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民法を知らない税理士の話 ~遺留分対策と生前贈与に関する知識とは?~ (2021.03.17)

 

 

≪目次≫
1.遺留分対策を考えている長男からの相談
2.民法を知らない税理士の提案
 ●生前贈与の考え方
 ●遺留分請求の考え方
3.まとめ

 

1.遺留分対策を考えている長男からの相談

前回までのトピックスで、相続税を知らない司法書士について掲載しました。

【相続税を知らない司法書士の話 ~相続を考える上で知っておきたい税に関する知識とは?~】

今回は、その反対に、『民法を知らない税理士』についてお話をしたいと思います。

 

先日、弊社のホームページにとあるご相談のメールが届きました。

セカンドオピニオンを希望する方からのメールでしたが、ご相談の内容は下記のようなものでした。

「生前贈与で財産を先に渡してしまえば、将来、請求される遺留分を減らすことができると聞いたのですが、本当ですか?」

 

さて、皆様どう思われますか?

確かに相続が発生した時点で、亡くなった方の財産を評価していく訳ですから、「遺留分請求をする際に基となる財産額が少なければ請求できる額も少なくなる」というご相談者様の考えは、一見すると道理が通っているように思えます。

⇒『遺留分』についてのトピックスはこちら

しかし、現実はそう簡単なお話ではないのです。

 

2.民法を知らない税理士の提案

ご相談者様には仲の悪い兄弟がおり、ご両親は全財産を長男であるご相談者様に相続させる旨の遺言を書いているそうです。

しかしいざ相続が発生した際に、兄弟から遺留分請求されるであろうことは容易に想像が出来るため、「将来、相続が発生したときに請求される遺留分を少しでも減らしたい。」とご希望でした。

 

ご面談して話を伺うと、ご相談者様には顧問税理士がついており、「生前贈与で財産を少なくすれば、その分、亡くなったときの遺産も減るので、遺留分の金額も減らせる」と提案されたそうです。

 

●生前贈与の考え方

実はこの説明は間違っています。

生前贈与で渡した財産は特別受益に該当し、遺留分の計算上、持ち戻して計算されます

つまり生前贈与をしても、請求される遺留分は減らないのです

さらに顧問税理士から「不動産を買えば遺留分を減らせる」とアドバイスを受けたそうで、父を説得して、投資用不動産を購入させたそうです。

 

残念ながらこのアドバイスも間違っています。

確かに不動産を買えば、購入金額と相続税評価額との差額によって相続税を減らすことは可能です。

相続税について知識のある税理士ならば、このような提案をすること自体は妥当だと言えるでしょう。

しかし遺留分の計算は相続税の計算方法とは違い、相続税評価額で行うわけではないのです

 

●遺留分請求の考え方

不動産について遺留分請求をする際の評価額に関しては、『遺留分を請求する側と請求される側が、その物件の適正な時価を算定し、両者が納得した価格を基準に遺留分の計算をする』ことになります

 

例えば新築のタワーマンションの一室を1億円で買い、十数年後に相続が発生し相続税の評価額が2,000万円になったとします。

相続税計算では2,000万円として扱っていきますが、その物件の市場価値が当時と変わらず1億円のままなら、1億円を基に遺留分を計算することになります

 

つまり、不動産を買っても遺留分が減るわけではないのです

(不動産が劣化し、市場価値が下がればそのぶん遺留分も減る事になります)

3.まとめ

 

◎『生前贈与』をする際には、税制上の知識、民法上の知識の両方が必要となる
◎遺留分侵害額減殺請求の対策には高度な専門知識が必要不可欠

税理士は税金計算の専門家ではありますが、相続に関する制度や法律知識については、一般の方とほとんど変わらない場合があります。

また、相続税を専門としている税理士は、実は業界でも一割程度に過ぎないと言われています。

 

当法人は司法書士法人であり、民法の相続法を熟知した司法書士が、税制等の周辺知識を考慮した上で的確なアドバイスをしております。

相続手続・生前対策をお考えの方は、渋谷区マークシティ、目黒区学芸大学駅の司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまで、お気軽にご相談下さい。

 

 

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遺言書に記載すべき特記事項② (2020.11.11)

 

 

 

 

 

≪目次≫
1.遺言執行者の指定
2.予備的遺言(補充遺言)
3.相続させる文言への読みかえ規定
4.負担
5.付言事項

 

 

前回のトピックスで遺言に記載すべき特記事項①(上記1~3)を取り上げました。

⇒【遺言書に記載すべき特記事項①】

今回はその②ということで、上記の4、5をテーマにお話したいと思います。

4.負担

 

皆様は負担ときいて何を連想しますか?

例えば、「会社内で自分にばかり重い仕事が降りかかってきて、負担に感じるなあ。」など、このようなときに使われている気がします。

負担とは、法律上は、法律行為の附款と定義されており、いわば条件のようなものです。
(遺言に条件という文言を入れると、実務上、遺言執行がかなり煩雑になるので、この負担という文言を用います。)

もう少し具体的に言えば、『この財産をあげる代わりにこういったことをしてほしい』、という時に使っていきます。

実務上、遺言の中で多く使われるケースは、

一.全ての財産を長男に相続させる
二.前項の負担として、長男は遺言者の妻◯◯の一生涯、介護扶養をしなければならない

といった表現です。

 

実際にそのようにして欲しいからという場合もありますが、何の負担もなしに全ての財産を長男に相続させると、後々に二男たちと遺留分争いになる可能性がある時などに、わざわざ上記の文言を入れたりします
(もちろんケースバイケースではありますが)

家督相続で全て長男が遺産を相続していた旧民法時代は、この負担が当然に盛り込まれていたと解されており、権利を引き継ぐものが義務も引き受け、一族の大黒柱として遺産を承継できなかった弟たちの面倒を見るのが通常でした。

その為、遺産相続で争いに発展したことはないと言われています。

権利は主張出来るが義務は履行しない、という現代の遺産相続においては、遺言を作る際、上記の負担を本文に入れておくのも一つの対策と言えます。

万が一、遺産を承継する者が負担を履行しない場合他の相続人から家庭裁判所に請求をして遺言を取り消すことができる強力な義務なので、遺言を遺す方にも安心と言えるでしょう

5.付言事項

 

付言事項とは、遺言の本文以外の部分に載せるメッセージのことをいいます。

遺言本文には法的効力があるものを記載していくのですが、この付言事項には法的効力がありません

しかし、遺言者の相続人へ宛てた最後のメッセージとして、下記のようなことを記しておけば、無用な争いを防ぐ効果があります

 

「二男◯◯には生前に自宅購入代金として、1000万円贈与しているので、今般の相続では長男に全てを相続させることとしました。
長男◯◯も二男◯◯も私の宝物でした。
今でも長男◯◯、二男◯◯が生まれた時のことを覚えています。
ですので、私亡き後は兄弟で争いをしてほしくありません。
父の最後の遺志をくみ取り、遺言通りに手続きをしてもらえることを願っております。」

 

いかがでしょうか?

日本人は面と向かって意思表示をすることが非常に苦手です。

遺言でこういったメッセージを残すことで、もしかしたら争いを防ぐことができるかもしれません。

また万が一、遺言無効確認の訴えに事が発展した場合にも、遺言を作るに至った経緯やその時の背景事情を記しておけば、遺言者の真意がどこにあるか等、遺言作成当時の有力な事実を推測することに役立つと言えます

 

当法人では、何故遺言を書くのか、その方の置かれた背景事情や家族関係、遺留分のこと等を踏まえ、オーダーメイド型の遺言文案を提案することを心がけています。

相続対策でお悩みの方は是非一度、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまでお気軽にご相談下さい。

 

 

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