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遺留分の放棄② (2020.08.06)

【遺留分の放棄②~相続開始前編~】

 

前回のトピックスで、相続発生後の遺留分の放棄について取り上げました。

⇒【遺留分の放棄①】

今回のトピックスでは、相続開始前の遺留分の放棄をテーマにお話をさせて頂きます。

 

被相続人が亡くなる前の遺留分の放棄は家庭裁判所の許可が必要となり、遺留分を放棄する方が家庭裁判所に申立をして手続きをする必要があります。

前回の、被相続人が亡くなった後の遺留分の放棄と比べて、手続きのレベルは格段に上がり、思うような結果が得られないことも少なくありません。

この、被相続人が健在中の遺留分の放棄は、限定承認の手続きと並び、相続手続きの中で極めて難易度が高い手続きと言っても過言ではないでしょう。

 

それでは、当法人の相続チームの司法書士が、実際に手続きをした事例を基に手続きの概要を見ていきましょう。

下記の相続関係を参照してください。

上記の相続関係において、遺言者Aは、生前にx土地を長女cに生前贈与をし、自分の亡き後は自宅を長男に相続をさせたいと考え、自宅を長男Bに相続させる旨の遺言を書き、長女Cには今すぐ贈与登記を実行したいと、当法人の司法書士に相談を持ち掛けました。

 

この相談を受け、当法人の司法書士は、

●生前にX土地を長女Cに贈与すると、多額の贈与税及び登記費用、不動産取得税がかかる

相続開始時において、長女Cから長男Bに対して遺留分侵害額請求権の行使をされる恐れがある
※長女Cが生前贈与を受けていれば、特別受益を主張して遺留分請求に対抗できる余地はある

上記を懸念して、遺言内容を『自宅は長男、X土地は長女C』との、遺留分を確保した遺言作成を提案しました。

しかし、遺言者Aは自己の相続開始後、遺言内容が実現出来るとも限らず、将来長男長女の関係がどうなるかも分からないことから、生前に長女Cに遺留分相当額を確保した贈与をする代わりに、自分の死後は長男の自宅相続について一切異論を唱えてほしくないという強い願望があり、どうしても上記のスキームで手続きをしてほしいと言ってきました。

 

そこで、当法人の司法書士は下記の内容を提案しました。

①長男Bに自宅を相続させる旨の遺言を書く

②長女Cに生前贈与としてX土地を贈与する
(但し、贈与税率に比べ相続税率が安くなることから、相続時精算課税制度の選択2500万円までは贈与税が非課税になる)

③長女Cに遺言者が生前中に遺留分放棄の許可審判を家庭裁判所に申立てもらう

 

上記の内、③が今回のテーマであり、手続きに非常に苦慮しました。

なぜなら、遺言者生前の遺留分放棄は、前述のとおり家庭裁判所の許可が必要であり、この許可は各家庭裁判所の裁判官の裁量が大きく影響し、一定の基準はありますが、画一的な許可基準がないからです。

一定の基準としては、下記の基準があります。

①遺留分放棄者の自由意思による申立であること
②遺留分放棄に合理性・必要性があること
③生前贈与等の代償性があること

上記の許可基準で、最も重要視されるのは①の自由意思に基づく申立です。

なぜなら、本来遺留分とは、遺言によっても侵害出来ない、法律で認められた最低限の相続分であり、遺言者の圧力でその遺留分を失ってしまうという、不合理な結果をさけるためだからです。

幸い、今回のケースでは、遺留分4分の1相当のX土地の生前贈与があり、贈与税の申告書を申立に添付した上、長女Cも遺留分請求に関しては全くといっていいほど興味を示していなかった為、申立書に自由意思であることを存分にアピールしていく事が出来ました。

自由意思による申立であることの間接証拠として、見返りとして既に生前贈与を受けている等の事情を細かく審理され、実際の許可審判がなされます。

したがって、単に遺留分を事前に放棄しておきたいからとか、結婚の許可を親からもらう為に遺留分を放棄するとか言った事情で、遺留分の放棄が認められることはまずない、と言って過言ではありません。

 

遺言者の生前中に遺留分の放棄の許可審判の申立などは、相続専門の司法書士又は相続専門の弁護士に相談をされることをお薦め致します。

当法人では、1000件近くの相続手続きを手掛けてきた相続専門の司法書士が在籍する相続専門チームがあり、このような特殊な事例にも対応することが可能です。

お悩みの方は、是非一度司法書士法人鴨宮パートナーズまでお気軽にご相談下さい。

 

 

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