相続のキホン① ~代襲相続とは~ (2020.10.15)
【相続のキホン① ~代襲相続とは~ 】
『相続』という一言の中に、様々な法律や用語、考え方が登場します。
これまでに多くのトピックスを掲載しましたが、「そもそも、これってどんな考え方なの?」と疑問に思う方も、実は大多数いらっしゃるのではないでしょうか。
今回から不定期で『相続のキホン』とも呼べる法律や用語について取り上げていきたいと思います。
≪『代襲相続』とは??≫
代襲相続とは、本来であれば相続人である人が、被相続人よりも以前に死亡していた場合に、その方の子供(養子含む)が代わりに相続人になることです。
代表的な例としてパターン①を見てみましょう。
Aが被相続人である場合、本来の相続人はBとCです。
しかし、図のようにBがAよりも以前に亡くなっていた場合は、死亡している人は相続人となることができないので、EがBの代わりに相続人になります。
代襲される人(上記例ではC)のことを被代襲者といい、代襲する人(上記例ではE)のことを代襲者と言います。
≪代襲相続が発生するケース≫
●被代襲者が被相続人の子である場合
上記代表的なパターンがこれにあたります。
●被代襲者が被相続人の兄弟姉妹である場合
パターン②のように両親が既に亡くなっている状況で、相続人であるBも先に亡くなっている場合、CがBを代襲してAの相続人になります。
≪代襲相続の範囲≫
●被代襲者が被相続人の子である場合
数は多くないですが、ご長寿家系で子・孫が先に亡くなっているケースも実在します。
パターン③のように、CとEがともにAよりも先に亡くなっていた場合には、Eの子Fが代襲相続によってAの相続人となります。
このように被代襲者が被相続人の子である場合には、理論的には何代まででも続いて代襲相続が起こります。
●被代襲者が被相続人の兄弟姉妹である場合
被代襲者が被相続人の兄弟姉妹である場合、代襲相続は一代に限って起こり、その後の再代襲はありません。
Aよりも先にBが亡くなっていた場合、Bの子のDは代襲相続によって相続人となることができます。
しかしパターン④のように、Aよりも以前にBとDがともに亡くなっていた場合でも、Dの子のFはAの相続人になることができません。
≪代襲相続が発生しないケース≫
●被代襲者が被相続人の配偶者である場合
パターン⑤のケースを見てみましょう。
両親が先に亡くなっていて、被相続人Eの配偶者Bも先に亡くなっています。
一見するとCがBを代襲してEの相続人になれそうですが、被代襲者が被相続人の配偶者の場合は代襲相続が発生しません。
≪代襲相続人の相続分≫
代襲相続人は被代襲者と同じ地位で相続人となります。
例えば、2分の1の相続分を持つCが先に亡くなっていた為に、孫であるEが代襲相続する場合には、Eの相続分は2分の1となります。
孫が2人いる場合には、2分の1を2分の1ずつに分けるので、それぞれの孫の相続分は4分の1となります。
つまり、代襲相続人の数が多くなれば、その分、1人の相続分は少なくなります。
≪相続放棄の場合、どうなる?≫
代襲相続は、被代襲者が被相続人よりも先に亡くなっていた場合だけでなく、
●被代襲者が相続欠格者である場合
●被代襲者が廃除されている場合
にも起こります。
しかし注意しなければならないのは、被代襲者が相続放棄をしていた場合には、その子は代襲相続によって相続人となることはできない、という点です。
相続放棄をした人は、はじめから相続人ではなかったことなるからです。
代襲相続が起こっている場合には、代襲相続人の相続分が判断しにくくなっていたり、相続人の調査や遺産分割に手間がかかったりと、対応に迷ってしまう方もいるかと思います。
お困りの際は是非、当法人までお気軽にご相談ください。