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法定後見制度の注意点 (2021.07.29)

 

≪目次≫
1.後見人候補者が必ず就任できるとは限らない
2.申し立ての準備から就任まで時間がかかる
3.本人と口約束でした契約や贈与は、履行が果たされない場合がある
4.後見申立の取り下げには許可必要
5.被後見人が意思能力を回復するか死亡するまで継続する
6.後見人が就任した後に、後見人を交代させるには条件がある
7.後見が終了しても管理していた財産は後見人のものになるわけではない
8.後見人であったからといって相続時に有利になるわけではない
9.後見人になったとしても本人の行為すべてを代理で出来るわけではない

 

ご家族が認知症になった等をきっかけに、成年後見制度を利用したいとのご相談が近年さらに増えてきていると思います。

関連するトピックスはこちら→

【そもそも成年後見制度とは何か?制度の概要と後見人の義務とは】

【成年後見制度の申し立てのために家庭裁判所に提出する書類】

 

また、家庭裁判所のホームページでは後見センターの専門ページもあり、ニーズの高さが伺えます。

(外部サイト⇒【家庭裁判所後見センター 手続きの流れ・概要】

しかしながら、制度自体は聞いたことがあるけれど、内容は良く分からないという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、制度利用開始に際して良くご質問されること、誤解されている方が多いと思われる点についてご紹介していきたいと思います。

1.後見人候補者が必ず就任できるとは限らない

 

成年後見の申し立てを行う場合、具体的に候補者を決めて申し立てることができます。

例えば、夫を亡くした妻が、認知症になってしまい、夫婦の実の息子を後見人候補者として申し立てを行うとします。

ところが、裁判所は候補者が立てられたからといって、必ず候補者を後見人に就任させなければならないわけではありません

具体的には、被後見人の心身の状態や生活財産の状況から、

●後見人に就任した時に本人の権利擁護、財産保護を行うことができるのか
●後見人候補者の生活状況や職業から後見人として問題ないか
●本人と後見人候補者との間に利害対立が生じていないか
●本人が、候補者が就任する事に関してどのような意見を持っているか

などの項目を総合的に考慮し、誰を後見人とするかを決定していきます。

 

場合によっては第三者である司法書士や弁護士が後見人に選任されたり、候補者が後見人に選任されたうえで、司法書士や弁護士が後見監督人(後見人を監督する者)として選任されたりすることもあります

また、誰が選任されるかという点については、裁判所に対して不服申し立てができません

しかも、後見の申し立て書類を提出した後は、裁判所の許可が無ければ申し立てを取り下げることができなくなります

 

後見人として第三者が入ってくるのは絶対に避けたいとお考えの方は、是非認知症になる前に、自身の意思で後見人を選定できる、任意後見人の制度をご利用されることをお勧め致します

任意後見制度について詳しくは別のトピックスにてご紹介致します。

 

2.申し立ての準備から就任まで時間がかかる

 

例えば、実家に一人暮らしの母親が認知症になってしまったが、まだ程度がそこまで重くない為、そのうち手続きをすればよいと考えていたとします。

ある時を境に急に症状が悪化し、家に一人にしておくのは心配と考え、父親から相続した母親名義の実家を売却し、その資金を基に施設に入居させたいと考えたとしても、すぐには手続きが進みません。

まず実家の売却や施設に入所する手続きのためには、成年後見人の申し立てを行っていかなければなりませんが、

①申し立て準備に1、2ヶ月
②裁判所の精神鑑定や調査で2、3ヶ月
③さらに審判が降りた後2週間の期間経過後に審判が確定
④後見人として登記事項証明書が取得できるまでには更に1、2週間程度

ケースによりますが、上記のように合計4ヶ月から6ヶ月程度、時間を要してしまいます。

また、手続きを進めようと考えた時に、本人や親族から反対の声が上がったために、説得に時間を要することも考えられます。

認知症等により判断能力が低下している場合には、できるときに手続きをすることが望ましいと思います。

 

3.本人と口約束でした契約や贈与は、履行が果たされない場合がある

 

後見人が就任する前の契約等によって、将来、贈与等を約束していた場合でも、約束通りに履行されるとは限りません

例えば、母親が認知症を発症したが、相談者である息子は遠方に居住していたために、第三者である弁護士が後見人に就任したとします。

母親は息子である相談者のために、認知症が発症する前から、自身の財産の一部を贈与すると約束していたとしても、財産管理をする後見人がこれに応じてくれるとは限りません。

そもそも成年後見制度は、申立人等の親族のためのものではなく、あくまで被後見人のための制度です。

本人の財産を保護するのが制度の目的になりますので、認知症が生じる前で、かつ書面等によりその意思が明確に確認できる場合でなければ、贈与のように一方的に被後見人の財産を減少させる行為には応じない可能性が高いと思います

但し、どんな贈与も認められないわけではありません。

母親からすると、息子に対しては扶養義務があります。(民法877条)

この扶養義務履行の為に毎月生活費を支払う行為は、通常の範囲内であれば問題無いといえる可能性があります。

このような場合には、第三者である後見人は、裁判所と相談をし、この贈与や契約に応じるかを判断していく事になります。

後見制度を利用するか否かに関わらず、大事なことは契約書等の書面を作成しておくと、このようなときにも有効です。

 

4.後見申立の取り下げには許可必要

 

成年後見申立のための書類の準備が整い、申立書及び提出書類を裁判所に提出すると、正式に申立がなされたことになります。

そして一度申立がなされた後は、審判前であったとしても、家庭裁判所の許可を得なければ申立を取り下げることはできません

これは、成年後見制度がそもそも本人(被後見人予定者)保護のための制度であるため、申立人の判断のみで終了させることが適切でないと考えられるからです

例えば、本人Aさん(被後見人予定者)の息子Bさんが申立人となり、後見人候補者をBさんとして申立書を提出したとします。

手続きが進むにつれて、家庭裁判所の調査官の言動から、Bさんではなく専門職の弁護士が選任されそう、あるいは後見人にはBさんが選任されそうだけれども、後見監督人として弁護士が選任されそうと感じたとしても、家庭裁判所の許可なく取り下げることはできません。

また、第三者が選任されそうとの理由のみでは、許可も下りない可能性が高いと思われます。

申立書類は、申立以後取り下げられなくなることを念頭に、提出する必要があります。

審判を出すか出さないか、あるいは誰を後見人として選任するかは、個々の事情から最終的には家庭裁判所の裁判官が判断をするため、確定的なことは申し上げられません。

しかし財産の多寡親族の関係性申立てをして成年後見人をつける目的等により、家庭裁判所がいかなる判断をしうるかとの見通しをある程度立てることは可能ですので、申し立てを行う際はご相談いただければと思います。

 

5.被後見人が意思能力を回復するか死亡するまで継続する

 

成年後見の申立のご相談をお受けする場合、大多数の場合、申し立てる目的があります。

 

Aさんは父親が10年前に亡くなり、その際に父親が所有していたAさんの実家を、母親が相続し、母親がそこで一人暮らしをしています。

ところが母親が認知症になってしまったため、母親をグループホームに入れる資金に充てるために、実家の売却目的で後見申立をしたいというケース

 

この場合、無事申立が認められ後見人としてAさんが就任し、実家の売却手続きを完了させたとしても後見人でなくなるわけではありません

後見は、被後見人である母親が亡くなるか、あるいは認知症が治癒(判断能力が回復)するまで続きます

後見人を立てないとできないからと、何らかの手続きのために一時的に成年後見を利用するということはできません

これも、本人を保護する制度である以上、申立人が考える目的を果たしたとしても、本人の要保護性が消滅するわけではないからです

なお後見人は、病気などやむを得ない事情がある場合には、家庭裁判所の許可を得て辞任することができます。

この場合にも、後見自体が終了するのではなく、別の後見人を就任させ、新後見人に引き継がれることになります。

基本的にはご本人が亡くなるまで一生続くことですので、特に親族が候補者になる場合には、よく検討して申立手続きをする必要があります。

 

6.後見人が就任した後に、後見人を交代させるには条件がある

 

例えば母親Aのために息子Bが申立人となって後見申立を行い、弁護士や司法書士等の専門職の後見人Cが選任されたとします。

Bは後見人が就任したことで一安心したのも束の間、Cとはなかなか連絡がつかないうえ、愛想が悪くてうまくコミュニケーションが取れません。

Bは、Cとそりが合わないため、交代させたいと考えるようになりました。

この場合、仮にBがC後見人を交代させたいと考えたとしても、家庭裁判所に申し立てて無条件に交代させることはできません

このように後見人を交代させたい場合には、本人や親族が後見人の解任請求を行っていくことになりますが、これが認められるためには、後見人が任務に適しない正当な事由がなければなりません

例えば後見人が本人に対して虐待行為を行っている、あるいは財産を本人のためでなく後見人自身のために使っている(横領している)、等の事由が必要になります。

成年後見制度はあくまで本人のための制度であるため、親族が望んだとしても本人の不利益になっていないのであれば交代すべきではない、と考えられるからです。

 

7.後見が終了しても管理していた財産は後見人のものになるわけではない

 

例を挙げてみましょう。

被後見人A(夫は既に他界している)の長男Bが、Aの後見人に就任し、預貯金の一切をBに渡し、日常的に必要な金銭をAの預金から支払っていたとします。

Aはしばらくして病気により死亡しました。Bには、弟のC(Aの子)がいます。

この場合、被後見人死亡により、後見は終了します。しかし、既に預かっているAの預貯金はBのものになるわけではなく、相続財産としてBとCが相続することになります。

BがCから相続権を主張された場合、法定相続分(Aの財産の半分)については渡さなければなりません

後見申立の相談を受けていると、「後見人になった者が財産をもらえる」と考えている方がいらっしゃいます。

しかし被後見人の財産は、後見人が被後見人のために預かっているに過ぎず、被後見人死亡による後見終了後は、全て「相続財産」として相続人に引き渡されることになります

8.後見人であったからといって相続時に有利になるわけではない

 

被後見人に相続が発生した場合、相続人が財産を取得する旨は上記7で述べた通りですが、後見人が相続の際に有利になるとは言えません

後見人であった者の相続権が、他の相続人より多いとの規定はないからです。

また例えば上記7の例で、後見申立の際に、「Aと同居しているBが後見人となり、Aの面倒を見る代わりにCは相続を放棄する。」との念書をCに書いてもらったとします。

しかし、被後見人の生前に相続放棄の念書を書いたとしても、これには何ら法的拘束力はありません

これは民法915条に、相続放棄をする場合には「相続があったことを知った時から3か月以内」に行う旨が明記されておりますので、あくまで「死亡後」に手続きをすることが前提となっており、被相続人が死亡する前に相続放棄することはできないからです

それどころか、Cから「後見人としての管理が悪かったから、相続財産を無駄にした」と不当な因縁をつけられてしまうこともあるようです。

家庭裁判所に求められるか否かにかかわらず、後見終了時に争いにならないように、後見人として被後見人の財産を使った場合には、全て領収書等を保管しておくことが望ましいと思います。

9.後見人になったとしても本人の行為すべてを代理で出来るわけではない

 

後見人は、被後見人の財産を管理し、財産に関する法律行為についてのみ、被後見人の代理行為ができます

言い換えれば、一身専属行為は代理することはできません

一身専属行為とは、一身に属するという文字のごとく、いかなる場合も他人には行えない、本人のみに行える行為ということです。

例えば、結婚や離婚等の行為や、養子縁組、認知等が挙げられます。

これらの行為は、いかに後見人であろうとも、本人が決定すべき事柄であり、後見人が口を出すことを認めるべきではないからです

また、「遺言」も一身専属行為とされているため、後見人が代理で行うことはできません。

ご相談を受ける中で、母が認知症になってしまい、母亡き後の財産の処分方法について法定相続に従うと不都合があるため、自分が後見人となって遺言を書きたいとおっしゃる方がいらっしゃいますが、これはできません。

被後見人となった後も遺言を書くことはできますが、判断能力が一時的に回復していて、医師2人以上の立会のもと事理弁識能力のあることを確認できた場合にのみ行うことができます

遺言等の生前対策は、認知症が心配になる前の元気なうちに行っておきたいですね。

 

当法人では、後見制度の注意点等も踏まえ、最適な制度の利用方法のご提案をさせていただきます。

少しでもご不安な点ございましたら、目黒区学芸大学駅、渋谷区マークシティの司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまで、まずは一度ご相談ください。

 

 

お気軽にご相談ください。

そもそも成年後見制度とは何か?制度の概要と後見人の義務とは (2021.01.20)

 

 

≪目次≫
1.成年後見制度の概要
 ◆どんな時に困るのか
2.制度内容
3.家庭裁判所が後見人に定めた義務

 

1.成年後見制度の概要

 

日本は高齢化社会になった、と言われて久しい今日、平均寿命の増加によって認知症になるリスクは年々増加しています。

自分(の親)は大丈夫、とは決して言えない時代になってきています。

しかし実際に認知症になってしまった場合、具体的に何に困ってくるのか、それをどのようにカバーしていったらいいかを正確に理解されている方はまだまだ少ないと思います。

そこで今回は改めて、認知症等により判断力が低下した場合の制度成年後見制度とはどのようなものなのか、について基本的なところをご説明したいと思います。

 

≪どんな時に困るのか≫

 

認知症になってしまった場合、どのような場合に困ってくるかについて詳細は、以前のトピックス【そのまま手続きできる?後見人を立てなければならない場合】にてご紹介しましたのでそちらに譲らせていただきますが、大まかに挙げると下記のような場合が考えられます。

 

●認知症になってしまった場合、たとえ息子(娘)であっても、銀行から預金が下せない

●認知症になった方が老人ホームや高齢者施設に入居しようとしても、入居契約ができない

●亡夫の資産を相続しているが、相続人間で遺産分割協議が整わないうちに認知症になってしまった場合、相続手続きを確定的に行うことができない

●認知症になってしまったので、グループホームに入りたいが、入居資金が足りない。持ち家を売却すれば資金を用意できるが、認知症のため売買契約を締結することができない

●認知症の親が不要な契約をしてしまったとしても、契約を息子等が取り消すことはできない

 

では、認知症になってしまった場合、これらを解決するために成年後見制度を使うとどうなるのでしょうか。

 

2.制度内容

 

成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害等の理由で判断能力が低下してしまった方の代わりに財産管理を行ったり、生活や医療等に関する手続き(契約等)を行ったりすることで、判断能力が低下してしまった方の権利や生活を守る制度です

成年後見人は法律上の代理権を持ち、例えば以下のようなことを行うことができます

 

●本人の銀行口座の通帳及びキャッシュカードを管理し、本人のために預金を引出し、月々の光熱費や家賃の支払い等を行うことができます

●本人に代わって、介護老人施設を探して、入所(入居)契約を締結することができます。

●親や配偶者から相続したが相続人間で未分割の相続財産について、本人に代わって遺産分割協議を行い、確定的に本人の名義に変更手続きすることができます。

●本人に代わって所有不動産を売却し、施設入居の資金に充てることができます。

●本人がした不要な売買契約や工事請負契約を取り消すことができます。

 

成年後見人は、家庭裁判所を通じて選任されるという厳格な手続きを要求しているため、その分強力な権限が与えられているのです。

但し、成年後見人はあくまで認知症等により判断能力が低下してしまった方(被後見人)のための制度になりますので、成年後見人自身の利益ために被後見人の財産を浪費したり、財産を無駄に支出したりして、被後見人の財産を侵害することはあってはいけません。

そこで、被後見人の財産を守るために、成年後見人に対しては家庭裁判所が監督することになります。

 

3.家庭裁判所が後見人に定めた義務

 

管理している財産は何で、どのように管理しているかを把握するため、一年に一度、報告書の提出を求められます

具体的には、管理財産把握のための財産目録を毎年作成し提出します。

また、被後見人の預金や現金に変動(入出金)がある場合、領収書や請求書にて、何にいくら使ったのか、いくら何の資金が入金したのか等の収支報告書を作成、領収書等を添付して提出します

成年後見人は法律上「善管注意義務」(善良なる管理者としての注意義務)を負い、高度な注意義務が課されており、これに違反する管理を行った場合、解任されたり、損害賠償請求される恐れもあります

このように、認知症等により判断能力が低下した場合、成年後見制度を利用することで、成年後見人が代理で財産管理や契約行為を行い、不都合を解消することができるのです。

 

 


当法人では、制度について何もご存知なくても、一から丁寧にご説明させて頂きまして、お困りごとを解決する方法をご提案させていただきます。

認知症等によってお困りの方は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズにお気軽にご相談下さい。

 

 

お気軽にご相談ください。

成年後見制度にかかる費用 (2020.12.17)

 

 

≪目次≫
1.後見申立にかかる費用
1-1.収入印紙代
1-2.切手代
1-3.登記手数料
1-4.鑑定費用
2.成年後見人を専門家に頼んだ場合にかかる費用

 

1.後見申立にかかる費用

「成年後見制度」を利用した場合、いくらかかるのでしょうか。

『親が認知症になってしまい今後どうすればいいのかを調べてみると、どうやら「成年後見制度」というものがあるらしいが、いったいいくら必要になるのか、、』とご不安になる方もいらっしゃるかと思います。

そこで、成年後見制度を利用した場合の費用はいくらかかるのか、今回はこちらのテーマを見ていきましょう。

成年後見制度を利用したい場合、まずは家庭裁判所に後見の申立を行います。

ここで裁判所に支払うためにかかってくる費用は、下記のものがあります。

①収入印紙代
②切手代
③登記手数料
④鑑定費用

 

1-1.収入印紙代

収入印紙は、申立のために家庭裁判所に支払う手数料になります。

ここで、後見制度の3類型(後見・保佐・補助)によって費用が異なりますが、各場合の費用は以下のとおりです。
※なお、後見・保佐・補助類型の詳細説明につきましては、別トピックスにてご紹介致します。

後見」は、同意権が無く(一部の行為を除き、たとえ成年後見人が同意をしたとしても、成年被後見人の単独行為は認められていないため)、かつ包括的に代理権が与えられておりますので、申立に同意権追加付与の申立や代理権付与の申立をセットにすることはできません

また、補助申立は、同意権追加付与の申立又は代理権付与の申立(あるいは両方)とセットにて申立を行う必要があるため、申立のみはできません。

 

1-2.切手代

切手代は、家庭裁判所が申立人や後見人に選任された者に対して審判書等の書類を郵送するために、予め納めておくものになります。

裁判所により異なりますが、約3000円から5000円ほどになります。

 

1-3.登記手数料

後見の申立を行うと、成年被後見人が○○、成年後見人として××がいつ選任されたという内容が「登記」されます(公的機関の記録に登録されるということです)。

手数料として2600円がかかります。登記する費用も事前に家庭裁判所に納める必要があります。

 

1-4.鑑定費用

成年後見制度を利用する場合、本人の精神状態が後見相当といえるのか、その状態を鑑定することがあります

実施するかは家庭裁判所が判断しますが、精神状態の鑑定ですので、医師が鑑定人として状態を調べます。

ここで鑑定人に支払う報酬が5万円~10万円ほどかかってきます。

ただし、実際に鑑定が行われるケースは10件に1件に満たないといわれています

鑑定を行うか否かにかかわらず、申し立てを行う場合には、医師の診断書を提出する必要があるため、この診断書のみで精神状態が判断できる場合には、さらに鑑定を行う必要が無いと判断されるからです

申立を行い、家庭裁判所がどう判断するかにかかっていきますので、申立の最初の段階では確定ができませんが、家庭裁判所により鑑定が必要ないと判断された場合には鑑定費用はかかりません。

 

2.成年後見人を専門家に頼んだ場合にかかる費用

次に、実際に成年後見人が就任した場合に、後見人に支払う報酬に関してご説明したいと思います。

親の後見申立を行い、息子等のご親族が成年後見人に就任した場合には、基本的に報酬はかかりません。

後見人報酬の支払われ方は、後見人自身で裁判所に対して「こういった業務を後見人として行いましたので、報酬を付与してください」(報酬付与申立)ということを申告し、これに対して家庭裁判所が「被後見人の財産から後見人に対して○○万円の報酬を与える」との審判により、被後見人の財産から後見人が報酬を得ることになります

つまり後見人が家庭裁判所に対してこの申し立てを行わない限り、後見人に報酬は生じないということになります。

したがって、親族等が後見人に就任した場合、報酬付与申立を行わない限り、報酬は発生しないということです。

しかし、後見人に親族以外の専門家(司法書士や弁護士等)が就任した場合には、報酬付与の申立を行うのが通常です。報酬額は、基本的に管理する財産の量に比例します。

報酬額は管轄の裁判所によっても変わってきますが、東京家庭裁判所管内ですと基本報酬が月額約2万円、管理する財産が1000万円から5000万円ですと約3、4万円、5000万円以上ですと約5、6万円とされています。

また、その他被後見人のためにした通常業務の範囲を超える行為(例えば管理している不動産の売却や、被後見人を含む遺産分割協議、保険金請求等)を行うと、家庭裁判所がこれを考慮して付加報酬を与える場合もあります

 

 


司法書士法人鴨宮パートナーズでは、成年後見制度の詳細なご説明をさせていただき、制度の最適な利用方法のご提案をさせていただきます。

疑問点などございましたら、是非一度お気軽にご相談ください。

 

 

お気軽にご相談ください。

そのまま手続きできる?後見人を立てなければならない場合 (2020.11.19)

 

 

 

 

≪目次≫
後見人を立てなければならないケース
ケース①:銀行から預金を下ろしたい
ケース②:老人ホームに入居したい
ケース③:相続手続きをしたい
ケース④:騙されてしてしまった契約を取り消したい

 

認知症になってしまった事で、銀行や施設との手続関係において、今までできていたことができなくなった(拒否された)、というご相談をよくいただきます。

どのような場合に拒否される(可能性がある)のかを把握しておくと、事前に備えることもできるかと思います。

そこで今回は、後見人を立てないと手続きができなくなる場合を、例を交えてケース毎にご紹介していきたいと思います。

 

ケース①:銀行から預金を下ろしたい

Aさんには認知症の夫Bさんがいます。Bさんは今まで何とか銀行に出向いて、生活のための預金を下ろせていましたが、最近夫の認知症が進行していることを心配し、Aさんが代わりに預金を下ろしに行ってあげたいと考えました。

ある日Aさんは、生活費のためBさんの預金口座から預金を下ろし、日用品の購入や公共料金の支払い等をしようと、銀行に行きました。

しかし、「Bさんは認知症のようですので、預金の引き出しはできません。」と言われてしまいました。

Aさんにとっては、自分と夫の老後のために資金として貯めておいた口座から預金を引き落とすことができず、生活費が支払えなくなりました。

 

上記のような状態になってしまうと、Aさんの生活自体も危うくなってしまいます。

すぐに成年後見人を付けて(もしくは自分が後見人となり)預金を下ろしたいところですが、後見申立てにはおよそ2~3ヶ月の申立期間がかかってしまいます

認知症になる前に、任意後見契約財産管理等契約(詳しい説明は別のトピックスにて掲載致します)を結んでおいて、このような事態に陥らないよう、事前の予防策を講じることが大切です。

 

ケース②:老人ホームに入居したい

軽度の認知症にかかっているが、老人ホームに入居したいと考えていたAさんは、夫がすでに死亡しており、子供はいません。弟がいますが、住居は遠方で疎遠となり、連絡先も知りません。

このような場合に施設を探していましたが、施設入居の条件に「身元保証人が必要」と言われてしまいました。

しかし、親族は連絡先のわからない弟しかおらず、入居することができません。

 

この場合には、たとえ成年後見人を立てたとしても、成年後見人は身元保証人にはなれませんので、成年後見人を立てれば入居できるとは限りません

しかし、施設によっては「身元保証人が立てられないのであれば、成年後見人を立ててください」というところもありますので、まずは施設に確認し、成年後見申立を行いましょう

成年後見人がいることは、施設側にとっても安心になるようです。

 

ケース③:相続手続きをしたい

認知症のAさんの夫Bさんは、先日他界してしまいました。息子のCさんは、Bさんの相続手続きをしようと考え、不動産の名義書き換え、預金の解約を進めようとしました。

ところが、不動産名義の書き換えのために相続登記を司法書士に依頼したけれど、Aさんに認知症の疑いがあるとのことで断られてしまいました。

預金の解約に行った銀行からも同じように断られてしまい、結局このままでは手続きができません。

 

 

相続人の中に認知症の方がいる場合には、基本的に相続手続きをすることはできません。

この場合には成年後見人を立て、成年後見人と他の相続人とで遺産分割協議をすることで、相続による不動産名義書き換えや、預金の解約手続きを行っていくことになります。

上記の例で仮にCさんが成年後見人に就任した場合には、Cさんは、Bさんの相続人であるAさんの後見人の立場と、自身のBさんの相続人の立場と二重になり手続きが出来ませんので(このような状況を利益相反といいます)、遺産分割協議のために特別代理人の選任申立を行っていくことになります

Aさんの成年後見人はCさんで変わりないのですが、今回の遺産分割に限って、成年後見人Cさんの特別代理人が、Cさんと一緒に遺産分割を行っていくことになります。

 

ケース④:騙されてしてしまった契約を取り消したい

認知症の父Aさんは、妻Bさんに先立たれて一人暮らしをしていて、遠方ですが息子Cさんがいます。

Cさんは月1回くらいのペースでAさんの様子を見に行っていましたが、行くたびに見知らぬ商品が増えていっていました。

CさんがAさんに聞くと、親切な方が置いて行ってくれていると言っていました。

しかし契約書のようなものが見つかり読んでみると、高額な商品を購入するというもので驚いてしまいました。

 

 

CさんがAさんの息子だとしても、このままではAさんのした行為を直接取り消すことはできません

この場合、成年後見人を立てることで、成年後見人がAさんのした行為を取り消して解決することができます

近年の高齢者を狙ったオレオレ詐欺や振り込め詐欺などの特殊詐欺の被害は、残念ながら一向に減りません。

認知症になった場合には、このような詐欺被害から本人を守る意味でも、成年後見を検討していくことが望ましいと考えます。

 


いかがでしたでしょうか。司法書士法人鴨宮パートナーズでは、後見人を立てる必要性等も考慮しながら、最適な利用方法のご提案をさせていただきます。

少しでも疑問点ございましたら、是非一度お気軽にご相談ください。

 

 

お気軽にご相談ください。

成年後見の申立て手続き (2020.09.29)

 

 

親が認知症になってしまい、お金の管理が出来なくなってしまった。あるいは精神的な病気にかかってしまい、持っている投資用マンションの管理が出来なくなってしまった。

その様な場合、以後はご自身で管理をすることができないため、その方の財産管理身上監護を代理で行う、成年後見人を立てる必要があります。

申立ては家庭裁判所に行っていくのですが、成年後見人就任に至るまでどのような流れになるのかを、今回はご説明したいと思います。

 

手続きの流れ≫
1.申立て提出書類の入手
2.提出書類の記入・必要書類の入手
3.面談の予約
4.申立て書類一式の提出
5.面談
6.精神鑑定
7.審判

 

 

1.申立て提出書類の入手

申立てに必要な提出書類は家庭裁判所のホームページからダウンロードする事も出来ますし、家庭裁判所に申し立て書類を取りに行くこともできます。

なお、ご本人の居所・財産状況に応じて、成年後見人が途中で交代する事はありますが、成年後見は一度申立てを行うと、ご本人の管理能力が回復するか、お亡くなりになるまで継続されます

したがって、特に申立てを行うご親族の方には、後見制度をよく理解して頂く必要があります

(詳細は、【成年後見制度のメリット・デメリット】   の記事をご参照ください。)

裁判所に書類を取りに行くと、裁判所の職員の方から上記のような説明がされ、申立ての手引き等の説明書もここで渡されることになります。

 

 

2.提出書類の記入・必要書類の入手

各書類の細かい説明は別のトピックスでご紹介しますが、成年後見の申立てには様々な書類を提出する必要があります。

・申立書
・申立事情説明書
・本人事情説明書
・後見人候補者事情説明書
・親族関係図
・親族の意見書(同意書)
・医師の診断書及び診断書付票
・本人確認情報シート
・財産目録
・収支予定表
・相続財産目録
※以上は裁判所にて書式を入手できるものです。
・申立人の戸籍謄本
・本人の戸籍謄本
・後見人候補者の戸籍謄本
・本人の住民票(又は戸籍の付票)
・後見人候補者の住民票(戸籍の付票)
・登記されていないことの証明書
・(お持ちの方のみ)療育手帳のコピー
・本人の財産に関する資料

細かい点や、提出書類の書式は各家庭裁判所により異なる場合がありますので、確認が必要になります。
( 裁判所ホームページ各地の裁判所 )

 

 

3.面談の予約(後見人に親族を候補者として申立てを行う場合)

書類をそろえたら、申立てを行なうご親族と家庭裁判所の調査官との面談がありますので、家庭裁判所に面談の空き状況照会をし、予約をします。

 

 

4.申立て書類一式の提出

面談の数日前までに書類の提出を求められることが多いので、その期日までに書類を提出します。手続き上は、この時点で「申立てをした」という扱いになります

 

 

5.面談(後見人に親族を候補者として申立てを行う場合)

事前に予約した期日に家庭裁判所に出向き、調査官との面談が行われます。

事前に書類を提出しているので、面談を行う調査官は一通り資料に目を通したうえで、面談に臨んでいます。

調査官から、申立を行なった動機や、ご本人の様子判断能力の状態他の親族の同意の有無現在の財産の管理状況等を聴取されます

面談の結果は、裁判官へと伝えられます。

 

 

6.精神鑑定(省略される場合あり)

家庭裁判所が必要と判断した場合、ご本人が後見相当なのかを調査するため、医師による精神鑑定が行われます。

(明らかに後見相当に該当すると判断され、精神鑑定が必要でないと判断された場合には省略されます。)

基本的には診断書を作成した医師により行われますが、当該医師が鑑定を拒否した場合等、家庭裁判所が指定した医師による鑑定が行われることもあります。

その場合、申し立てにかかる期間が1、2か月延びてしまう事もあります。

 

 

7.審判

以上の手続きにて得られた情報を裁判官が総合考慮し、後見開始をするのか、後見人として誰を選任するのかを判断していきます。

裁判官の判断の結果、後見相当とされた場合、誰を後見人に選任するかも含め後見開始の審判が下り、審判書が申立人の親族に送られます。

場合によっては、家庭裁判所の判断により、申し立て時に候補者として書いた親族ではなく、家庭裁判所が適切と判断した専門職(弁護士や司法書士)の者が選任されるケースもあります

また、ご本人の財産が多い等の理由により、親族後見人とし、別途専門職の者後見監督人として選任される場合もあります

審判書を受領し、2週間は異議申し立て(候補者が選任されなかった点等についての異議申し立ては不可)が可能です。

したがって、受領してから2週間を経過すると、後見審判が確定します。

 


以上が後見申立の一般的な流れになります。事情により変動がありますが、申し立て書類を提出してから2、3か月で、審判まで終わることが多いかと思います。

成年後見の申し立ては、収集する書類が多く、一般的になじみの薄い手続きですので、ご自身で行うのは時間と労力がかなりかかってくると思います。

当法人では、制度について何もご存知なくても、一から丁寧にご説明させて頂きまして、書類の収集代理提出書類の記入代理、さらに家庭裁判所との連絡も当法人にて致します。

成年後見の申し立て手続きをお考えの方は、司法書士法人鴨宮パートナーズにお気軽にご相談下さい。

 

 

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