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法定後見制度の注意点 (2021.07.29)

 

≪目次≫
1.後見人候補者が必ず就任できるとは限らない
2.申し立ての準備から就任まで時間がかかる
3.本人と口約束でした契約や贈与は、履行が果たされない場合がある
4.後見申立の取り下げには許可必要
5.被後見人が意思能力を回復するか死亡するまで継続する
6.後見人が就任した後に、後見人を交代させるには条件がある
7.後見が終了しても管理していた財産は後見人のものになるわけではない
8.後見人であったからといって相続時に有利になるわけではない
9.後見人になったとしても本人の行為すべてを代理で出来るわけではない

 

ご家族が認知症になった等をきっかけに、成年後見制度を利用したいとのご相談が近年さらに増えてきていると思います。

関連するトピックスはこちら→

【そもそも成年後見制度とは何か?制度の概要と後見人の義務とは】

【成年後見制度の申し立てのために家庭裁判所に提出する書類】

 

また、家庭裁判所のホームページでは後見センターの専門ページもあり、ニーズの高さが伺えます。

(外部サイト⇒【家庭裁判所後見センター 手続きの流れ・概要】

しかしながら、制度自体は聞いたことがあるけれど、内容は良く分からないという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、制度利用開始に際して良くご質問されること、誤解されている方が多いと思われる点についてご紹介していきたいと思います。

1.後見人候補者が必ず就任できるとは限らない

 

成年後見の申し立てを行う場合、具体的に候補者を決めて申し立てることができます。

例えば、夫を亡くした妻が、認知症になってしまい、夫婦の実の息子を後見人候補者として申し立てを行うとします。

ところが、裁判所は候補者が立てられたからといって、必ず候補者を後見人に就任させなければならないわけではありません

具体的には、被後見人の心身の状態や生活財産の状況から、

●後見人に就任した時に本人の権利擁護、財産保護を行うことができるのか
●後見人候補者の生活状況や職業から後見人として問題ないか
●本人と後見人候補者との間に利害対立が生じていないか
●本人が、候補者が就任する事に関してどのような意見を持っているか

などの項目を総合的に考慮し、誰を後見人とするかを決定していきます。

 

場合によっては第三者である司法書士や弁護士が後見人に選任されたり、候補者が後見人に選任されたうえで、司法書士や弁護士が後見監督人(後見人を監督する者)として選任されたりすることもあります

また、誰が選任されるかという点については、裁判所に対して不服申し立てができません

しかも、後見の申し立て書類を提出した後は、裁判所の許可が無ければ申し立てを取り下げることができなくなります

 

後見人として第三者が入ってくるのは絶対に避けたいとお考えの方は、是非認知症になる前に、自身の意思で後見人を選定できる、任意後見人の制度をご利用されることをお勧め致します

任意後見制度について詳しくは別のトピックスにてご紹介致します。

 

2.申し立ての準備から就任まで時間がかかる

 

例えば、実家に一人暮らしの母親が認知症になってしまったが、まだ程度がそこまで重くない為、そのうち手続きをすればよいと考えていたとします。

ある時を境に急に症状が悪化し、家に一人にしておくのは心配と考え、父親から相続した母親名義の実家を売却し、その資金を基に施設に入居させたいと考えたとしても、すぐには手続きが進みません。

まず実家の売却や施設に入所する手続きのためには、成年後見人の申し立てを行っていかなければなりませんが、

①申し立て準備に1、2ヶ月
②裁判所の精神鑑定や調査で2、3ヶ月
③さらに審判が降りた後2週間の期間経過後に審判が確定
④後見人として登記事項証明書が取得できるまでには更に1、2週間程度

ケースによりますが、上記のように合計4ヶ月から6ヶ月程度、時間を要してしまいます。

また、手続きを進めようと考えた時に、本人や親族から反対の声が上がったために、説得に時間を要することも考えられます。

認知症等により判断能力が低下している場合には、できるときに手続きをすることが望ましいと思います。

 

3.本人と口約束でした契約や贈与は、履行が果たされない場合がある

 

後見人が就任する前の契約等によって、将来、贈与等を約束していた場合でも、約束通りに履行されるとは限りません

例えば、母親が認知症を発症したが、相談者である息子は遠方に居住していたために、第三者である弁護士が後見人に就任したとします。

母親は息子である相談者のために、認知症が発症する前から、自身の財産の一部を贈与すると約束していたとしても、財産管理をする後見人がこれに応じてくれるとは限りません。

そもそも成年後見制度は、申立人等の親族のためのものではなく、あくまで被後見人のための制度です。

本人の財産を保護するのが制度の目的になりますので、認知症が生じる前で、かつ書面等によりその意思が明確に確認できる場合でなければ、贈与のように一方的に被後見人の財産を減少させる行為には応じない可能性が高いと思います

但し、どんな贈与も認められないわけではありません。

母親からすると、息子に対しては扶養義務があります。(民法877条)

この扶養義務履行の為に毎月生活費を支払う行為は、通常の範囲内であれば問題無いといえる可能性があります。

このような場合には、第三者である後見人は、裁判所と相談をし、この贈与や契約に応じるかを判断していく事になります。

後見制度を利用するか否かに関わらず、大事なことは契約書等の書面を作成しておくと、このようなときにも有効です。

 

4.後見申立の取り下げには許可必要

 

成年後見申立のための書類の準備が整い、申立書及び提出書類を裁判所に提出すると、正式に申立がなされたことになります。

そして一度申立がなされた後は、審判前であったとしても、家庭裁判所の許可を得なければ申立を取り下げることはできません

これは、成年後見制度がそもそも本人(被後見人予定者)保護のための制度であるため、申立人の判断のみで終了させることが適切でないと考えられるからです

例えば、本人Aさん(被後見人予定者)の息子Bさんが申立人となり、後見人候補者をBさんとして申立書を提出したとします。

手続きが進むにつれて、家庭裁判所の調査官の言動から、Bさんではなく専門職の弁護士が選任されそう、あるいは後見人にはBさんが選任されそうだけれども、後見監督人として弁護士が選任されそうと感じたとしても、家庭裁判所の許可なく取り下げることはできません。

また、第三者が選任されそうとの理由のみでは、許可も下りない可能性が高いと思われます。

申立書類は、申立以後取り下げられなくなることを念頭に、提出する必要があります。

審判を出すか出さないか、あるいは誰を後見人として選任するかは、個々の事情から最終的には家庭裁判所の裁判官が判断をするため、確定的なことは申し上げられません。

しかし財産の多寡親族の関係性申立てをして成年後見人をつける目的等により、家庭裁判所がいかなる判断をしうるかとの見通しをある程度立てることは可能ですので、申し立てを行う際はご相談いただければと思います。

 

5.被後見人が意思能力を回復するか死亡するまで継続する

 

成年後見の申立のご相談をお受けする場合、大多数の場合、申し立てる目的があります。

 

Aさんは父親が10年前に亡くなり、その際に父親が所有していたAさんの実家を、母親が相続し、母親がそこで一人暮らしをしています。

ところが母親が認知症になってしまったため、母親をグループホームに入れる資金に充てるために、実家の売却目的で後見申立をしたいというケース

 

この場合、無事申立が認められ後見人としてAさんが就任し、実家の売却手続きを完了させたとしても後見人でなくなるわけではありません

後見は、被後見人である母親が亡くなるか、あるいは認知症が治癒(判断能力が回復)するまで続きます

後見人を立てないとできないからと、何らかの手続きのために一時的に成年後見を利用するということはできません

これも、本人を保護する制度である以上、申立人が考える目的を果たしたとしても、本人の要保護性が消滅するわけではないからです

なお後見人は、病気などやむを得ない事情がある場合には、家庭裁判所の許可を得て辞任することができます。

この場合にも、後見自体が終了するのではなく、別の後見人を就任させ、新後見人に引き継がれることになります。

基本的にはご本人が亡くなるまで一生続くことですので、特に親族が候補者になる場合には、よく検討して申立手続きをする必要があります。

 

6.後見人が就任した後に、後見人を交代させるには条件がある

 

例えば母親Aのために息子Bが申立人となって後見申立を行い、弁護士や司法書士等の専門職の後見人Cが選任されたとします。

Bは後見人が就任したことで一安心したのも束の間、Cとはなかなか連絡がつかないうえ、愛想が悪くてうまくコミュニケーションが取れません。

Bは、Cとそりが合わないため、交代させたいと考えるようになりました。

この場合、仮にBがC後見人を交代させたいと考えたとしても、家庭裁判所に申し立てて無条件に交代させることはできません

このように後見人を交代させたい場合には、本人や親族が後見人の解任請求を行っていくことになりますが、これが認められるためには、後見人が任務に適しない正当な事由がなければなりません

例えば後見人が本人に対して虐待行為を行っている、あるいは財産を本人のためでなく後見人自身のために使っている(横領している)、等の事由が必要になります。

成年後見制度はあくまで本人のための制度であるため、親族が望んだとしても本人の不利益になっていないのであれば交代すべきではない、と考えられるからです。

 

7.後見が終了しても管理していた財産は後見人のものになるわけではない

 

例を挙げてみましょう。

被後見人A(夫は既に他界している)の長男Bが、Aの後見人に就任し、預貯金の一切をBに渡し、日常的に必要な金銭をAの預金から支払っていたとします。

Aはしばらくして病気により死亡しました。Bには、弟のC(Aの子)がいます。

この場合、被後見人死亡により、後見は終了します。しかし、既に預かっているAの預貯金はBのものになるわけではなく、相続財産としてBとCが相続することになります。

BがCから相続権を主張された場合、法定相続分(Aの財産の半分)については渡さなければなりません

後見申立の相談を受けていると、「後見人になった者が財産をもらえる」と考えている方がいらっしゃいます。

しかし被後見人の財産は、後見人が被後見人のために預かっているに過ぎず、被後見人死亡による後見終了後は、全て「相続財産」として相続人に引き渡されることになります

8.後見人であったからといって相続時に有利になるわけではない

 

被後見人に相続が発生した場合、相続人が財産を取得する旨は上記7で述べた通りですが、後見人が相続の際に有利になるとは言えません

後見人であった者の相続権が、他の相続人より多いとの規定はないからです。

また例えば上記7の例で、後見申立の際に、「Aと同居しているBが後見人となり、Aの面倒を見る代わりにCは相続を放棄する。」との念書をCに書いてもらったとします。

しかし、被後見人の生前に相続放棄の念書を書いたとしても、これには何ら法的拘束力はありません

これは民法915条に、相続放棄をする場合には「相続があったことを知った時から3か月以内」に行う旨が明記されておりますので、あくまで「死亡後」に手続きをすることが前提となっており、被相続人が死亡する前に相続放棄することはできないからです

それどころか、Cから「後見人としての管理が悪かったから、相続財産を無駄にした」と不当な因縁をつけられてしまうこともあるようです。

家庭裁判所に求められるか否かにかかわらず、後見終了時に争いにならないように、後見人として被後見人の財産を使った場合には、全て領収書等を保管しておくことが望ましいと思います。

9.後見人になったとしても本人の行為すべてを代理で出来るわけではない

 

後見人は、被後見人の財産を管理し、財産に関する法律行為についてのみ、被後見人の代理行為ができます

言い換えれば、一身専属行為は代理することはできません

一身専属行為とは、一身に属するという文字のごとく、いかなる場合も他人には行えない、本人のみに行える行為ということです。

例えば、結婚や離婚等の行為や、養子縁組、認知等が挙げられます。

これらの行為は、いかに後見人であろうとも、本人が決定すべき事柄であり、後見人が口を出すことを認めるべきではないからです

また、「遺言」も一身専属行為とされているため、後見人が代理で行うことはできません。

ご相談を受ける中で、母が認知症になってしまい、母亡き後の財産の処分方法について法定相続に従うと不都合があるため、自分が後見人となって遺言を書きたいとおっしゃる方がいらっしゃいますが、これはできません。

被後見人となった後も遺言を書くことはできますが、判断能力が一時的に回復していて、医師2人以上の立会のもと事理弁識能力のあることを確認できた場合にのみ行うことができます

遺言等の生前対策は、認知症が心配になる前の元気なうちに行っておきたいですね。

 

当法人では、後見制度の注意点等も踏まえ、最適な制度の利用方法のご提案をさせていただきます。

少しでもご不安な点ございましたら、目黒区学芸大学駅、渋谷区マークシティの司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまで、まずは一度ご相談ください。

 

 

お気軽にご相談ください。

法定後見の3つのレベルについて (2021.07.27)

 

 

 

≪目次≫
1.なぜ3つのレベルが用意されているのか
2.成年後見について
2-1.成年後見人に認められた権利
3.保佐について

1.なぜ3つのレベルが用意されているのか

法定後見制度とは、認知症等により判断能力が低下してしまった方が生活するうえで困らないために、代わりに財産の管理や契約行為をする人=「後見人」を、家庭裁判所を通して選任してもらう制度です。

この制度の趣旨は「本人の自己決定を尊重」したうえで、日常生活に困難が生じないように保護することにあります。

しかし、一概に「判断能力の低下」といっても、その程度や質は人それぞれ異なります。

軽い物忘れから自分の財産がわからなくなり、管理が難しいだけの比較的軽度の方から、すでに言葉を理解して返事をすることすら難しい場合まで、様々な方がいらっしゃいます。

そのような方をすべて一律・同列に規定していくことは、本来の後見制度の趣旨から外れてしまうと言えるでしょう。

例えば、軽い物忘れ程度の方に対して、高齢者施設の選別・入所契約、アパートの賃貸借契約等、比較的自己決定が尊重されてしかるべき場面においても、全ての契約ごとについて本人は行えず、後見人が代理で契約しなければならないとなったらどうでしょうか。

後見人と本人で意見が相違した場合、後見人が本人保護のためと称して代理で契約しなければならないとすれば、かえって自己決定を侵害しているとすら言えます

また逆に、重度の脳機能障害の方で意思表示もできない方に対し、高齢者施設の選別・入所契約、アパートの賃貸借契約はご自身で行ってください、との制度にしてしまえば、実質不可能ですので、今度は本人保護が不十分ということになってしまいます

このようなことが無いように、民法では成年後見制度に「成年後見」「保佐」「補助」と、3つのレベルを作っているのです。

 

2.成年後見について

法律上、成年後見となる方は、「精神上の障害(認知的障害・精神障害等)により、事理を弁識する能力を欠く常況にある者」とされてます。

つまり、判断能力がほぼ無い状態で、財産管理や生活の組み立てが一人では困難な場合といえます

後見申立され、本人の状態について家庭裁判所の判断がこのような場合には、「成年後見」が選択されます。

なお、家庭裁判所は医者では無いので直接面談等で本人の状態について判断するということではなく、申立の際に提出する医師の「診断書」に基づいて、家庭裁判所が総合的に判断することになります。

診断書によって判断がつかない場合には、更に家庭裁判所選任の医師による、鑑定が行われ、より詳細に本人の状態を診ていくことになります。

成年後見の申立に関しては、本人の同意は不要です。

これは、既に本人の意思以上に保護する必要性が高い状態といえますし、本人に適切に判断する能力があるとはいえないためです。

家庭裁判所による判断で、保護が必要と認められた場合には、本人の同意がなくとも、成年後見が開始することになります。

⇒『後見申立に必要な書類』に関するトピックスはこちら

 

2-1.成年後見人に認められた権利

成年後見人に対しては、「取消権」、「代理権」が認められています。

取消権」とは、本人(被後見人)のした契約行為等(法律行為)を、後見人が取り消すことができるというものです

後見相当の本人に関しては判断能力を常に欠いている状況ですので、本人を害する契約等を認識なく締結する恐れが常にある状態と言えるでしょう。

そこで法律上、後見人は、本人(被後見人)のした行為の全てを原則取り消すことができる、と規定しています。

これにより、例えば騙されて高額な宝石や絵画を購入した場合、家の増改築の請負契約等、本人がした行為は原則すべて取り消すことができますので、後見人としては安心です。

しかし、これには一部例外があり、「日用品の購入その他日常生活に関する行為」は取り消しの対象外とされています。

例えば、スーパーで夕食のお弁当を購入した、コンビニでお茶を購入したとの行為まで取り消せるとなった場合、お店に損害を与えてしまう恐れがあります。

また本人にも取り消しにより返還義務を負わせることにもなり、不都合が生じてしまうため、このような例外規定を設けているのです。

また、後見人はすべての法律行為について「代理権」が与えられます。

「代理権」はイメージがしやすいかと思いますが、本人に代わって本人のために法律行為を行い、その効果が本人に帰属する、というものです

この代理権に関しては後見相当の本人の保護必要性の高さから、全ての法律行為について自動的に後見人に付与されます。

 

3.保佐について

法律上、保佐となる方は、「精神上の障害(認知的障害・精神障害等)により、事理を弁識する能力が著しく不十分である者」とされてます。

つまり、判断能力が無い状態ともいえないが、著しく不十分であるため、財産管理や生活の組み立てに関して、一定の強い保護が必要といえます

本人の状態について家庭裁判所の判断がこのような場合には、「保佐」が選択されます。

なお、本人の状態に関して申立の際に提出する医師の「診断書」に基づいて家庭裁判所が判断し、判断がつかない場合には、医師による鑑定が行われる点は、後見の場合と同様です。

保佐の申立に関しては、後見の場合と同様に本人の同意は不要です。

判断能力が後見の場合よりもあるとはいえ、この保佐の場合も、本人保護の必要性が高い状態といえますし、やはり本人に適切に判断する能力があるとはいえないためです

保佐の場合には、民法上に規定されている重要な財産に関しての行為に関しては、保佐人の同意無く行うことができないとされています。

重要な財産に関しての行為は、下記の通り、民法13条1項に規定されています。

①原本を領収し、又は利用すること
②借財又は保証をすること
③不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること
④訴訟行為をすること
⑤贈与、和解、又は仲裁合意(仲裁法(平成15年法律第138号)第2条第1項に規定する仲裁合意をいう。)をすること
⑥相続の承認若しくは放棄、又は遺産分割をすること
⑦贈与の申込を拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること
⑧新築、改築、増築、又は大修繕をすること
⑨第602条(※短期賃貸借)に定める期間を超える賃貸借をすること
⑩①から⑨に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第17条第1項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること

 

①は預貯金の払い戻しを受ける行為や、貸金の返済を受ける行為利息付の金銭貸付等がこれに当たります。

なお、利息や賃料の領収は「元本の領収」にはあたらず、被保佐人単独で行うことができます

 

②は借金や、他者の債務の保証をする(保証人になる)等がこれに当たります。

なお、約束手形の振出も「借財」に当たります。

 

③は不動産の売買不動産に対して抵当権を設定する、不動産の賃貸借契約の合意解除株式や著作権の放棄等がこれに当たります。

また、高額な金銭や品物を贈与したり、通信販売等で高額商品を購入する、あるいは有料老人ホームの入所契約等もこれに当たります。

 

④は訴訟の提起、訴訟の取り下げがこれに当たります。

なお、相手が提起した訴訟に応訴する場合はこれには当たりません。

 

⑤は他人に高額な財産を贈与したり、和解や仲裁合意(紛争の判断を第三者に一任する合意)をする行為がこれに当たります。

 

⑥は本人が相続人になった場合に、その相続について承認や放棄をすることや、遺産分割協議を行うことがこれに当たります。

 

⑦は本人に利益となる贈与や遺贈を拒絶する行為がこれに当たります。

 

⑧は本人が所有する家屋の新築・改築、増築、大修繕をすることがこれに当たります。

 

⑨は民法602条に規定する短期賃貸借を超える期間に関しての賃貸借がこれに当たります。

具体的には、山林は10年、その他の土地は5年、建物は3年、動産は6か月を超える場合にこれに当たります。

 

⑩は例えば、本人の子ども(未成年)のために、本人が親(法定代理人)として子どもを代理して不動産売買や高額商品の購入等行った場合がこれに当たります。

被保佐人であっても親になることももちろんありますので、そのような場合に備えてこのような規定が置かれています。

 

以上のような行為を行うには、保佐人の同意が必要になります。

同意を得ないでした行為は、保佐人が取り消せることになります。

したがって、同意権のある行為に取消権もあるという関係になり、両者は表裏一体となっています。

 


鴨宮パートナーズでは、制度について何もご存知なくても、一から丁寧にご説明させて頂きまして、最適な制度の利用方法をご提案させていただきます。

成年後見の申し立て手続きをお考えの方は、目黒区学芸大学駅、渋谷区マークシティの司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまで、お気軽にご相談下さい。

 

 

お気軽にご相談ください。

成年後見制度の申し立てのために家庭裁判所に提出する書類 (2021.06.16)

 

 

 

≪目次≫
1.後見申立には様々な書類が必要
2.提出書類一覧
3.各書類の説明
①後見開始申立書
②申立事情説明書
③親族関係図
④本人の財産目録及びその資料
⑤相続財産目録及びその資料
⑥本人の収支予定表及びその資料
⑦後見人候補者事情説明書
⑧親族の意見書(同意書)
⑨医師の診断書及び診断書付票
⑩本人確認情報シート
⑪本人の戸籍謄本
⑫本人の住民票(又は戸籍の附票)
⑬後見人候補者の戸籍謄本
⑭後見人候補者の住民票(又は戸籍の附票)
⑮本人が登記されていないことの証明書
⑯愛の手帳のコピー(お持ちの方のみ)

1.後見申立には様々な書類が必要

 

成年後見制度に関して、家庭裁判所や各福祉機関によって周知活動をしていることもあり、年々制度の名前をご存じの方が増えてきていると感じます。

ご家族が認知症その他によって判断能力が低下してしまった場合に、ご自身で調べられて、家庭裁判所へ申立を行う方もいらっしゃるかと思います。

成年後見人が就任するということは、以後本人に代わって財産管理や、身上監護を行っていくという、本人に重大な変更を伴うため、裁判所も厳格な手続きを要求しています

そのため、提出する書類は多岐にわたります。

今回は、必要書類を一つ一つご紹介していきたいと思います。

 

2.提出書類一覧

 

成年後見の申し立てのために、裁判所には下記の書類を提出する必要があります。

なお、家庭裁判所によって若干異なる部分がありますので、今回は東京家庭裁判所の例をご紹介させていただければと思います。

 

①後見開始申立書
②申立事情説明書
③親族関係図
④本人の財産目録及びその資料
⑤相続財産目録及びその資料
⑥本人の収支予定表及びその資料
⑦後見人候補者事情説明書
⑧親族の意見書(同意書)
⑨医師の診断書及び診断書付票(3か月以内のもの)
⑩本人情報シート

※以上は裁判所にて書式を入手できるものです

 

⑪本人の戸籍謄本(3か月以内のもの)
⑫本人の住民票(又は戸籍の附票)(3か月以内のもの)
⑬後見人候補者の戸籍謄本(3か月以内のもの)
⑭後見人候補者の住民票(又は戸籍の附票)(3か月以内のもの)
⑮本人が登記されていないことの証明書(3か月以内のもの)
⑯(お持ちの方のみ)愛の手帳のコピー

 

細かい点や、提出書類の書式は各家庭裁判所により異なる場合がありますので、事前に確認が必要になります。

 

3.各書類の説明

①後見開始申立書

 

申し立てを行うにあたって、その大元になる申請書になります。

申し立てを行う申立人、後見人を就けたいご本人の記載、及び申立を行う理由、後見人候補者等を記入していきます。

後見人の候補者をご親族(例えば子や配偶者)でと希望される方も多いかと思います。

しかし、裁判所はその候補者を選任するとは限りません。

ご本人の財産の多寡や、今までの看護状況、病状、親族間の意見の相違が無いか等を総合的に判断し、候補者を選任するかを判断していきます。

場合によっては、候補者が選任されたうえで、後見監督人が選任される場合や、後見制度支援信託をするように指示されてしまうこともあります
(こちらについて詳細は別トピックスにてご紹介いたします)

なお、候補者がいない場合には、候補者欄は空欄にて提出します。

その場合、家庭裁判所が所持している候補者名簿から職権で後見人を選任することになり、多くの場合、弁護士や司法書士が選任されます。

 

②申立事情説明書

 

こちらの書面では、ご本人の状況を詳細に記載します。

 

●現在どこに居住しており誰の支援を受けているのか(または受けていないのか)

●施設に入っている場合にはその連絡先

●ご本人の略歴(どの学校を卒業し、どこに勤めていたか等)

●病歴、介護(障害者)認定の区分け

●本人の親族と、その方の後見申立に対する意見(賛成しているか等)

●後見人候補者が後見人にふさわしい理由

 

等々、詳細に記載する必要があります。

ご本人のことを最もよく知っておられる方に記入して頂くのが望ましいといえます。

この書面が最も記入欄が多く、記載をどうすればいいか戸惑われる方が多いようです。

 

③親族関係図

 

ご本人を基準に、相続関係がいかになっているかを記載します。

裁判所は、将来ご本人が亡くなった場合、本人の相続人は何人いて、その方たちが後見申立について承知しているのか、また財産管理・身上監護を行っていくうえで協力を得られる親族がいるのか等の確認をしているものと思われます。

当法人では、後見申立のお手伝いをご依頼を頂いた場合には原則、委任状を頂き、相続関係を把握するための戸籍収集を致します。

相続関係を把握しておくことは、就任後の財産管理・身上監護をスムーズに行い、事後のトラブルを防止防止するとの観点からも重要になってきます。

 

④本人の財産目録及びその資料

 

成年後見人は、基本的にご本人の財産全てを管理することになります。

そこで、申立を行う際に、どのような財産があるのかの一覧が必要になってきます。

財産とは具体的には、預貯金、株式や投資信託や国債等の有価証券、生命保険や損害保険、不動産、債権、その他負債等を項目別に記入していきます。

預貯金は、具体的にどこ銀行のどこ支店にいくらの預金があるという詳細まで記入し、有価証券も銘柄や個数、評価額まで記入します

その他の財産も同様に、詳細に記載が必要になります。

このように、申立を行う際に提出する財産目録には、ご本人の詳細の財産の一切を記入する必要がありますので、申立を行う際には、ご本人の財産の調査が必要になります。

場合によっては、普段から財産を管理している親族に確認したり、ご自宅の中を探したり、郵便物から推察したりする必要も出てくるかと思います。

このように調査しても分からないものに関しては、後見人が就任した後に、後見人が調査することになりますので、現状で分かる範囲で作成していきます。

また、財産に関しては可能な範囲で資料の添付が必要になります。

預金あれば、通帳の写し、有価証券であれば証券の写しや、証券会社等から送られてくる案内書等、不動産であれば不動産の登記事項証明書等が必要になります。

財産を最も把握している親族の方や施設関係者等に確認して、可能な範囲でご本人のすべての財産を把握しなければならないため、財産の多寡によりますが、初めて申立を行う方にとっては大変な作業に感じる方が多いと思います。

しかし、ご本人の意思能力(記憶力)が衰えてしまっているため、後見申立人や後見人が見逃してしまうとご本人の財産が逸失してしまうことにもなりかねないため、しっかりと調査をする必要があります

 

⑤相続財産目録及びその資料

 

こちらは、未分割の相続財産がある場合に記入が必要になる書類です。

例えば、ご本人(女性)の夫が既に3年前に亡くなっていて、ご本人の娘とご本人で預貯金や不動産を相続したが、遺産分割を行っていない場合等に必要になってきます。

遺産分割協議も、後見相当で判断能力が無くなっている場合には、そのままでは行うことができません。

そこで、後見人が就任した後に遺産分割協議を行うのですが、その協議の対象となるであろう財産も目録として作成し、資料と併せて裁判所に提出する必要があります。

これも上記④と記入の仕方に大きな違いはなく、調査が可能な範囲または入手が可能な範囲で、目録の作成・資料の収集が必要になります

 

⑥本人の収支予定表及びその資料

 

こちらは、後見人が就任した後のご本人の収支がどのようになるのかをわかるようにする書類です。

収入がいくらの予定で、支出がいくらの予定か、ということを記入する書類になるのですが、ここでも詳細に記入する必要があります。

収入としては、厚生年金、国民年金、その他の年金、給与、賃料報酬等の項目別に、それぞれいくらもらえる予定なのかを詳細に記載していきます

支出の記載はさらに細かくなります。例を挙げれば、

生活費(食費・日用品・電気ガス水道)、療養費(施設費・入院費・医療費)、住居費(家賃、借地の地代)、税金(固定資産税・所得税・住民税等)、保険料(国民健康保険料・介護保険料・生命保険損害保険料)、等々の要領で、何にいくら支出することが予定されているかを記載していきます

また、収支に関しても可能な範囲で資料の添付が必要になります。

収入については、年金の額がわかる年金通知書のコピー、株式の配当金であれば配当金通知書のコピー等がこれにあたります。

支出については、施設費用のわかる領収書、住居費(例えば住宅ローンや家賃)の領収書や計算書、固定資産税の納税通知書等がこれにあたります。

これらの資料は申立の直近2ヶ月分のものが必要になりますので、申立人の手元に無い資料があれば、持っている親族や施設等の関係各所に話をし、資料をもらっていく必要も出てきます

 

⑦後見人候補者事情説明書

 

この書面は、後見人の候補者を立てて申し立てを行う場合に提出が必要になる書面です。

例えば、母親が認知症を患い、娘が後見人候補者として申し立てを行う場合に必要になります。

仮に、親族が遠方に住んでいるために後見人として活動をすることが難しい場合や、そもそも親族が疎遠になっていて後見人になってもらいたいと頼むことが実質不可能等の理由で、後見人に就任する候補者が不在の場合には、この書面の提出自体不要になります。

後見人候補者事情説明書は、後見人の候補者に関して詳細に記載していきます。

後見人候補者の職業、年収、勤務先、職歴、家族構成、家族の年齢や職業、候補者となった経緯や事情等を記載していきます

なぜこんなプライベートなことまで裁判所に報告しなければならないのかと思われる方も多いと思います。

しかし、これは裁判所がこの候補者を後見人に選任することで、被後見人の利益をしっかりと守ることができるかの適正をみているためです

もちろんこの形式的な情報のみで判断できる部分は限られてくるとは思いますが、例えば、収入がある程度確保されているのであれば、被後見人の利益を侵害する可能性が比較的低いといえるでしょう。

また、家族がいたほうがサポートを受けながら後見業務を行っていける、といえるので問題が少ない等が考えられます。

被後見人本人の利益をしっかり保護するという成年後見制度の趣旨を実現するために、このような詳細な情報を提出する必要があるのです。

 

⑧親族の意見書(同意書)

 

後見申し立てを行う場合に、親族がどのような意向なのかを確認するための書面も併せて提出します。

「親族」は、基本的に被後見人が仮に将来死亡した場合に、相続権のある者が範囲として想定されています。

ただし、申立を行う者(申立人)は、賛成であるのが明らかなので、提出は不要です。

 

例えば申立を考えているXの両親A及びBが健在で、Xには弟Yがいるとし、Aの後見申立をXが行う場合、仮にAが死亡した場合の相続人はB、X、Yなので、裁判所に提出する意見書は、申立人Xを除くB及びYのものとなります。

 

また、例えば子のいないAには、既に亡くなっている姉Bがいて、Bには妻Cと子X、Y、Zがいたとします。

Aの後見申立Xが行う場合、仮にAが死亡した場合の相続人はX、Y、Zなので、裁判所に提出する意見書は、申立人Xを除くY及びZのものとなります。

 

意見書に記載する内容は、

①本人(被後見人)との続柄、本人について後見(保佐・補助)を申立ることについて賛成か反対か

②候補者を立てて申し立てを行う場合には、当該具体的候補者が選任されることについて賛成か反対か

 

の2点です。実際にはチェックボックスにチェックをしていきます。

これは、(将来的に)相続権のある親族間に争いがあると、例えば一部の(将来の)相続人のみで自己に有利な管理をする等により不公平感が増大してしまうことがありえるため、当該候補者を後見人とすることがかえって家族間の争いを助長させてしまう恐れがあるのかどうかをみていると考えられます

本人(被後見人)のための制度であるのに、本人に後見人が就くことで親族間が揉めてしまうことはかえって本人を害する結果となってしまうため、裁判所としても避ける必要があります。

一部の親族の中に、候補者(ある相続人)が就任することに反対の場合には、家庭裁判所としては、弁護士や司法書士等の第三者(専門職)を就任させた方が良いと判断する可能性が高くなると考えられます。

⑨医師の診断書及び診断書付票(3か月以内のもの)

 

後見を申立するにあたり、そもそも被後見人となる方が、後見人を立てる要件に該当する状態なのかに関しては、医師等の専門家でないと判断ができません

つまりご本人の状態が、法律上の文言でいう「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるか否かの判断は、申立を行う親族の意見のみでは不十分であり、医師による診断書をもって裁判所が判断していくことになります

直近の状態のものでないと判断ができないということもあり、基本的には3か月以内作成のものが要求されます。

 

基本的にはかかりつけの医師が最もご本人の状態を把握できると考えられるため、かかりつけの医師にお願いするのが良いと思います。

ただし、全ての医師が精神状態に関しての専門ではないため、かかりつけの内科医等に診断書の作成を断られてしまうこともあるようです。

その場合には、「物忘れ外来」や「認知症鑑別診断」を行っている病院等に問い合わせしてみると、対応してもらえる病院がみつかると思います。

 

なお、本トピックスでは詳細は割愛致しますが、後見よりも弱い「保佐」、「補助」という類型もあり、医師の診断書に基づいてどの類型に該当するのかを判断していくことになります。

保佐は「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である」者、また補助は「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である」者とされています

それぞれ保佐人補助人が家庭裁判所により選任され、後見よりも弱い措置が取られていくことになりますが、こちらは別のトピックスにてご紹介いたします。

この診断書につきましても、家庭裁判所のホームページにファイルが載っておりますので、印刷したうえで医師に記入をお願いするということになります。

外部サイト⇒家庭裁判所ホームページ「成年後見制度における鑑定書・診断書作成の手引」

 

内容は、診断名(病名)や、重症度、検査をした際の点数(例えば長谷川式の認知症テスト等)、脳の萎縮や損傷の有無、回復の可能性などを記入してもらいます。

また、診断書内に

①「契約等の意味・内容を自ら理解し,判断することができる。」

②「支援を受けなければ,契約等の意味・内容を自ら理解し,判断することが難しい場合がある。」

③「支援を受けなければ,契約等の意味・内容を自ら理解し,判断することができない。」

④「支援を受けても,契約等の意味・内容を自ら理解し,判断することができない。」

 

という項目があり、どれに該当するかをチェックボックスにチェックするというものがあります。

基本的に④については後見相当、③については保佐相当、②については補助相当、①についてはどれも不要ということになり、とても重要な項目となります

こちらのチェックにてすべてが判断されるわけではありませんが、それを覆すようなものが他の記載から読み取れない限り、上記のような判断を裁判所も踏襲することになるでしょう。

その他、

●他人との意思疎通の障害の有無

●理解力・判断力の障害の有無

●記憶力の障害の有無

 

についても、4段階でチェックするという項目もあります。

そもそも後見申立が必要な状態なのかを知りたいという場合には(診断書作成の費用を医師に支払う必要はでてきてしまいますが)この診断書の記入を医師にお願いし、上記項目等を参照して、申立を行う必要があるのかをご判断いただくという方法も良いでしょう。

また、診断書には「診断書付票」という書面も同時に医師に記入してもらいます。

 

後見申立が行われ、家庭裁判所が診断書等提出された書類をもっても「後見」「保佐」「補助」のどの類型を選択するべきかの判断がつかないこともあります。

そこで、そのような場合には、家庭裁判所の職権で、鑑定というものが行われます。

これは、家庭裁判所が選任した医師によって、より詳細に本人の状態を把握し、診断していくというものになります。

上記「診断書付票」には、仮に鑑定を行うことになった場合に、引き受けてもらえるか否か、またその場合にかかる期間や報酬額を記載してもらうものになります

家庭裁判所はこちらの記載も参考にしたうえで、鑑定を行う場合にはこの診断書を記載してもらった医師に依頼するか、別の医師に依頼するのかを決めていきます。

 

⑩本人確認情報シート

 

後見申立を行う際には、医師による診断書を提出することで、ご本人の状態を家庭裁判所が判断しますが、この医師の診断書の補足資料として、「本人情報シート」を提出していきます。

基本的にご本人の普段の様子等を記入していく書類になります。

まずは形式的な部分で、現在どちらにいるのか(ご自宅なのか施設なのか病院なのか)、施設や病院でしたらその名称や所在介護認定や障害者認定等の該当区分認定日等を記載していきます。

次に、実質的な部分で、普段の生活の中で身体的な支援が必要か、またどの程度の支援が必要か、それに伴って今後の支援体制としてどのようなことが必要になってくるのかを記入していきます。

また、認知機能の程度として、日常的な意思伝達能力の程度日常生活の短期的記憶能力の程度家族を認識できるか等を記入していきます。

その他、下記のような内容を記入していきます。

 

 

●日常生活上支援が必要な行為

●地域社会との交流の頻度

●金銭の管理を現在どのように行っているのか

●今後生じうる課題

●ご本人に裁判所の手続きをすることについて説明しているのか
(又は認知症の程度が重度で、説明しても理解できないので説明していないのか)

●本人にとって望ましい日常生活及びそれに関する課題と解決策等

 

 

内容としては記入が簡単ではないうえ、日常的にご本人にある程度関わっていないと記入できないものと言えます。

そこでこちらの書類については、基本的には福祉関係者に作成してもらうことになります。

明確に決まりがあるわけではありませんが、例えば自宅にて訪問介護をうけている方であればケアマネージャーの方、病院に長期に入院中の方でしたら、病院にいる相談員ケースワーカーソーシャルワーカー)等に記入してもらうことになります。

なお、こちらの書類は提出が義務ではなく、可能な限り提出が求められている書類になります

これは、例えばご本人の配偶者の方がご自宅で介護をされていて、ヘルパーさんも頼まれていらっしゃらず、入院もしていなくて、書いてもらえる方がいない場合も想定されるからです。

この場合には、提出が義務になっている②申立事情説明書において、ほとんど同じような項目があります。

そして、本人情報シートを提出すれば、申立事情説明書のこの項目についての記載は省略できる、との構成になっています

逆に言えば、本人情報シートの記入を福祉関係者に依頼できない場合には、申立を行う方(例えば本人の配偶者や子等)が申立事情説明書に当該項目を詳細に記入する事で、本人情報シートの提出は不要になります。

本人情報シートの記入を福祉関係者に依頼できる場合には、本人情報シートを福祉関係者に記入して頂き提出する代わりに、申立を行う方(例えば本人の配偶者や子等)の申立事情説明書の当該項目の詳細な記載は免除されるということになります。

裁判所からすれば、医師の診断書ももちろん重要ですが、ご本人の近くにいて、日常生活を実際に見ている方に様子を聞くことで判断材料にしていく、という点を考慮すると重要な書類であるといえます。

余談となりますが、この書類作成を通して、日常生活がどの程度可能で、どのような支援が必要なのか等、改めてよく考えてみていただき、ご本人にとって何が最良な環境なのか(在宅介護なのか施設入所なのか、どの程度支援が必要な施設を選択するか等々)を改めて考えていく良い機会ともなるでしょう

 

⑪本人の戸籍謄本
⑫本人の住民票(又は戸籍の附票)
⑬後見人候補者の戸籍謄本
⑭後見人候補者の住民票(又は戸籍の附票)
※すべて3ヶ月以内のもの

 

成年後見を申し立てる際に、被後見人予定者や後見人候補者に関して、何通か提出しなければならない証明書があります。

申立書類を受領した裁判所としては、被後見人予定者や後見人となる候補者の方が、実在する人物なのか、またどこに居住しているのかを確認するため、公的な証明書類が要求されます

まず、被後見人予定者本人の戸籍住民票(または戸籍の附票)です。

直近のものの証明書が要求されますので、どちらも発行後3か月以内のものを提出する必要があります。

 

また、住民票に関しては戸籍の附票にて代用が可能ですが、戸籍の附票という書類はあまりなじみのある書類ではないかと思います。

簡単にご説明すると、今現在の本籍にいる期間について、その期間内に住所を移転した遍歴を、全て記載した書類になります。

余談ですが、本籍は結婚や養子になる等以外で変更しない方が多いため、頻繁にお引越しされている方が住所遍歴を証明するためには非常に便利な証明書かと思います。

こちらも住民票と同じく、住所を証明する書類ですので、住民票の代わりになるということです。

 

住民票に関しては、マイナンバー(個人番号)を載せることができるようになっておりますが、裁判所はマイナンバーを記載した書類の受領ができないため、マイナンバーは省略したものを取得する必要がありますので注意が必要です

また、後見人候補者をあらかじめ指名して申し立てを行う場合、当該後見人候補者の戸籍謄本と、住民票(または戸籍の附票)も提出する必要があります。

こちらに関しても、期限の3か月、マイナンバーを載せたものは使用できない点は、被後見人本人の戸籍、住民票と同じですので、注意が必要です。

また、住民票はやはり戸籍の附票にて代用可能です。

 

⑮本人が登記されていないことの証明書
(3か月以内のもの)

 

この書類は、既に後見制度を利用していて、後見人等が就任している方に対し、二重で選任されることのないように、提出が求められています

従いまして、「被後見人予定者の方」に関して、後見/保佐/補助/任意後見について既に「登記されていないことの証明書」を提出することになります

こちらの書類は、(東京23区の場合)東京法務局の後見登録課に対して発行を依頼するものになります。

登記されていないことの証明書」の請求をする際に、「どの登記」がされていないことを証明する必要があるか、を発行請求書に記載することになるのですが、先述のとおり、「後見/保佐/補助/任意後見について」が求められていますので、一部でも欠けていると証明書を取得し直しとなってしまいます

そのため、取得請求書を記載する際は必ず「後見/保佐/補助/任意後見」の全てと記載(またはチェックボックスにチェック)してください

 

⑯愛の手帳のコピー(お持ちの方のみ)

 

こちらは知的障害のある方が被後見人予定者となる場合、お持ちでしたらこちらのコピーも提出書類となっておりますので、併せて提出する必要がございます。

 

後見申立を行う際に家庭裁判所に提出する書類のご説明は以上となります。


成年後見の申し立ては、収集する書類が多く、一般的になじみの薄い手続きですので、ご自身で行うのは時間と労力がかなりかかってくると思います。

司法書士法人鴨宮パートナーズでは、制度について何もご存知なくても、一から丁寧にご説明させて頂きまして、書類の収集代理・提出書類の記入代理、さらに家庭裁判所との連絡も当法人にて致します。

成年後見の申し立て手続きをお考えの方は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズにお気軽にご相談下さい。

 

お気軽にご相談ください。

相続のキホン⑤ ~戸籍の読み方~ (2021.02.10)

相続のキホン⑤

前回より相続の考え方、法律用語などを不定期にお届けしております『相続のキホン』。

今回は、『戸籍の読み方』について取り上げていきたいと思います。

≪目次≫
戸籍の読み方
平成6年式戸籍
②昭和23年式戸籍
③大正4年式戸籍
④明治31年式戸籍
⑤明治19年式戸籍

 

相続手続きでは、相続人を確定させるため戸籍の取得が必要となります。

公正証書遺言がない場合では、状況により亡くなった方の父母の出生まで遡って戸籍を取得する必要がありますが、戸籍の書式は時代とともに変化しており、その戸籍がどの時期(いつからいつまで)のものであるかを読み取ることは容易ではありません

今回は、戸籍について、年式別の種類を説明するとともに、取得した戸籍がどの時期にあたるものかを確認する方法を紹介したいと思います。

 

①平成6年式戸籍

2021年現在の戸籍は、平成6年式戸籍といわれる書式です。

コンピュータ化されている書式で、他の年式が縦書きであるのに対し、横書きの書式となっています。

 

<時期の確認方法>

●戸籍事項(当該戸籍の情報)
当該戸籍がいつからいつまでの戸籍なのかが記録されています。

(最新の戸籍である場合は「いつまで」は書かれていません)

●戸籍に記載されている者

この欄には、戸籍内の人ごとの情報が記載されています。

この欄に「除籍」となっている方の除籍理由が「死亡」となっている場合は、その者にとっての死亡時の戸籍となります

また、「除籍」となっていない場合は、その者にとって最新の戸籍となります

 

②昭和23年式戸籍

昭和23年式戸籍は、平成6年式戸籍と同様に、昭和22年の民法改正に従って作成された書式です。

よって戸籍事項、戸籍にされている人の記載は平成6年式戸籍と同様です。

ただし、コンピュータ化前の書式となっているため縦書きとなっており、数字が「壱」「弐」「参」「拾」といった漢数字となっています。

 

<時期の確認方法>

●本籍欄の右側欄外(横)

本籍欄の右側欄外に「平成六年法務省法令第五十一号附則第二条第一項による改製につき平成〇〇年〇月〇日削除」と記載されていることがあります。

この場合、コンピュータ化により平成6年式戸籍が作成されていることになるので、この戸籍は改製までの戸籍(改製原戸籍)として扱うことになります。

●戸籍事項(当該戸籍の情報)

本籍欄の左側が戸籍事項です。当該戸籍がいつ編製され、いつまでの戸籍であるかが記載されています。

ただし、上述の通り、コンピュータ化に伴い削除されている場合、当該戸籍の終わりは欄外に記載されています。

●戸籍内の者ごとの情報

戸籍事項につづいて左側に、戸籍内の人ごとの情報が記載されています。

「昭和〇〇年〇月〇日□□で出生父△△届出同日受附入籍」「平成〇年〇月〇日△と婚姻届出同月〇日□□市長から送付同区△に夫の死の新戸籍編製につき削除」(例)といった形で記載されています。

 

③大正4年式戸籍

大正4年式戸籍は、比較的記載内容が多い戸籍です。

まず、それまでの「家制度」により、孫など三代以上の者も記載されている場合があります。

また、戸籍作成時にそれまであった戸籍の記載事項をすべて記載していたため、編製事由(当該戸籍の期間を示す記載。「〇年〇月〇日〇〇改製」等と記載)が複数ある場合があります。

編製事由が複数記載されていた場合は、最も現在に近いものが、当該戸籍のはじまりとなります。

 

<時期の確認方法>

●戸主の事項(当該戸籍の情報)

通常本籍のすぐ左側に戸主の事項が記載されています。ここには戸主の事項だけでなく当該戸籍の情報も記載されています

当該戸籍がいつからいつまでの戸籍なのかはこの欄に記載されています。

●戸籍内の者の事項

戸主の事項につづいて左側に、戸籍内の者ごとの情報が記載されています。

「本籍に於て出生父△届出昭和〇〇年〇月〇日受付入籍」「△と婚姻夫の氏を称する旨昭和〇〇年〇月〇日受附□□に新戸籍編製につき削除」(例)といった形で記載されています。

 

④明治31年式戸籍

明治31年式戸籍は、「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」という欄があることが特徴です。

1枚目の表には2人、裏には3人、2枚目以降は、すべて3人ずつ記載できるような様式になってます。

 

<時期の確認方法>

●戸主ト為リタル原因及ヒ年月日(当該戸籍の情報)

一枚目に「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」という欄があり、「父△死亡に因り大正〇年〇月〇日戸主と為る同日届出同日受附」(例)といった形で記載されています。

この日付が当該戸籍のはじまりとなることが多いです。

●戸主を含む戸籍内の者の事項

本籍の左側に、戸主から順に戸籍内の者の事項が記載されています。

当該戸籍の終わりは戸主の事項に「□□に転籍届出大正〇年〇月〇日〇〇市長受附同月〇日送付全戸除籍」(例)といった形で記載されています。

 

⑤明治19年式戸籍

明治19年式戸籍は、2021年現在閲覧可能な最古の年式となります。

この戸籍には一部空白がありますが、これは「族称欄」と呼ばれる「士族」「平民」といった記載があった場所ですが、身分差別廃止の観点から現在では白く塗られており、白く塗られている部分の記載が読み取れなくても問題はありません

 

<時期の確認方法>

●戸主の事項(当該戸籍の情報)

本籍の左側に、戸主の事項が記載されています。

戸主の事項内に、当該戸籍がいつまでの戸籍なのかは記載されていますが、いつからの戸籍となるかは記載されていない場合があります。

●戸籍内の者の事項

戸主の事項から順に戸籍内の者の事項が記載されています。

それぞれの者にとっていつまでの戸籍となるかが記載されています。

 

コンピュータ化以前の内容は手書きで書かれており、記載内容が判読しにくいものもあります。

また、記載内容を正しく読み取って対応しないと、思わぬトラブルになる可能性があります。

必要な戸籍の代理取得を含め、ご検討の方は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまで、お気軽にご相談下さい。

 

 

お気軽にご相談ください。

離婚と遺産分割・財産分与の関係性とは (2021.01.27)

 

 

 

 

 

前回までのトピックスにおいて、遺産分割について多く触れて来ました。

今回は、相続人の離婚と実家の土地の相続について本当にあった相談事例を基本にお話しをしたいと思います。

 

下記の相関図をご覧ください。

≪相関図≫
父(被相続人)、母(同居)、長女(嫁いでいる)、長男(同居)

弊社の司法書士が、ご自宅を訪れ遺産分割協議についてお話をお伺いしたところ、建物は同居の長男で登記名義が入っている為、今回父の底地の相続登記も長男名義にしたいと、お話が進み、相談が終盤に近付きました。

同居のお母様も、ご長女の方も、実家の土地は、ご長男が単独名義をいれることで納得していたのですが、肝心のご長男はなぜか難色を示し、なかなか発言をしません。

そして、最後にご長男から次の様なご意見が、、、、

 

『実は、今妻と別居中でして。。。

これから、財産分与について話し合う所なのですが、今、私が実家の土地を相続してしまうと、この土地の一部を財産分与で妻に渡す必要があるかもしれないと思って。。。

それだけは、耐えがたく今回は私の名義にしたくないのですが。。。』

 

 

皆さんは、この問題についてどう思いますか?

結論から申し上げますと、実家の土地の相続は、離婚時における財産分与には影響を与えません

ですので、今回のケースは、相続人全員のお話合い通りご長男が取得したとしても、ご長男の妻には、実家の土地の持分や代償金を財産分与として支払う必要はありません。

離婚時の財産分与は、婚姻時点~別居時点までに夫婦で共同で築き上げてきた財産一切が対象となりますが、婚姻前にご自身名義で買った財産や、実家の相続で取得した財産は特有財産と言われ、一切財産分与の対象にはなりません

上記の内容をお伝えすると、ホッとしたご様子で、無事ご長男名義で相続登記の申請をすることが出来ました。

 


相続専門の司法書士は、手続き代行屋ではなく、各ご家庭が置かれた状況や一切の事情をヒアリングし、時には相続とは関係ないように思われる法律知識も駆使しながら最適な遺産分割を提案していきます。

遺産分割で迷っている、二次相続を睨んだ遺産分割をしたい、相続人の一人が債務整理をしている、相続人の一人が離婚協議中である、相続人の一人が失踪してしまっている。
等々、、、

遺産分割には多種多様な論点が盛りだくさんです。

 

当法人では、多種多様な相続手続きを手掛けてきた専門の司法書士がチームを組み、要所要所で最適な提案をしていきます。

相続でお悩みの方は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまで、是非お気軽にご相談下さい。

 

お気軽にご相談ください。

そもそも成年後見制度とは何か?制度の概要と後見人の義務とは (2021.01.20)

 

 

≪目次≫
1.成年後見制度の概要
 ◆どんな時に困るのか
2.制度内容
3.家庭裁判所が後見人に定めた義務

 

1.成年後見制度の概要

 

日本は高齢化社会になった、と言われて久しい今日、平均寿命の増加によって認知症になるリスクは年々増加しています。

自分(の親)は大丈夫、とは決して言えない時代になってきています。

しかし実際に認知症になってしまった場合、具体的に何に困ってくるのか、それをどのようにカバーしていったらいいかを正確に理解されている方はまだまだ少ないと思います。

そこで今回は改めて、認知症等により判断力が低下した場合の制度成年後見制度とはどのようなものなのか、について基本的なところをご説明したいと思います。

 

≪どんな時に困るのか≫

 

認知症になってしまった場合、どのような場合に困ってくるかについて詳細は、以前のトピックス【そのまま手続きできる?後見人を立てなければならない場合】にてご紹介しましたのでそちらに譲らせていただきますが、大まかに挙げると下記のような場合が考えられます。

 

●認知症になってしまった場合、たとえ息子(娘)であっても、銀行から預金が下せない

●認知症になった方が老人ホームや高齢者施設に入居しようとしても、入居契約ができない

●亡夫の資産を相続しているが、相続人間で遺産分割協議が整わないうちに認知症になってしまった場合、相続手続きを確定的に行うことができない

●認知症になってしまったので、グループホームに入りたいが、入居資金が足りない。持ち家を売却すれば資金を用意できるが、認知症のため売買契約を締結することができない

●認知症の親が不要な契約をしてしまったとしても、契約を息子等が取り消すことはできない

 

では、認知症になってしまった場合、これらを解決するために成年後見制度を使うとどうなるのでしょうか。

 

2.制度内容

 

成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害等の理由で判断能力が低下してしまった方の代わりに財産管理を行ったり、生活や医療等に関する手続き(契約等)を行ったりすることで、判断能力が低下してしまった方の権利や生活を守る制度です

成年後見人は法律上の代理権を持ち、例えば以下のようなことを行うことができます

 

●本人の銀行口座の通帳及びキャッシュカードを管理し、本人のために預金を引出し、月々の光熱費や家賃の支払い等を行うことができます

●本人に代わって、介護老人施設を探して、入所(入居)契約を締結することができます。

●親や配偶者から相続したが相続人間で未分割の相続財産について、本人に代わって遺産分割協議を行い、確定的に本人の名義に変更手続きすることができます。

●本人に代わって所有不動産を売却し、施設入居の資金に充てることができます。

●本人がした不要な売買契約や工事請負契約を取り消すことができます。

 

成年後見人は、家庭裁判所を通じて選任されるという厳格な手続きを要求しているため、その分強力な権限が与えられているのです。

但し、成年後見人はあくまで認知症等により判断能力が低下してしまった方(被後見人)のための制度になりますので、成年後見人自身の利益ために被後見人の財産を浪費したり、財産を無駄に支出したりして、被後見人の財産を侵害することはあってはいけません。

そこで、被後見人の財産を守るために、成年後見人に対しては家庭裁判所が監督することになります。

 

3.家庭裁判所が後見人に定めた義務

 

管理している財産は何で、どのように管理しているかを把握するため、一年に一度、報告書の提出を求められます

具体的には、管理財産把握のための財産目録を毎年作成し提出します。

また、被後見人の預金や現金に変動(入出金)がある場合、領収書や請求書にて、何にいくら使ったのか、いくら何の資金が入金したのか等の収支報告書を作成、領収書等を添付して提出します

成年後見人は法律上「善管注意義務」(善良なる管理者としての注意義務)を負い、高度な注意義務が課されており、これに違反する管理を行った場合、解任されたり、損害賠償請求される恐れもあります

このように、認知症等により判断能力が低下した場合、成年後見制度を利用することで、成年後見人が代理で財産管理や契約行為を行い、不都合を解消することができるのです。

 

 


当法人では、制度について何もご存知なくても、一から丁寧にご説明させて頂きまして、お困りごとを解決する方法をご提案させていただきます。

認知症等によってお困りの方は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズにお気軽にご相談下さい。

 

 

お気軽にご相談ください。

遺言で出来ない事を実現する『死後事務委任契約』の活用方法 (2021.01.13)

死後事務委任契約の活用方法

 

 

Title
1.『死後事務委任契約』とは?
2.死後事務委任契約におけるポイント
死後事務の内容
死後事務委任の相手
受任者への連絡
報酬と費用の支払い
事前準備のススメ
3.まとめ

1.『死後事務委任契約』とは?

よく、「遺言書を作って葬儀のことを決めておきたい」という話を耳にするのですが、実は遺言書では、財産に関する事項にしか法的拘束力がありません

例えば「私の遺骨は海に散骨してほしい」と遺書に書いても、ご遺族が「自分のお墓に納骨したい」と決めたら、その点に関して法的拘束力がない以上、ご親族の意思の方が強くなることになります。

また、官公庁への各種届出を伴う手続き以外にも、近年ではSNSでの死亡の告知などといった事務手続きも課題になっています。

これら故人の遺志通りに進めることができる方法として、主に遺言書のオプションとして活用されている死後事務委任という契約があります

今回は死後事務委任について説明するとともに、ポイントを整理したいと思います。

 

 

2.死後事務委任契約におけるポイント

①死後事務の内容

死後事務委任では、さまざまな手続き等を委任することができます。

下記の例以外の内容も委任することが可能ですし、下記の内容のうち一部のみを委任することも可能です。

◆死後事務委任内容(の例)◆

□死亡診断書・死体検案書の受取り
□役所への死亡届の提出
□病院等の退院手続きと精算
□葬儀・火葬に関する手続き
□埋骨・散骨等に関する手続き
□お墓に関する手続き
□相続財産管理人の選任申立手続きに関する事務
□賃貸住宅料の支払いと物件引渡しまでの処理
□遺品整理
□健康保険・運転免許・パスポート・各種資格等の返却等手続き
□公共料金・住民税等の支払手続き
□クレジットカード・電子決済サービス等の精算・解約手続き
□SNS等インターネットサービスの死亡告知・残置・消去・解約等の手続き  等

 

②死後事務委任の相手

死後事務委任契約の相手は、自由に選ぶことができますので、知人・友人などでも受任することが可能です。

ただし、委任した事務が実施されるのは自分の死後となるので、委任したとおりに実行してくれているか確認することができない、という点に注意が必要です

信頼のおける人であるとともに、手続き等を間違いなく実施できる人を選ぶべきでしょう。

手続きの中には慣れていないと難しいものもあります。時には受任者が自分の手に負えず、わざわざ費用を払って専門家に依頼して実施した、という例もありますので、友人・知人に負担がかからないよう、専門家に委任することをオススメします。

 

③受任者への連絡

死後事務委任契約を結ぶ場合、死後事務を実施する受任者は、委任者が亡くなったら即座に対応しなければならないため、委任者が元気でいるかどうかを知っている必要があります

このため、特に受任者が独り身である場合などには、死後事務委任契約と併せて「見守り契約」といって、本人と定期的に連絡して状態を確認する契約をセットで契約することが一般的です。

 

④報酬と費用の支払い

死後事務委任の報酬に決まりはありません。

専門家に依頼した場合、専門家が提示する金額によりますので、内容等をふまえ検討が必要です。

かといって、高いから安心というようなことはありません。

状況を適切に理解して委任した通りに実行してもらえるかどうか、という点では、専門家であれ友人であれ、信頼できる方を選ぶことが重要になるでしょう。

友人に委任する場合、念のため公正証書(1通概ね11,000円+正本謄本料3,000円程度)を作成することで委任を証明することができます。

専門家に依頼した場合、法的には死後事務委任を単独で委任することも可能ですが、実務上では遺言書のオプションとしてまとめることが多いようです

また費用に関してですが、報酬以外に実際の手続費用が必要となります。

あらかじめ概算費用を見積りしてもらい、報酬とともに信用度を検討されることをお勧めします。

なお、死後発生する費用の支払いについては、遺産から支払う方法と、予め預託しておく方法があります。

預託については信託会社に預ける方法もありますが、死亡するまで信託手数料を払い続けねばならないなどのデメリットがあります。

 

⑤事前準備のススメ

死後事務委任契約を行うにあたっては、死後実施すべき手続きがどれくらいあるかを把握し、事前に少しづつでも準備されることをオススメします。

例えばお墓・仏壇の片付けがある場合は、「閉眼供養」「永代供養移設料」などと称して不要な費用が発生する場合があります。

インターネット上での手続きに必要なアカウント情報や消去・残置方法なども整理しておくと良いでしょう。

銀行の口座解約には出生から死亡までの連続した戸籍謄本等が必要となります。

無駄な費用をかけないためにも、生前に整理しておくことをオススメします。

ただし、もちろん、生きているうちに必要なものを無理に処分したり、諦めたりする必要はありません。

 

3.まとめ

 

・葬儀、住居の片づけやインターネット上の手続き方法を決めておくには、遺言書の他に「死後事務委任契約」が必要。

・手続きの中には、慣れていないと難しいものがあるので注意が必要。

死後事務は死後即座に行う必要があるため、「見守り契約」とセットで契約することが一般的

・受任者への報酬の他に発生する費用は、遺産から支払う他に、予め預託しておくことが可能

・できるだけ生前に整理しておく。ただし無理のない範囲で。

 

死後事務委託は、それぞれのケースによりさまざまな手続きがあります。安易に委任してしまうと、受任者に負担をかけてしまったり、故人の遺志を実現出来ないといった結果になっては元も子もありません。

ご検討の方は是非一度、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまで、お気軽にご相談ください。

 

お気軽にご相談ください。

成年後見制度にかかる費用 (2020.12.17)

 

 

≪目次≫
1.後見申立にかかる費用
1-1.収入印紙代
1-2.切手代
1-3.登記手数料
1-4.鑑定費用
2.成年後見人を専門家に頼んだ場合にかかる費用

 

1.後見申立にかかる費用

「成年後見制度」を利用した場合、いくらかかるのでしょうか。

『親が認知症になってしまい今後どうすればいいのかを調べてみると、どうやら「成年後見制度」というものがあるらしいが、いったいいくら必要になるのか、、』とご不安になる方もいらっしゃるかと思います。

そこで、成年後見制度を利用した場合の費用はいくらかかるのか、今回はこちらのテーマを見ていきましょう。

成年後見制度を利用したい場合、まずは家庭裁判所に後見の申立を行います。

ここで裁判所に支払うためにかかってくる費用は、下記のものがあります。

①収入印紙代
②切手代
③登記手数料
④鑑定費用

 

1-1.収入印紙代

収入印紙は、申立のために家庭裁判所に支払う手数料になります。

ここで、後見制度の3類型(後見・保佐・補助)によって費用が異なりますが、各場合の費用は以下のとおりです。
※なお、後見・保佐・補助類型の詳細説明につきましては、別トピックスにてご紹介致します。

後見」は、同意権が無く(一部の行為を除き、たとえ成年後見人が同意をしたとしても、成年被後見人の単独行為は認められていないため)、かつ包括的に代理権が与えられておりますので、申立に同意権追加付与の申立や代理権付与の申立をセットにすることはできません

また、補助申立は、同意権追加付与の申立又は代理権付与の申立(あるいは両方)とセットにて申立を行う必要があるため、申立のみはできません。

 

1-2.切手代

切手代は、家庭裁判所が申立人や後見人に選任された者に対して審判書等の書類を郵送するために、予め納めておくものになります。

裁判所により異なりますが、約3000円から5000円ほどになります。

 

1-3.登記手数料

後見の申立を行うと、成年被後見人が○○、成年後見人として××がいつ選任されたという内容が「登記」されます(公的機関の記録に登録されるということです)。

手数料として2600円がかかります。登記する費用も事前に家庭裁判所に納める必要があります。

 

1-4.鑑定費用

成年後見制度を利用する場合、本人の精神状態が後見相当といえるのか、その状態を鑑定することがあります

実施するかは家庭裁判所が判断しますが、精神状態の鑑定ですので、医師が鑑定人として状態を調べます。

ここで鑑定人に支払う報酬が5万円~10万円ほどかかってきます。

ただし、実際に鑑定が行われるケースは10件に1件に満たないといわれています

鑑定を行うか否かにかかわらず、申し立てを行う場合には、医師の診断書を提出する必要があるため、この診断書のみで精神状態が判断できる場合には、さらに鑑定を行う必要が無いと判断されるからです

申立を行い、家庭裁判所がどう判断するかにかかっていきますので、申立の最初の段階では確定ができませんが、家庭裁判所により鑑定が必要ないと判断された場合には鑑定費用はかかりません。

 

2.成年後見人を専門家に頼んだ場合にかかる費用

次に、実際に成年後見人が就任した場合に、後見人に支払う報酬に関してご説明したいと思います。

親の後見申立を行い、息子等のご親族が成年後見人に就任した場合には、基本的に報酬はかかりません。

後見人報酬の支払われ方は、後見人自身で裁判所に対して「こういった業務を後見人として行いましたので、報酬を付与してください」(報酬付与申立)ということを申告し、これに対して家庭裁判所が「被後見人の財産から後見人に対して○○万円の報酬を与える」との審判により、被後見人の財産から後見人が報酬を得ることになります

つまり後見人が家庭裁判所に対してこの申し立てを行わない限り、後見人に報酬は生じないということになります。

したがって、親族等が後見人に就任した場合、報酬付与申立を行わない限り、報酬は発生しないということです。

しかし、後見人に親族以外の専門家(司法書士や弁護士等)が就任した場合には、報酬付与の申立を行うのが通常です。報酬額は、基本的に管理する財産の量に比例します。

報酬額は管轄の裁判所によっても変わってきますが、東京家庭裁判所管内ですと基本報酬が月額約2万円、管理する財産が1000万円から5000万円ですと約3、4万円、5000万円以上ですと約5、6万円とされています。

また、その他被後見人のためにした通常業務の範囲を超える行為(例えば管理している不動産の売却や、被後見人を含む遺産分割協議、保険金請求等)を行うと、家庭裁判所がこれを考慮して付加報酬を与える場合もあります

 

 


司法書士法人鴨宮パートナーズでは、成年後見制度の詳細なご説明をさせていただき、制度の最適な利用方法のご提案をさせていただきます。

疑問点などございましたら、是非一度お気軽にご相談ください。

 

 

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会社の代表取締役が認知症になってしまった場合の手続き (2020.12.03)

 

 

日本の高齢者人口は増え続けていて、その点は会社の経営者についても例外ではありません。

経営者が認知症になってしまうと、経営の判断の質が低下したり、言動から取引先の信用が低下してしまう、などの弊害が生じます。

場合によっては経営者の意思能力が無いと主張され、契約の効力を争ってくる可能性もあります。

このような場合、他の取締役等は、どのように手続きをしていくべきなのでしょうか。今回はこちらのテーマで書かせていただきたいと思います。

 

 

≪こんな場合、どうする?≫

 

A株式会社の代表取締役はB、取締役はBの息子であるCが登記されています。

普段からBは、「近頃物忘れがひどくなってきたので、会社の経営は息子であるCに任せている」旨を、取引先にも公言していました。

しかし、代表取締役はBの状態のまま、Bの認知症が悪化してしまいました。

 

この場合Cはどうしたらいいでしょうか。

 

 

①代表取締役Bを解任する

まず考えていくのが、このままですと会社経営にリスクがありますので、代表取締役Bを解任する手続きを取っていくことが考えられます

株主総会にて「取締役」Bの解任(代表取締役資格は自動的に失う)をしていくか、仮に取締役会を置いている会社でしたら、取締役会にて「代表取締役」の資格のみ先に解任することも可能です。

しかし、取締役会にて取締役の意見が一致しない可能性もあります。

また、株主総会においても、中小企業などの場合、株式の大多数を代表取締役が持っていることも多いため、代表取締役であるBが議決権を行使した多数の票に意思能力の問題が残り、後になって株主総会の決議自体の効力が争われてしまう恐れがあります

 

 

②法定後見制度を使う

上記①のような手続きには、不確定的部分がどうしても生じてしまします。

また、仮に経営する会社関係の問題をクリアしたとしても、その他の私生活においての問題が残ります。

預貯金が下せなかったり、不動産の売却や、施設の入所契約ができない等の問題は解決されません。

そこで、Bについて成年後見の申立を行うという方法が考えられます。

CはBの息子ですので、成年後見の申立を行うことができます。

代表取締役が成年被後見人となった場合には、取締役としての資格を自動的に失います(会社法331条の取締役欠格事由)ので、上記①で述べた手続きが確定的なものとなります

その後は、後見人に選任された者が、Bに代わって議決権を行使し、新たな代表取締役を選定していくことになります。

 

取締役会を置く会社では、Bを除く構成員による取締役会によって、新代表取締役を選定していくことになります。

また、必要に応じて株式の譲渡等を行い、経営権を承継していくことになります。

しかし、後見人に選任される者は、経営のプロではありませんので、適切な取締役を選ぶことができるとは限りません

また、後継者について社内に争いがある場合には、正式な代表者が定められない状態が続いてしまうリスクは依然として残ってしまいます。

 

 

③任意後見制度を使う

法定後見制度は、認知症になってしまった場合の制度ですので、既に認知症を発症してしまうと、法定後見制度を利用する以外の方法が無くなってしまいます

今回取り上げた例のように認知症が悪化してしまう前に、起こりうることに備えて他の方法によって準備することはできます。

例えば暦年贈与によって株式を後継者に移譲しておく民事信託の契約をしておき、後継者を決めておく等も考えられますが、任意後見契約を結んでおくという方法もご紹介できればと思います。

 

任意後見契約では、まだ本人に意思能力があるうちに、認知症になってしまった場合に備えて、信頼できる者を後見人に指名し、予め契約を結んでおきます

本人が認知症になってしまった場合は、後見監督人のもとで、後見人が本人の代わりに権利を行使し、適切な取締役を選任することになります

 

認知症はいつ発症するかわかりません。そして、発症してしまうと取りうる手段が限られてきてしまいます。

備えられるうちに、できるだけ早めに対策を講じておくことで、安心して経営できる状態を作っておくことが望ましいといえます。

司法書士法人鴨宮パートナーズでは、様々な制度を選択肢として検討し、ご本人の状態等も考慮しながら、最適な利用方法のご提案をさせていただきます。

このようなお困りごとがございましたら、是非一度お気軽にご相談ください。

 

 

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