目次

 

1.生死不明の行方不明者を死亡したとみなす『失踪宣告』という制度

失踪宣告とは、行方不明者の生死不明の状況が一定期間継続したとき、その者を死亡したとみなす制度です。

相続手続きを進めていくにあたり、遺言書がない限り、原則、遺産分割協議の際に相続人全員の実印と署名が必要となります。

この原則を忠実に履行しようとすると、困った事態に遭遇してしまうケースがあります。

【事例】

  • ある家庭で相続が発生
  • 相続人は3人の子のみ
  • 相続人の1人が10年以上前から音信不通

 

上記のような事例ですと、通常は残りの相続人が戸籍謄本や住民票等を取得してコンタクトを取っていきます。

しかし、所在を探ろうにも戸籍や住民票は当時の現住所のまま、実際にどこに住んでいるか分からず消息不明であったとするとどうなるでしょう。

その相続手続きはそれ以上先に進めない事になってしまい、他の2人の相続人にとって大変な弊害が生じてしまうことになります。

そこで法律では、一定の要件を満たしたときに限り、その行方不明者を死亡したものとみなす制度=失踪宣告を設けました。

失踪宣告によって行方不明者は死亡したとみなされ、それによって相続が開始されます

失踪には、

  • 普通失踪
  • 特別失踪

の2種類があり、それぞれ死亡したとみなされる時期が異なるため、それに伴い、相続開始の時期も異なってきます。

 

1-1.普通失踪

 

行方不明者の生死が7年間不明であるとき、利害関係人の申立によって家庭裁判所は失踪宣言をすることができます。

普通失踪の場合、失踪(行方不明になって)から7年が経過したときに死亡したとみなされ、その日が相続開始日となります

 

1-2.特別失踪

 

特別失踪は震災・戦争・船舶の沈没などによって生死不明となった者が対象とされます。

特別失踪は、危難が去ってから1年間生死不明の場合に、利害関係人の申立によって家庭裁判所が失踪宣告をすることができます。

特別失踪の場合、危難が去ったときに死亡したとみなされ、その日が相続開始日となります

 

2.失踪宣告は利害関係人から申立する

失踪宣告は利害関係人が申立てることができます。

利害関係人とは失踪宣告を求める法律上の利害を有する者であり、下記のいずれかの者を指します。

  • 行方不明者の配偶者
  • 行方不明者の推定相続人(相続人に該当する者)
  • 行方不明者の受遺者
  • 財産管理人

 

2-1.失踪宣告の申立先

 

失踪宣告は下記のいずれかの家庭裁判所に対して申立てを行います。

  • 不在者の従来の住所地
  • 居所地の家庭裁判所

 

3.失踪宣告の申立の流れと必要書類

失踪宣告の申立に係る手続きの流れは下記の手順で行われます。

失踪宣告の流れ

  1. 失踪宣告の申立
  2. 家庭裁判所による調査
  3. 公示催告
  4. 審判

3の公示催告では、一定期間内(普通失踪:3ヶ月以上、特別失踪:1ヶ月以上)に行方不明者については生存の届出を、生存を知っている者についてはその旨の届出をするよう催告します。

 

失効宣告の申立をするに辺り、下記書類等を家庭裁判所に提出していきます。

失踪宣告の申立に必要な書類

  • 失踪宣告の申立書
  • 行方不明者の戸籍謄本
  • 行方不明者の戸籍の附票(住所を証するもの)
  • 申立人と行方不明者の利害関係を証する資料(戸籍謄本など)
  • 失踪を証する資料(警察署長が発行する家出人届出受理証明書、返送された不在者あての手紙など)

参考)家庭裁判所ホームページ「失踪宣告の申立書」

 

申立にかかる費用

  • 収入印紙800円
  • 連絡用の郵便切手(申立する裁判所に確認下さい)
  • 官報公告料4,816円(裁判所の指示後に納付

 

4.行方不明者が生きていた場合の扱いについて

失踪宣告は行方不明者を死亡したものとみなすための制度ですので、その後に生存確認が取れるケースもあります。

失踪宣告されたからといって、行方不明者自身の生活自体に支障が出るわけではありませんので、本人による契約行為等も問題なくすることができます。

しかし行方不明者が帰ってきた場合に、既に相続手続きが終了していた場合にはどうなるでしょう。

前提として、失踪宣告は本人の生存確認が取れたら自動的に取り消されるわけではなく、本人や利害関係人より、失踪宣告の取消を申立てる必要があります

失踪宣告により行方不明者から財産を得た相続人等は、失踪宣告の取消により、行方不明者に財産を返還する義務が生じます。

行方不明者が生きていたと知らない場合でも、この返還義務は変わりません。

しかし例外的に、現に利益を受けている限度において」返還すれば良いとされています。(現存利益の返還)

相続人が自宅のローン返済に使った場合など、現在においても利益を得ていれば返還義務が生じますが、例えば、旅行等で浪費してしまった分などは返還する必要がないとされています。

 

相続開始後、スムーズにお手続きを進めるには、まずは相続人の調査・確定をして行く必要があります。

相続に関する制度について何もご存知でなくても、一から丁寧にご説明させて頂き、書類の収集代理・提出書類の記入代理までご対応いたします。

また失踪宣告によって相続が開始しますので、その後の相続手続きまで一連のお手伝いを包括的にご対応することも可能です。

お困りの方は、東京都目黒区学芸大学駅、渋谷区マークシティの司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズにお気軽にご相談下さい。

 

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