日受附入籍」「平成〇年〇月〇日△と婚姻届出同月〇日□□市長から送付同区△に夫の死の新戸籍編製につき削除」(例)といった形で記載されています。

 

③大正4年式戸籍

大正4年式戸籍は、比較的記載内容が多い戸籍です。

まず、それまでの「家制度」により、孫など三代以上の者も記載されている場合があります。

また、戸籍作成時にそれまであった戸籍の記載事項をすべて記載していたため、編製事由(当該戸籍の期間を示す記載。「〇年〇月〇日〇〇改製」等と記載)が複数ある場合があります。

編製事由が複数記載されていた場合は、最も現在に近いものが、当該戸籍のはじまりとなります。

 

<時期の確認方法>

●戸主の事項(当該戸籍の情報)

通常本籍のすぐ左側に戸主の事項が記載されています。ここには戸主の事項だけでなく当該戸籍の情報も記載されています

当該戸籍がいつからいつまでの戸籍なのかはこの欄に記載されています。

●戸籍内の者の事項

戸主の事項につづいて左側に、戸籍内の者ごとの情報が記載されています。

「本籍に於て出生父△届出昭和〇〇年〇月〇日受付入籍」「△と婚姻夫の氏を称する旨昭和〇〇年〇月〇日受附□□に新戸籍編製につき削除」(例)といった形で記載されています。

 

④明治31年式戸籍

明治31年式戸籍は、「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」という欄があることが特徴です。

1枚目の表には2人、裏には3人、2枚目以降は、すべて3人ずつ記載できるような様式になってます。

 

<時期の確認方法>

●戸主ト為リタル原因及ヒ年月日(当該戸籍の情報)

一枚目に「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」という欄があり、「父△死亡に因り大正〇年〇月〇日戸主と為る同日届出同日受附」(例)といった形で記載されています。

この日付が当該戸籍のはじまりとなることが多いです。

●戸主を含む戸籍内の者の事項

本籍の左側に、戸主から順に戸籍内の者の事項が記載されています。

当該戸籍の終わりは戸主の事項に「□□に転籍届出大正〇年〇月〇日〇〇市長受附同月〇日送付全戸除籍」(例)といった形で記載されています。

 

⑤明治19年式戸籍

明治19年式戸籍は、2021年現在閲覧可能な最古の年式となります。

この戸籍には一部空白がありますが、これは「族称欄」と呼ばれる「士族」「平民」といった記載があった場所ですが、身分差別廃止の観点から現在では白く塗られており、白く塗られている部分の記載が読み取れなくても問題はありません

 

<時期の確認方法>

●戸主の事項(当該戸籍の情報)

本籍の左側に、戸主の事項が記載されています。

戸主の事項内に、当該戸籍がいつまでの戸籍なのかは記載されていますが、いつからの戸籍となるかは記載されていない場合があります。

●戸籍内の者の事項

戸主の事項から順に戸籍内の者の事項が記載されています。

それぞれの者にとっていつまでの戸籍となるかが記載されています。

 

コンピュータ化以前の内容は手書きで書かれており、記載内容が判読しにくいものもあります。

また、記載内容を正しく読み取って対応しないと、思わぬトラブルになる可能性があります。

必要な戸籍の代理取得を含め、ご検討の方は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまで、お気軽にご相談下さい。

 

 

お気軽にご相談ください。

遺産分割の優先順位 (2020.12.01)

 

 

 

 

≪目次≫
遺産分割の優先順位
1.現物分割
2.代償分割
3.換価分割
4.共有

以前のトピックスにて遺産分割の方法について取り上げました。

⇒【遺産分割の方法】

この中でいくつかの分割方法をご紹介いたしましたが、分割方法にも優先順位があるのをご存知でしょうか?

遺産分割審判(裁判)となった場合、裁判官が選択する遺産分割方法の順番があります

今回は遺産の分割方法の優先順位についてご説明いたしましす。

 

第1順位:現物分割

通常遺産分割をする際、現物分割が最優先となります。

財産をそのまま(現物)分割するので預貯金や現金などの分割に向いています。

財産の形状や性質を変更することなくそのものを分割する方法です

 

第2順位:代償分割

例えば分割対象に実家等の不動産があった場合、持分割合によって実際に建物や土地を分けるというのは現実的ではありません。

このように現物分割が不可能な場合、次に代償分割を検討します。

一人の相続人が財産を取得し、他の相続人に代償金として支払う方法です

ここで注意したいのが、遺産分割協議書で代償分割の記載がないと贈与とみなされ、贈与税を課税されることがあるので注意が必要です。

 

第3順位:換価分割

3番目の分割方法として換価分割が挙げられます。

法定相続分通りに遺産分割しようとした時、不動産の価格によっては相続分がかなりの価格となり、代償分割で代償金を支払うのが困難なこともあります。

このような時に、財産を売るなどして金銭に換えて(換価)分割する方法です

不動産がある場合に行うことが多いですが、有価証券にも利用できます

現金化することになるので、公平性を重視する場合にも採用されやすい方法と言えます

 

第4順位:共有

最後の共有は、できれば避けたい方法です。

1つの財産を複数の相続人で持ち分を決めて持ち合う方法となります。

例えば、別荘は皆で使って維持費は折半する、という方法になります。

共有のメリットは、財産をそのまま皆に残せるため公平感がある、ということです。

収益物件なら持ち分に応じて利益を受け取る権利も取得できるため分配が楽である、という面もあります

共有のデメリットは、財産を個人で自由に変更したり処分したりすることができなくなる、ということです

また共有者に相続が起こると権利関係が複雑になる、という面もあります。

既に売却が予定されている空き家がある場合等に選択する方法と言えるでしょう。

共有分割した場合には早期に解消する方向で遺産分割をすることが望ましいです

 


遺産の分割方法は、それぞれのケースにあわせて考える必要があります。

安易に共有してしまうと将来的に禍根をのこしてしまう場合もありますので、遺産の分割にお悩みの方は、是非一度、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまでお気軽にご相談ください。

 

お気軽にご相談ください。

相続のキホン③ ~失踪宣告とは~ (2020.11.12)

相続のキホン③~失踪宣告とは~

 

 

 

≪目次≫
1.『失踪宣告』とは?
1-1.普通失踪
1-2.特別失踪
2.失踪宣告の申立人
3.申立先
4.必要書類

 

前回より相続の考え方、法律用語などを不定期にお届けしております『相続のキホン』。

今回は、『失踪宣告』について取り上げていきたいと思います。

 

1.『失踪宣告』とは?

行方不明者の生死不明の状況が一定期間継続したとき、その者を死亡したとみなす制度です。

これまでのトピックスで、遺言書がない限り、原則、遺産分割協議には相続人全員の実印と署名が必要となる旨についてはお話してきました。

この原則を忠実に履行しようとすると、困った事態に遭遇してしまうケースがあります。

例えばある家庭で相続が発生したとき、相続人の一人が10年以上前から音信不通であったとします。

所在を探ろうにも戸籍や住民票は当時の現住所のままで、実際にどこに住んでいるか分からず消息不明であったとすれば、その相続手続きはそれ以上先に進めない事になってしまい、他の相続人にとって大変な弊害が生じてしまいますよね。

 

 

そこで法律では、一定の要件を満たしたときに限り、その行方不明者を死亡したものとみなす制度=『失踪宣告』を設けました。

失踪宣告によって行方不明者は死亡したとみなされますのでそれによって相続が開始されます

失踪には普通失踪特別失踪の2種類に分かれており、それぞれ死亡したとみなされる時期が異なるため、相続開始時期が異なってきます

 

1-1.普通失踪

行方不明者の生死が7年間不明であるとき、利害関係人の申立によって家庭裁判所は失踪宣言をすることができます。

普通失踪の場合、失踪(行方不明になって)から7年が経過したときに死亡したとみなされ、その日が相続開始日となります

 

1-2.特別失踪

特別失踪は震災戦争船舶の沈没などによって生死不明となった者が対象とされます。

特別失踪は、危難が去ってから1年間生死不明の場合に、利害関係人の申立によって家庭裁判所が失踪宣告をすることができます

特別失踪の場合、危難が去ったときに死亡したとみなされ、その日が相続開始日となります。

 

2.失踪宣告の申立人

失踪宣告は利害関係人が申し立てることができます。

利害関係人とは不在者の配偶者相続人にあたる者財産管理人受遺者などの失踪宣告を求める法律上の利害を有する者をいいます。

 

3.申立先

不在者の従来の住所地又は居所地の家庭裁判所に対して申立を行います。

 

4.必要書類

 

①申立書

②標準的な添付書類
・不在者の戸籍謄本
・不在者の戸籍附票
・失踪を証する資料
※警察署長が発行する家出人届出受理証明書、返送された不在者あての手紙など
・申立人の利害関係を証する資料
※親族であれば戸籍謄本など

 

 


当法人では、相続に関する制度について何もご存知でなくても、ご相談時より一から丁寧にご説明させて頂きまして、書類の収集代理・提出書類の記入代理も致します。

また失踪宣告によって相続が開始しますので、その後の相続手続きまで一連のお手伝いを包括的にご対応することも可能です。

お困りの方は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズにお気軽にご相談下さい。

 

 

お気軽にご相談ください。

遺言書に記載すべき特記事項 (2020.10.27)

遺言書に記載すべき特記事項

 

 

 

≪目次≫

1.遺言執行者の指定

2.予備的遺言(補充遺言)

3.相続させる文言への読みかえ規定

4.負担

5.付言事項

これまでのトピックスで、遺言に関わるトピックスを多数掲載してきました。

⇒遺言に関するトピックスはこちら

今回は、遺言(自筆証書・公正証書共通)に入れた方が良い文言をご紹介したいと思います。

 

相続人に相続させる、または、相続人以外であれば遺贈するとの文言を使い、誰にどの財産をあげたいかを特定すれば、それで立派な遺言が完成します。

しかし、相続専門の司法書士であれば、実際の手続きを想定して以下のような文言を入れるべきか検討し、提案をしていきます。

それでは、1から順に見ていきましょう。

 

1.遺言執行者の指定

銀行預金の解約等で、遺言執行者を指定しておいた方が、確実に手続きがスムーズに進みます。

実務的な話ですが、銀行は遺言があっても、相続人同士のトラブルに巻き込まれることを恐れます。が、この遺言執行者が指定されており、当該遺言執行者が預金解約の手続きをすると、難なく審査をパスすることが多いと言えます。

また、不動産の名義変更に論点を絞っても、この遺言執行者が登場するだけで、手続きは簡易に進みます。

 

2.予備的遺言(補充遺言)

例えば、父が長男に全ての財産を相続させる遺言を残したとしましょう。

ところが、父がなくなる前にその長男が死亡。長男には子が二人います。

長男の子二人は遺言にしたがって、遺言者の長男が相続すべき財産を承継取得するでしょうか?

答えは、、、

NOです。

 

この場合、長男の子は当然に代襲相続するわけではなく、遺言は無効となってしまいます。

長男の子は代襲相続人とはなりますが、他の法定相続人との遺産分割協議がまとまらない限り、遺言内容どおりの全ての財産を相続する事は出来ません

このような事態に備え、相続専門の司法書士であれば、遺言の内容を以下のように工夫します。

『遺言者の財産全てを長男に相続させる。もし、長男が遺言者の死亡以前に死亡した場合は、長男の子であるABに均等割合にて相続させる。』

上記の『もし~』以降の部分が、予備的遺言補充遺言と言われる文言です。

もちろん、遺言者のご意志が一番重要なので、この文言を入れるか否かは遺言者と一緒に検討していく必要があります。

 

3.相続させる文言への読みかえ規定

こちらは特に不動産の名義変更に直結した文言と言えますが、例えば、遺言者が孫にA不動産を遺贈するとの遺言を残したとします。

遺言者には孫の上の世代に長男がいましたが、孫が可愛すぎて上記のような遺言を残したと仮定して下さい。

孫は上の世代がいる以上、相続人とはなり得ないので遺贈との文言を用いることになります。

相続させるでも遺言でも同じ意味ですが、いざ手続きとなると全く変わってしまいます。

相続人へ相続させる』文言であれば、他の相続人の協力なくして不動産の名義変更が出来ますが、遺贈という文言が使われている以上、遺言執行者が指定されていない限り、不動産の名義変更には相続人全員の実印と印鑑証明書が必要となります

では、上記の事例で孫が不動産の名義を遺言によって変更する際、孫の父(遺言者の長男)が死亡して、相続人の地位を得ているとしたら、とうなるでしょう?

この場合、

『もし遺言の効力発生時に、受遺者◯◯が相続人の地位を得ていた場合、『遺贈する」の文言を「相続させる」と読み換えるものとする。』

といったように、『相続させる』文言への読みかえ規定が明記されていれば、他の相続人の協力を得ることなく単独で登記申請をする事が出来ます

逆にこの文言が無い事で、他の相続人全員の協力を仰がなければならない、といった事態も、手続きを想定して遺言を書いていない事で起こり得ます。

 

4.負担

皆様は負担ときいて何を連想しますか?

例えば、「会社内で自分にばかり重い仕事が降りかかってきて、負担に感じるなあ。」など、このようなときに使われている気がします。

負担とは、法律上は、法律行為の附款と定義されており、いわば条件のようなものです。
(遺言に条件という文言を入れると、実務上、遺言執行がかなり煩雑になるので、この負担という文言を用います。)

もう少し具体的に言えば、『この財産をあげる代わりにこういったことをしてほしい』、という時に使っていきます。

実務上、遺言の中で多く使われるケースは、

一.全ての財産を長男に相続させる
二.前項の負担として、長男は遺言者の妻◯◯の一生涯、介護扶養をしなければならない

といった表現です。

実際にそのようにして欲しいからという場合もありますが、何の負担もなしに全ての財産を長男に相続させると、後々に二男たちと遺留分争いになる可能性がある時などに、わざわざ上記の文言を入れたりします
(もちろんケースバイケースではありますが)

 

家督相続で全て長男が遺産を相続していた旧民法時代は、この負担が当然に盛り込まれていたと解されており、権利を引き継ぐものが義務も引き受け、一族の大黒柱として遺産を承継できなかった弟たちの面倒を見るのが通常でした。

その為、遺産相続で争いに発展したことはないと言われています。

権利は主張出来るが義務は履行しない、という現代の遺産相続においては、遺言を作る際、上記の負担を本文に入れておくのも一つの対策と言えます。

万が一、遺産を承継する者が負担を履行しない場合他の相続人から家庭裁判所に請求をして遺言を取り消すことができる強力な義務なので、遺言を遺す方にも安心と言えるでしょう

 

5.付言事項

付言事項とは、遺言の本文以外の部分に載せるメッセージのことをいいます。

遺言本文には法的効力があるものを記載していくのですが、この付言事項には法的効力がありません

しかし、遺言者の相続人へ宛てた最後のメッセージとして、下記のようなことを記しておけば、無用な争いを防ぐ効果があります

 

「二男◯◯には生前に自宅購入代金として、1000万円贈与しているので、今般の相続では長男に全てを相続させることとしました。
長男◯◯も二男◯◯も私の宝物でした。
今でも長男◯◯、二男◯◯が生まれた時のことを覚えています。
ですので、私亡き後は兄弟で争いをしてほしくありません。
父の最後の遺志をくみ取り、遺言通りに手続きをしてもらえることを願っております。」

 

日本人は面と向かって意思表示をすることが非常に苦手と言われております。

遺言でこういったメッセージを残すことで、もしかしたら争いを防ぐことができるかもしれません。

また万が一、遺言無効確認の訴えに事が発展した場合にも、遺言を作るに至った経緯やその時の背景事情を記しておけば、遺言者の真意がどこにあるか等、遺言作成当時の有力な事実を推測することに役立つと言えます

 


いかがでしょうか?

当法人では、何故遺言を書くのか、その方の置かれた背景事情や家族関係、遺留分のこと等を踏まえ、オーダーメイド型の遺言文案を提案することを心がけています。

相続対策でお悩みの方は是非一度、目黒区学芸大学駅、渋谷区マークシティの司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまで、お気軽にご相談下さい。

 

 

お気軽にご相談ください。

相続のキホン② ~遺産分割協議とは~ (2020.10.20)

 

 

 

 

前回より相続の考え方、法律用語などを不定期にお届けしております『相続のキホン』。

今回は、『遺産分割協議』について取り上げていきたいと思います。

『遺産分割協議』とは?

ご家族・ご親族のうちで相続が発生した際、亡くなった方(被相続人)の法定相続人を確定財産調査を終えた後、誰がどの遺産を相続するか、遺産の分け方を決めなければなりません。

これを「遺産分割」と言い、相続人全員が参加して遺産の分け方を決める話し合いを「遺産分割協議」と言います。

民法では、相続人の順位によって法定相続分が定められていますが、相続人全員が合意すれば、民法で決められた法定相続分と異なる分け方をすることもできます

遺言がなく、相続人が2人以上いる場合、その他に相続分譲渡証明書特別受益証明書が無い限り、必ずこの協議が必要となります。

法定相続通りに分ける場合でも、どの財産を誰が引き継ぐかを具体的に決める必要があります。

こうした分割協議において、最終的に合意に至った内容を書面に取りまとめた文書=「遺産分割協議書」を作成し、登記預貯金の解約税務申告等に用います。

 

 

いつどこで必要になるもの?

遺産分割協議書作成の期限は特に決まっていませんが、相続税がかかる場合は、相続税の申告に間に合うよう10ヶ月以内に行う事が通常です。
(実際には相続税申告の手続書類に相応の時間がかかりますので、申告期限の3ヶ月程前には遺産分割を終えておく方が良いでしょう。)

また、相続税がかからない場合でも、相続関係が複雑にならないように、早めに遺産分割協議書を作成する事をお勧めします。

相続人全員で署名実印で押印し、相続人の人数分作成して各自で保管します。

相続登記や銀行預金の名義変更などで、この協議書と印鑑証明書を併せて提出します。

 

 

分割方法

分割方法には現物分割・代償分割・換価分割・共有分割の4つの方法がありますが、今回は最もオーソドックスな現物分割をした場合の遺産分割協議書の書き方をご紹介します。

現物分割とは、例えば、不動産は配偶者へ、預貯金は子供全員に均等に、といった具合に、遺産を分割する方法を言います。

書き方として、金融資産は金融機関名・支店名・口座番号等、出来るだけ特定する事をお勧めします。

 

●不動産

市役所や都税事務所から届いた固定資産税の通知書に、土地の地番や建物の家屋番号が記載されているので、その地番等を基に法務局にて登記簿謄本を取得できます。

但し、固定資産税の通知書にも記載されていない場合もありますのでご注意ください。

権利証の確認等で、非課税の私道部分の登記漏れを防ぐ為にも、念のため司法書士に助言を受けた方がよいでしょう。

 

●預貯金

預貯金の金額は、遺産分割協議書に記載してもしなくても、どちらでも構いません。

誰がどの銀行のどの口座を相続するか具体的に記載します。

 

戸籍上相続人であると判明しているのに、一部の相続人を除いて遺産分割協議書が作成された場合や、相続人ではない人が加わっていた場合など、協議書自体の有効性が争われるケースがあります。

作成について不安が残る方は、是非一度当法人までお気軽にお問合せください。

 

 

お気軽にご相談ください。

相続預金を使ったファイナンシャルプランニング (2020.08.27)

相続預金を使ったファイナンシャルプランニング

 

 

≪目次≫

1.相続時におけるファイナンシャルプランニング

2.相続人の意向を組んだスキーム実例

以前のトピックスで、相続と生命保険・遺留分と生命保険を取り上げました。

【遺産相続と生命保険の関係性】

【生命保険金が貰えない?保険を組む際の注意点】

【生命保険金の受給権の行方】

【遺留分と生命保険】

今回のトピックスでは、相続財産である預貯金原資を使ったファイナンシャルプランニングをテーマに取り上げてみたいと思います。

1.相続時におけるファイナンシャルプランニング

相続で預貯金を取得する際、その額が数千万円、時には1憶円を超える場合もあります。

相続する預貯金が数千万円ある場合、そのお金の使い道が分からないと言ったご相談を受けることが良くあります。

実際に、当法人のファイナンシャルプランナーの資格を有する司法書士が提案した事例を基に、そのスキームの一例をご紹介致します。

 

下記の相続関係をご覧ください。

相続関係と遺産を基本情報として、相談が開始し、当初は亡くなった母の生前の意思を組んで、長男・二男で遺産を2分の1ずつ取得する方向で話が進んでいきました。

ところが、電話や面談を重ねる内に、このご家庭に長年潜んでいたある悩みが、当法人の司法書士に、二男様から打ち明けられます。

 

『先生、先生に紹介して頂いた税理士の先生から、自宅は兄が取得することで小規模宅地の特例を使い、評価額を8割圧縮し、残った預金を私が少し多めに取得することで兄と結果的に2分の1ずつ遺産分割をすることは理解できました。

しかし、兄は定職についておらず、金銭面で不安がある為、将来4~5年後には相続した自宅を売却しかねません。

また、兄は浪費癖が酷く、週末になると朝まで飲み歩き、高級クラブから毎月数十万円の請求が来ると言った始末で、生前はそれを母が払っていたんです。

見かねた母は私に相談し、自分が死んで相続が発生したら、遺産は折半してもらいたいが、兄の財産の管理は私にするようにときつく言われております。

また、自宅は売却等はせずに守ってほしいとの意向も聞いています。

兄は結婚しておりませんが、もしかしたら単純な兄のことなので、お金を持つとクラブ等で悪い相手に騙される恐れも危惧しております。

どのように進めるのが一番良いでしょうか?』

2.相続人の意向を組んだスキーム実例

この事案において、二男様には、相続税を節税することよりも、兄の財産管理と兄が取得した遺産を散財させたくないと言った意図があり、遺産分割に、兄の相続後のファイナンシャルプランニングと財産管理を含めて提案しなければなりません。

通常の司法書士業務の範囲でもないので、周辺知識の浅い司法書士ならお手上げ、といったようなご相談です。

なお、長男様には、遺産分割のことは全て弟に任せるが、キャッシュで3000万円程は受け取りたい。

自宅には拘りが無いので、近いうちに引っ越しをする予定との意図がありました。

そこで、当法人の司法書士が、遺産分割及び長男様のファイナンシャルプラン、財産管理を念頭に下記のスキームを提案しました。

(ご意向を優先し相続税のことは度外視し、当事者と被相続人の意図を最大限組んだスキームとなっております)

 

①自宅不動産は二男が取得

(念のため、長男が引っ越しをするまでは、自宅の使用収益を認める旨の使用貸借契約書を締結しておく)

 

②相続預金1憶円相当を長男が取得

 

③上記②の内、7000万円相当は年金保険として保険に組み替え

65歳から月々数十万円の定額給付が終身ででるようにしておきます。

また、保険契約者を長男にしてしまうと、いつでも解約することが出来るため、

保険契約者=二男、被保険者=長男、受取人=長男、保険料負担者=長男との契約形態を提案いたしました。

 

④家族信託の提案

最後に②の内の3000万円は、委託者=長男、受託者=二男、受益者=長男、残余財産の帰属権利者を二男とする民事信託契約(通称で家族信託と言われているものです。)を提案いたしました。

詳細としては、信託契約後、初年度及び二年目までは受託者から受益者に1000万円を限度に、受益者が求める金銭を受託者が月々又は一括にて給付し、3年目以後は月30万円を限度に定額給付する旨の契約内容です

 

③及び④について、全てを民事信託契約で二男様が長男様の財産管理をすることも検討しましたが、額が額だけに、長男様から異論を唱えられる可能性があります。

委託者と受託者の年齢が近い為先に受託者が死亡してしまうことも懸念し、死亡のリスクのない保険会社に大部分の金銭を預けることを提案しました。

また、金銭で管理しておくよりも、終身年金保険に組み替えておいた方が、将来受け取れる額が大幅に増えるメリットを考え、上記の提案に結びつきました

 

相続手続きを終え、上記の財産管理及びファイナンシャルプランニングを提案通り実行し、

長男様は『一気に浪費してしまうリスクが回避できた。』

二男様は『兄の浪費をこのスキームで回避が出来、兄の老後の資金計画もでき、将来の兄の生活に支障が出ないことに安心した。また、なにより、母が生前考えていた意志を実現出来た。』

と大変ご満足いただけました。

この案件では、提携している保険会社の助言等も多く頂きましたが、かなり難易度の高い提案をすることにより、結果的に満足していただける結果となった事案で、思い出深い事案です。

 


いかがでしたでしょうか。

当法人では、相続手続きを受ける際、相続専門の司法書士が専任担当致します。

相続手続きは、各ご家庭が抱える悩みが全然違っており、税務の知識や財産管理、時には今回のようなファイナンシャルプランニングも必要なケースも出てきます。

ただ単純に自宅の名義を変えるだけ・預金の解約をするだけの業務ではなく、付加価値を付けてサービス提供していきます。

お悩みの方は、目黒区学芸大学駅、渋谷区マークシティの司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまで、是非お気軽にご相談下さい。

 

 

お気軽にご相談ください。

遺留分の放棄② (2020.08.06)

遺留分の放棄②

 

 

 

前回のトピックスで、相続発生後の遺留分の放棄について取り上げました。

⇒【遺留分の放棄①】

今回のトピックスでは、相続開始前の遺留分の放棄をテーマにお話をさせて頂きます。

 

相続発生前でも遺留分放棄はできる?

被相続人が亡くなる前の遺留分の放棄は家庭裁判所の許可が必要となり、遺留分を放棄する方が家庭裁判所に申立をして手続きをする必要があります

被相続人が亡くなった後の遺留分の放棄と比べて、手続きのレベルは格段に上がり、思うような結果が得られないことも少なくありません。

この、被相続人が健在中の遺留分の放棄は、限定承認の手続きと並び、相続手続きの中で極めて難易度が高い手続きと言っても過言ではないでしょう

それでは、当法人の相続チームの司法書士が、実際に手続きをした事例を基に手続きの概要を見ていきましょう。

下記の相続関係を参照してください。


上記の相続関係において、遺言者A様は、『生前にX土地を長女C様に生前贈与をし、自分の亡き後は自宅を長男B様に相続をさせたい。』と考え、

●自宅を長男Bに相続させる旨の遺言を書きたい

●長女Cには今すぐ贈与登記を実行したい

と、当法人の司法書士に相談を持ち掛けました。

 

この相談を受け、当法人の司法書士は、

●生前にX土地を長女Cに贈与すると、多額の贈与税及び登記費用、不動産取得税がかかる

相続開始時において、長女Cから長男Bに対して遺留分侵害額請求権の行使をされる恐れがある
※長女Cが生前贈与を受けていれば、特別受益を主張して遺留分請求に対抗できる余地はある

 

上記を懸念して、遺言内容を『自宅は長男B、X土地は長女C』との、遺留分を確保した遺言作成を提案しました。

しかし、遺言者A様は自己の相続開始後、遺言内容が実現出来るとも限らず、将来長男長女の関係がどうなるかも分からないことから、

『生前に長女Cに遺留分相当額を確保した贈与をする代わりに、自分の死後に長男Bが自宅相続する事について、一切異論を唱えてほしくない。』

という強い願望があり、どうしても上記のスキームで手続きをしてほしいととの事でした。

 

そこで改めて、当法人の司法書士は下記の内容を提案しました。

①長男Bに自宅を相続させる旨の遺言を書く

②長女Cに生前贈与としてX土地を贈与する
(但し、贈与税率に比べ相続税率が安くなることから、相続時精算課税制度の選択2500万円までは贈与税が非課税になる)

③遺言者Aが生前中に、長女Cに遺留分放棄の許可審判を家庭裁判所に申立てもらう

 

上記の内、③が今回のテーマであり、手続きに非常に苦慮しました。

なぜなら、遺言者生前の遺留分放棄は、前述のとおり家庭裁判所の許可が必要であり、この許可は各家庭裁判所の裁判官の裁量が大きく影響し、一定の基準はありますが、画一的な許可基準がないからです

一定の基準としては、下記の基準があります。

①遺留分放棄者の自由意思による申立であること
②遺留分放棄に合理性・必要性があること
③生前贈与等の代償性があること

 

上記の許可基準で、最も重要視されるのは①の自由意思に基づく申立です。

なぜなら、本来遺留分とは、遺言によっても侵害出来ない、法律で認められた最低限の相続分であり、遺言者の圧力でその遺留分を失ってしまうという、不合理な結果を避けるためだからです

幸い、今回のケースでは、遺留分4分の1相当のX土地の生前贈与があり、贈与税の申告書を申立に添付した上、長女C様も遺留分請求に関しては全くといっていいほど興味を示していなかった為、申立書に自由意思であることを存分にアピールしていく事が出来ました。

自由意思による申立であることの間接証拠として、見返りとして既に生前贈与を受けている等の事情を細かく審理され、実際の許可審判がなされます。

したがって、単に遺留分を事前に放棄しておきたいからとか、結婚の許可を親からもらう為に遺留分を放棄するとか言った事情で、遺留分の放棄が認められることはまずない、と言って過言ではありません。


いかがでしたでしょうか。

遺言者の生前中に遺留分の放棄の許可審判の申立などは、相続専門の司法書士又は相続専門の弁護士に相談をされることをお薦め致します。

当法人では、1000件近くの相続手続きを手掛けてきた相続専門の司法書士が在籍する相続専門チームがあり、このような特殊な事例にも対応することが可能です。

お悩みの方は、目黒区学芸大学駅、渋谷区マークシティの司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまで、是非一度お気軽にご相談下さい。

 

 

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遺留分の放棄① (2020.08.04)

 

 

以前のトピックスで、遺言と遺留分に関するトピックスをいくつか上げさせて頂きました。

≪遺留分に関するトピックス≫
⇒【遺言書と遺留分請求】
⇒【遺留分制度の見直し】
⇒【遺留分と生命保険】

今回は、実際に当法人の司法書士が相談を受け、扱った特殊な事例として、遺留分の放棄をテーマにお話をさせて頂きたいと思います。

 

そもそも遺留分とは

まず遺留分とは、法定相続分とは別個の権利で、一部の相続人(相続人が兄弟姉妹・甥姪には遺留分は認められない)にのみ認められた、最低限保障されるべき相続分のことをいいます

従って、被相続人が遺言や家族信託を組成する中で、特定の相続人のみに遺産を承継させたりする場合(他の相続人の取り分が一切ない場合)に問題になります。

通常、遺留分は相続人が直系卑属(子・孫)であれば法定相続分の2分の1は保障されます。

また、相続人が直系尊属(親・祖父母)のみである場合は3分の1が保障されます。

遺留分放棄のやり方には、被相続人の生前中にするものと、被相続人の死後にするものに分けられますが、今回は、被相続人死亡後の遺留分放棄についてご説明します。

 

 

相続発生後の遺留分放棄の実例

下記の相続関係において、被相続人A様が遺産の全てを長男B様に相続させると遺言を残して死亡しました。

長男B様は、被相続人A様が書いた自筆証書遺言を片手に当法人の司法書士に相続手続きを依頼。

長男B様は、長女C様に4分の1(法定相続分2分の1の2分の1)の遺留分が発生することを知っており、どうすれば一番良いだろうか、と相談をされました。

被相続人の死亡後の遺留分の放棄の手続きには、法律上特に決まった要式行為(公正証書や裁判所への申立でするなど)を求められておらず、受遺者等への意思表示のみで足りるとされています。

この意思表示は口頭でも足りますが、実務上は、後日言った言わないのトラブルになったり、気が変わったりした時など、遺留分請求された場合に対抗する措置として、きっちりと書面に残して証拠保全をしておいた方が良いでしょう

上記の事実関係及び法律効果を熟考した末、長男B様に下記の方法をご提案しました。

 

①長女C様に対して遺留分の放棄の意思確認をすること
②長女C様に相続放棄手続きをしてもらうこと

但し、②の相続放棄手続きは、ある程度長女C様側で裁判所に申し立てをしてもらい一定のやりとりを裁判所としなければならない点や、相続放棄の審査が終了するまでの間(通常1か月)は申立を取り下げることができる点(手続き終了後は撤回は出来ません…民法919条1項)等のデメリットを説明しました。

相続放棄申立中に、万が一、長女C様の気が変わり申立を取り下げられると、話の流れは大きく変わります。

 

最終的に長男B様は、上記提案のうち、①の「遺留分放棄の意思表示を長女C様にしてもらうこと」を決定されたので、後日、当法人の司法書士が長女C様に、相続についての意向確認の手紙を送り、コンタクトを取りました。

結果、長男B様と長女C様の話し合いの末、長女C様は被相続人との関係性が疎遠であったこと、及び長男B様が献身的に被相続人の介護をしていた事実を受け、遺言の内容及び遺留分の一切を放棄するとの意思表示を確認出来たため、話し合いの当日、当法人で作成した遺留分放棄証書に実印を頂戴し、証拠保全を完了しました

最終的には、遺言の検認手続き及び遺言通りの相続手続きを完了し、加えて遺留分権利者からの遺留分請求への対抗措置を準備することができ、長男B様は安堵の表情を浮かべておりました。


いかがでしたでしょうか。

実は相続発生前でも遺留分の放棄をすることができますが、それについては【遺留分の放棄②】にて取り上げておりますので、こちらも併せてご覧ください。

相続手続きには、それぞれのご家庭に違った悩みがあり、一件一件問題解決の方法が違います。

当法人には、様々な問題解決をしてきた相続専門の司法書士が在籍しております。

今回取り上げたような、遺留分放棄等滅多に関わらない案件にも積極的にトライして解決に導いていきます。

是非一度、目黒区学芸大学駅、渋谷区マークシティの司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまで、お気軽にご相談下さい。

 

 

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特別寄与料について (2020.07.07)

特別寄与料について

 

 

 

≪目次≫
1.特別寄与とは?
2.特別寄与料を請求できるのは?
3.誰に請求できるのか?
4.特別寄与料はどのように決定するのか?
5.いつまで請求することができるのか?

 

1.特別寄与とは?

寄与分とは、亡くなった方の財産の維持または増加について特別に貢献した相続人は、その分法律に定められた相続分(法定相続分)より多くの財産を取得することができる』という制度です。

この制度は、相続人が複数いる場合の、相続人間の不平等を是正するために設けられました。

例えば親の家業に従事して親の財産を増やした人や、病気の親を介護して財産の減少防止に貢献した人がいる場合に、法定相続分より多くの財産を取得できるという制度です。

但し、これまで、寄与分を受けられるのは相続人に限られまていました。

つまり、例えば亡くなった方の息子の嫁が生前に看護していたとしても、寄与分を主張することはできなかったのです

これでは相続人以外が特別の寄与をしても報われないことになってしまいます。

そこで相続法が改正され、2019年7月1日以降に開始した相続については、相続人以外でも特別寄与料を請求することができるように条件が緩和されました

 

2.特別寄与料を請求できるのは?

特別寄与料を請求できるのは、

亡くなった方に対して無償で療養看護その他の労務の提供したことにより、

亡くなった方の財産の維持または増加について特別の寄与をした、

亡くなった方の親族

が対象となります。

 

①無償で療養看護その他の労務を提供

先に例で挙げた、亡くなった方の息子の嫁が無償で介護してきた場合などが該当します。但し、介護の際に対価として金銭などを受け取っている場合には、特別寄与料を受け取ることはできません

 

②財産の維持または増加に貢献したこと

例えば亡くなった方の療養看護することによって訪問看護等のサービスを利用せずに済めば、その分財産の減少を防止したといえるでしょう。

 

③亡くなった方の親族であること

親族とは、6親等内の血族、3親等内の姻族、配偶者の範囲に属するものをいいます。

 

3.誰に請求できるのか?

特別寄与料は亡くなった方の相続人に対して請求することができます。

相続人が複数いる場合には、その相続人の相続分に応じて請求をすることができます。

特別寄与料が100万円あり、各相続人の相続分がAさんは2分の1、Bさんは4分の1、Cさんは4分の1であるとします。

この場合、Aに対しては100万円の2分の1である50万円を、BとCに対しては100万円の4分の1である25万円をそれぞれ請求することができます。

 

4.特別寄与料はどのように決定するのか?

特別寄与料は特別寄与者と相続人との協議によって決まります

協議によって決まらない場合は、家庭裁判所に協議に変わる審判を請求することができます。

その場合、家庭裁判所は、寄与の時期、方法、程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して特別寄与料を定めることができる、とされています。

特別寄与料を認めてもらうには、介護をした証拠を残しておくことも重要です。

「◯月▲日、8時から17時まで~のようなお世話をした。」

といった詳細な介護日誌を付けておくと認められやすくなります。

個人的な生活の記録を記した手帳や日記でも、介護の様子をメモしておくことで証拠に成り得ます。

 

5.いつまで請求することができるのか?

前述の特別寄与料を請求する場合には、

・特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から六ヶ月を経過したとき
又は
・相続開始の時から一年を経過したとき

までとなっています。

 

これは、特別寄与請求権者は療養看護等していることから、比較的容易に被相続人の死亡を知ることが出来る場合が多いと考えられ、また、金銭の支払請求を受ける可能性がある相続人の立場を考慮すれば、できるだけ早期に法律関係を確定させる必要があるとの考えから上記の期間制限が設けられました。

 

相続が発生してから六ヶ月、一年という期間は、思いの外あっという間に過ぎてしまいます。

直接的な相続人ではないが療養看護等を通して被相続人の財産の維持増加に寄与した、と考える親族の方は、出来るだけ早めに各相続人に対して、特別寄与料を請求又はお早めに協議をすることをお勧めします。

 

 

 

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