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法定後見制度の注意点③ (2020.11.05)

【法定後見制度の注意点③】

 

前回2回に渡り、成年後見制度の利用開始に際して良くご質問されること、誤解されている方が多いと思われる点についてご紹介させていただきました。

⇒法的後見制度の注意点①はこちら
⇒法定後見制度の注意点②はこちら

≪内容≫
1.後見人候補者が必ず就任できるとは限らない
2.申し立ての準備から就任まで時間がかかる
3.本人と口約束でした契約や贈与は、履行が果たされない場合がある
4.後見申立の取り下げには許可必要
5.後見人が就任した場合、被後見人が意思能力を回復するか死亡するまで継続する
6.後見人が就任した後に、後見人を交代させるには条件がある

今回も引き続き、注意点についてご紹介させて頂きます。

 

7.後見が終了しても管理していた財産は後見人のものになるわけではない

例を挙げてみましょう。

被後見人A(夫は既に他界している)の長男Bが、Aの後見人に就任し、預貯金の一切をBに渡し、日常的に必要な金銭をAの預金から支払っていたとします。

Aはしばらくして病気により死亡しました。Bには、弟のC(Aの子)がいます。

この場合、被後見人死亡により、後見は終了します。しかし、既に預かっているAの預貯金はBのものになるわけではなく、相続財産としてBとCが相続することになります。

BがCから相続権を主張された場合、法定相続分(Aの財産の半分)については渡さなければなりません

後見申立の相談を受けていると、「後見人になった者が財産をもらえる」と考えている方がいらっしゃいます。

しかし被後見人の財産は、後見人が被後見人のために預かっているに過ぎず、被後見人死亡による後見終了後は、全て「相続財産」として相続人に引き渡されることになります

 

8.後見人であったからといって相続時に有利になるわけではない

被後見人に相続が発生した場合、相続人が財産を取得する旨は上記7で述べた通りですが、後見人が相続の際に有利になるとは言えません

後見人であった者の相続権が、他の相続人より多いとの規定はないからです。

また例えば上記7の例で、後見申立の際に、「Aと同居しているBが後見人となり、Aの面倒を見る代わりにCは相続を放棄する。」との念書をCに書いてもらったとします。

しかし、被後見人の生前に相続放棄の念書を書いたとしても、これには何ら法的拘束力はありません

これは民法915条に、相続放棄をする場合には「相続があったことを知った時から3か月以内」に行う旨が明記されておりますので、あくまで「死亡後」に手続きをすることが前提となっており、被相続人が死亡する前に相続放棄することはできないからです。

それどころか、Cから「後見人としての管理が悪かったから、相続財産を無駄にした」と不当な因縁をつけられてしまうこともあるようです。

家庭裁判所に求められるか否かにかかわらず、後見終了時に争いにならないように、後見人として被後見人の財産を使った場合には、全て領収書等を保管しておくことが望ましいと思います。

 

9.後見人になったとしても本人の行為すべてを代理で出来るわけではない

後見人は、被後見人の財産を管理し、財産に関する法律行為についてのみ、被後見人の代理行為ができます

言い換えれば、一身専属行為は代理することはできません

一身専属行為とは、一身に属するという文字のごとく、いかなる場合も他人には行えない、本人のみに行える行為ということです。

例えば、結婚や離婚等の行為や、養子縁組、認知等が挙げられます。

これらの行為は、いかに後見人であろうとも、本人が決定すべき事柄であり、後見人が口を出すことを認めるべきではないからです。

また、「遺言」も一身専属行為とされているため、後見人が代理で行うことはできません。

ご相談を受ける中で、母が認知症になってしまい、母亡き後の財産の処分方法について法定相続に従うと不都合があるため、自分が後見人となって遺言を書きたいとおっしゃる方がいらっしゃいますが、これはできません。

被後見人となった後も遺言を書くことはできますが、判断能力が一時的に回復していて、医師2人以上の立会のもと、事理弁識能力のあることを確認できた場合にのみ行うことができます

遺言等の生前対策は、認知症が心配になる前の元気なうちに行っておきたいですね。

 

司法書士法人鴨宮パートナーズでは、後見制度の注意点等も踏まえ、最適な制度の利用方法のご提案をさせていただきます。

少しでもご不安な点ございましたら、是非ご相談ください。

 

 

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