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相続分の譲渡とは?相続放棄との違いと注意点 (2021.07.16)

 

 

 

≪目次≫
1.相続分の譲渡の効果
2.相続放棄との違い
3.相続分の譲渡をすべき場合
4.相続分の譲渡を行う際の注意点

 

被相続人が亡くなると、通常民法に定められている法定相続人が相続をすることになりますが、この法定相続人の相続分については、他の共同相続人又は共同相続人以外の第三者に対しても譲渡することができます。

相続分を譲渡することによってどのような効果が発生するのか、またそのメリット、デメリットについて解説していきたいと思います。

 

 

1.相続分の譲渡の効果

相続分の譲渡について民法には直接的に記載はありませんが、民法第905条に相続分を譲渡した場合の相続分の取り戻しについて記載されていることから、相続分の譲渡が可能であるとされています

 

民法第905条「共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。」

 

相続人が他の相続人に相続分の譲渡をした場合、相続分の譲渡を受けた相続人は、譲渡を受けた分だけ相続分が増えます

相続分を譲渡することにより、実質的に遺産分割協議に近い効力が生じます。

相続分の譲渡は有償でも無償でもかまいません。

 

相続人に対しての無償の相続分譲渡は贈与に該当するため贈与税が課される、と思われがちですが、相続分譲渡では贈与税はかかりません

相続分譲渡の要件として、遺産分割協議の前に相続分の譲渡を行う必要があります

これに対して相続人以外の第三者に相続分の譲渡した場合、相続分を有償で譲渡した場合は譲渡した相続人に譲渡所得税が課され、無償で譲渡した場合は譲受人に贈与税が課税されることになります。

第三者が相続分の譲渡を受けた場合、その第三者は遺産分割協議に参加する権利を取得します

ただ、第三者が遺産分割協議に参加することに、元々の他の相続人は抵抗を感じる場合もあるでしょう。

そのため、他の相続人は1か月以内であれば、譲渡を受けた者が支払った価格や費用を支払うことによって相続分を取り戻すことができることになっています

 

 

2.相続放棄との違い

相続放棄すると、はじめから相続人でなかったことになりますので、負債も相続しません。

相続分譲渡の場合、譲渡した人にも負債の支払い義務が残ります

第三者への譲渡であれば相続人の地位の包括的な譲渡であるため、この場合、負債の支払い義務が譲渡人か譲受人にあるかの論点は残ります

債権者が支払いを要求してきたら拒めないので注意しましょう。

また、相続放棄の場合、「放棄者が存在しない」ものとして、その人の相続分が他の法定相続人に割り振られます

一方で相続分の譲渡の場合、「譲渡の相手を相続人が自由に選べる」という違いがあります。

 

 

3.相続分の譲渡をすべき場合

●遺産を相続したくない、関心がない
相続分を譲渡すると、面倒な相続登記などの手続きをせずに済みます。

●相続トラブルに巻き込まれたくない
相続分を譲渡すると、遺産分割協議に参加する必要がなくトラブルに巻き込まれる可能性がほぼなくなります。

●配偶者や孫など、自分以外に遺産相続させてあげたい人がいる
遺産相続権を与えたい相手に相続分の譲渡をすれば、希望を叶えることができます。

●相続人が多数で、遺産を引き継ぐ人を少人数に絞りたい
他の共同相続人へ相続分の譲渡をすると、相続人を減らせて状況を整理できるでしょう。

●早期に相続権を現金化したい
遺産分割前に有償で相続分を譲渡すれば、早期に現金が手元に入ってきます。

 

 

4.相続分の譲渡を行う際の注意点

 

①譲渡後も債務の支払い義務が残る

相続分の譲渡をすると、その人は相続権を失いますが、負債の支払い義務はなくなりません

相続債権者から支払い請求が来たら返済せざるを得ないので、注意しましょう。

 

②相続分の取り戻しが行われる可能性がある

上記でも説明をしましたが、相続人以外の人へ相続分を譲渡すると、他の相続人は1カ月以内であれば取り戻し請求ができます

自分の妻などに遺産相続権を与えたいと思って相続分を譲渡しても、相続人から取り戻し請求が行われたら目的を達成できなくなってしまうので、注意が必要です

 

③遺言がある場合の相続分の譲渡

遺言がある場合、相続分の譲渡ができるケースとできないケースがあります。

「~に〇分の〇、~に〇分の〇」など「相続分の指定」が行われている場合、指定された相続分を譲渡できます

一方「~に不動産を遺贈する、~にA銀行の預金を相続させる」など遺産を指定して遺贈された場合、相続分という概念がないので相続分の譲渡はできません

 

 


相続トラブルに巻き込まれない方法として、相続分の譲渡は有効です。

ただ、負債があると引継いでしまうなどのデメリットもあるので、注意しましょう。

相続手続・生前対策をお考えの方は、渋谷区マークシティ、目黒区学芸大学駅の司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまで、まずはお気軽にご相談ください。

 

 

お気軽にご相談ください。

争続(あらそうぞく)~遺産分割調停の活用~ (2021.07.06)

 

 

 

過去のトピックスで、疎遠である前妻の子へのアプローチのしかた、遺産分割の方法を掲載させて頂きました。

遺産分割についてのトピックスはこちら↓

【遺産分割の方法】
【疎遠な相続人との遺産分割調整】

 

今回は、遺言が無く相続人同士で相続争い(争続)となってしまった場合の手続きについてご案内させて頂きたいと思います。

まず、下の相続関係図をご覧ください。

【相続関係=被相続人父、配偶者、子二人、前妻との子一人】

 

お父様がお亡くなりになり、悲しみに暮れる中、戸籍を収集しているところ、家族には全く聞かされていなかった前妻のお子さんがいることが判明。

この場合、前妻の子を排除したまま相続手続きが出来ないものか、よくご相談をされる方がかなりの数いらっしゃいます。

遺言でもあれば、その可能性は一定程度残されていきますが、遺言が無い場合、前妻の子も列記とした法定相続人のうちの一人なので、その子を排除して手続きを進めることは出来ません

 

 

法定相続人の見分け方のトピックスはこちら↓

【遺産分割時の法定相続分の計算方法】
【法定相続人とその見分け方】

※遺言があった場合でも、どなたかが遺言執行者に選任されている場合は、遺言執行業務において法定相続人の確定作業及び全法定相続人に遺言執行者就任通知を送ることが義務付けられている為、遺言がある場合でもほとんどの場合は、上記の様な疎遠の相続人には一定のアプローチをしていく必要があります

 

では、前妻の子の住所居所が判明した場合どのような方策が考えられるでしょうか?

相続の専門家であれば、まずはその前妻の子にまずは『お父様がお亡くなりになり、相続手続きにご協力頂けないでしょうか?』更に、『今後の法定相続分の主張等、相続に関しての言い分はございますか?』という内容のお手紙を送付することをご提案していきます。

この手紙の書き方が重要で、しっかりと相手方の法定相続分や相続財産になにが含まれるか等、誠意をもって手紙を書けば円満に相続手続きが進む場合がありますが、手紙の中で相続財産を故意に秘匿したりするなど、ぶしつけな手紙の書きっぷりだと、相手方に不信感を植え付けてしまい、結果として協力をしてもらえない場合が多々あります。

また、いくら誠意のある手紙の内容でも、相手方が後妻一家の事をよく思っていない場合等は、法外な代償金を要求されたり、そもそも手紙を受け取ってもらえない場合も多々あります。

このように、事案が暗礁に乗り上げてしまった場合、どう解決を図れば良いでしょうか?

答えは2つあります。

 

①弁護士に依頼をし、相手方と交渉をしてもらい、相手方の判子を取り付けて貰う。

②遺産分割調停を家庭裁判所に申立て、裁判所を介して話し合いをし遺産分割協議を成立させる。

 

※調停とは裁判所内での話し合いの場であり、家庭裁判所審判官(裁判官)と男女ペアの調停員2名、計3名で構成される調停委員会の主導のもと、紛争を解決に導いていく手続きのことを言います。

①については、依頼される方も一定数いらっしゃいますが、抜本的解決が出来ない場合が多々あると言えます。

弁護士と言えども、相手方の法定相続分を無視した交渉は出来ませんので、相手方に話を突っぱねられてしまうと交渉決裂となります

②については、家庭裁判所は遺産分割調停が申し立てられた場合は、必ずその請求に応じる必要があり、調停が不成立となった場合は自動的に審判(裁判と同義)手続きに移行しなくてはならず、必ず解決の糸口を掴めるといえます。

むしろ、弁護士は交渉が決裂してしまうと遺産分割調停の申立てを必ず提案してきますので、自分の主張をしっかりと言える方、ある程度相続のことが分かっている方については、ご自身で裁判所で何をどう分けたい、何を取得する代わりにお金をいくら支払う等と言った主張を展開されるのをお勧め致します

調停員は、40歳以上の方で社会的に思慮分別のある方が、裁判所に選定されていますので、調停員の意見を互いに聞き入れれば、解決に向かうことも多々出て来ます。

 

当事者同士で、いがみ合い主張しあっていてもらちが明かないと言った場合は、調停制度を利用して、第三者に入ってもらうことで円滑に遺産分割をスムーズに進めることが出来ます

当法人の相続専門チームでは、争続(あらそうぞく)となった場合の遺産分割調停の申立てのサポート、調停の流れのご説明、必要書類の収集精査等もお手伝いさせて頂いております。

疎遠のご相続人がいらっしゃる場合でも、是非お気軽にお問合せ下さい。

相続手続・生前対策をお考えの方は、渋谷区マークシティ、目黒区学芸大学駅の司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまで、まずは一度、お早目のご相談をお薦め致します。

 

 

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成年後見制度の申し立てのために家庭裁判所に提出する書類 (2021.06.16)

 

 

 

≪目次≫
1.後見申立には様々な書類が必要
2.提出書類一覧
3.各書類の説明
①後見開始申立書
②申立事情説明書
③親族関係図
④本人の財産目録及びその資料
⑤相続財産目録及びその資料
⑥本人の収支予定表及びその資料
⑦後見人候補者事情説明書
⑧親族の意見書(同意書)
⑨医師の診断書及び診断書付票
⑩本人確認情報シート
⑪本人の戸籍謄本
⑫本人の住民票(又は戸籍の附票)
⑬後見人候補者の戸籍謄本
⑭後見人候補者の住民票(又は戸籍の附票)
⑮本人が登記されていないことの証明書
⑯愛の手帳のコピー(お持ちの方のみ)

1.後見申立には様々な書類が必要

 

成年後見制度に関して、家庭裁判所や各福祉機関によって周知活動をしていることもあり、年々制度の名前をご存じの方が増えてきていると感じます。

ご家族が認知症その他によって判断能力が低下してしまった場合に、ご自身で調べられて、家庭裁判所へ申立を行う方もいらっしゃるかと思います。

成年後見人が就任するということは、以後本人に代わって財産管理や、身上監護を行っていくという、本人に重大な変更を伴うため、裁判所も厳格な手続きを要求しています

そのため、提出する書類は多岐にわたります。

今回は、必要書類を一つ一つご紹介していきたいと思います。

 

2.提出書類一覧

 

成年後見の申し立てのために、裁判所には下記の書類を提出する必要があります。

なお、家庭裁判所によって若干異なる部分がありますので、今回は東京家庭裁判所の例をご紹介させていただければと思います。

 

①後見開始申立書
②申立事情説明書
③親族関係図
④本人の財産目録及びその資料
⑤相続財産目録及びその資料
⑥本人の収支予定表及びその資料
⑦後見人候補者事情説明書
⑧親族の意見書(同意書)
⑨医師の診断書及び診断書付票(3か月以内のもの)
⑩本人情報シート

※以上は裁判所にて書式を入手できるものです

 

⑪本人の戸籍謄本(3か月以内のもの)
⑫本人の住民票(又は戸籍の附票)(3か月以内のもの)
⑬後見人候補者の戸籍謄本(3か月以内のもの)
⑭後見人候補者の住民票(又は戸籍の附票)(3か月以内のもの)
⑮本人が登記されていないことの証明書(3か月以内のもの)
⑯(お持ちの方のみ)愛の手帳のコピー

 

細かい点や、提出書類の書式は各家庭裁判所により異なる場合がありますので、事前に確認が必要になります。

 

3.各書類の説明

①後見開始申立書

 

申し立てを行うにあたって、その大元になる申請書になります。

申し立てを行う申立人、後見人を就けたいご本人の記載、及び申立を行う理由、後見人候補者等を記入していきます。

後見人の候補者をご親族(例えば子や配偶者)でと希望される方も多いかと思います。

しかし、裁判所はその候補者を選任するとは限りません。

ご本人の財産の多寡や、今までの看護状況、病状、親族間の意見の相違が無いか等を総合的に判断し、候補者を選任するかを判断していきます。

場合によっては、候補者が選任されたうえで、後見監督人が選任される場合や、後見制度支援信託をするように指示されてしまうこともあります
(こちらについて詳細は別トピックスにてご紹介いたします)

なお、候補者がいない場合には、候補者欄は空欄にて提出します。

その場合、家庭裁判所が所持している候補者名簿から職権で後見人を選任することになり、多くの場合、弁護士や司法書士が選任されます。

 

②申立事情説明書

 

こちらの書面では、ご本人の状況を詳細に記載します。

 

●現在どこに居住しており誰の支援を受けているのか(または受けていないのか)

●施設に入っている場合にはその連絡先

●ご本人の略歴(どの学校を卒業し、どこに勤めていたか等)

●病歴、介護(障害者)認定の区分け

●本人の親族と、その方の後見申立に対する意見(賛成しているか等)

●後見人候補者が後見人にふさわしい理由

 

等々、詳細に記載する必要があります。

ご本人のことを最もよく知っておられる方に記入して頂くのが望ましいといえます。

この書面が最も記入欄が多く、記載をどうすればいいか戸惑われる方が多いようです。

 

③親族関係図

 

ご本人を基準に、相続関係がいかになっているかを記載します。

裁判所は、将来ご本人が亡くなった場合、本人の相続人は何人いて、その方たちが後見申立について承知しているのか、また財産管理・身上監護を行っていくうえで協力を得られる親族がいるのか等の確認をしているものと思われます。

当法人では、後見申立のお手伝いをご依頼を頂いた場合には原則、委任状を頂き、相続関係を把握するための戸籍収集を致します。

相続関係を把握しておくことは、就任後の財産管理・身上監護をスムーズに行い、事後のトラブルを防止防止するとの観点からも重要になってきます。

 

④本人の財産目録及びその資料

 

成年後見人は、基本的にご本人の財産全てを管理することになります。

そこで、申立を行う際に、どのような財産があるのかの一覧が必要になってきます。

財産とは具体的には、預貯金、株式や投資信託や国債等の有価証券、生命保険や損害保険、不動産、債権、その他負債等を項目別に記入していきます。

預貯金は、具体的にどこ銀行のどこ支店にいくらの預金があるという詳細まで記入し、有価証券も銘柄や個数、評価額まで記入します

その他の財産も同様に、詳細に記載が必要になります。

このように、申立を行う際に提出する財産目録には、ご本人の詳細の財産の一切を記入する必要がありますので、申立を行う際には、ご本人の財産の調査が必要になります。

場合によっては、普段から財産を管理している親族に確認したり、ご自宅の中を探したり、郵便物から推察したりする必要も出てくるかと思います。

このように調査しても分からないものに関しては、後見人が就任した後に、後見人が調査することになりますので、現状で分かる範囲で作成していきます。

また、財産に関しては可能な範囲で資料の添付が必要になります。

預金あれば、通帳の写し、有価証券であれば証券の写しや、証券会社等から送られてくる案内書等、不動産であれば不動産の登記事項証明書等が必要になります。

財産を最も把握している親族の方や施設関係者等に確認して、可能な範囲でご本人のすべての財産を把握しなければならないため、財産の多寡によりますが、初めて申立を行う方にとっては大変な作業に感じる方が多いと思います。

しかし、ご本人の意思能力(記憶力)が衰えてしまっているため、後見申立人や後見人が見逃してしまうとご本人の財産が逸失してしまうことにもなりかねないため、しっかりと調査をする必要があります

 

⑤相続財産目録及びその資料

 

こちらは、未分割の相続財産がある場合に記入が必要になる書類です。

例えば、ご本人(女性)の夫が既に3年前に亡くなっていて、ご本人の娘とご本人で預貯金や不動産を相続したが、遺産分割を行っていない場合等に必要になってきます。

遺産分割協議も、後見相当で判断能力が無くなっている場合には、そのままでは行うことができません。

そこで、後見人が就任した後に遺産分割協議を行うのですが、その協議の対象となるであろう財産も目録として作成し、資料と併せて裁判所に提出する必要があります。

これも上記④と記入の仕方に大きな違いはなく、調査が可能な範囲または入手が可能な範囲で、目録の作成・資料の収集が必要になります

 

⑥本人の収支予定表及びその資料

 

こちらは、後見人が就任した後のご本人の収支がどのようになるのかをわかるようにする書類です。

収入がいくらの予定で、支出がいくらの予定か、ということを記入する書類になるのですが、ここでも詳細に記入する必要があります。

収入としては、厚生年金、国民年金、その他の年金、給与、賃料報酬等の項目別に、それぞれいくらもらえる予定なのかを詳細に記載していきます

支出の記載はさらに細かくなります。例を挙げれば、

生活費(食費・日用品・電気ガス水道)、療養費(施設費・入院費・医療費)、住居費(家賃、借地の地代)、税金(固定資産税・所得税・住民税等)、保険料(国民健康保険料・介護保険料・生命保険損害保険料)、等々の要領で、何にいくら支出することが予定されているかを記載していきます

また、収支に関しても可能な範囲で資料の添付が必要になります。

収入については、年金の額がわかる年金通知書のコピー、株式の配当金であれば配当金通知書のコピー等がこれにあたります。

支出については、施設費用のわかる領収書、住居費(例えば住宅ローンや家賃)の領収書や計算書、固定資産税の納税通知書等がこれにあたります。

これらの資料は申立の直近2ヶ月分のものが必要になりますので、申立人の手元に無い資料があれば、持っている親族や施設等の関係各所に話をし、資料をもらっていく必要も出てきます

 

⑦後見人候補者事情説明書

 

この書面は、後見人の候補者を立てて申し立てを行う場合に提出が必要になる書面です。

例えば、母親が認知症を患い、娘が後見人候補者として申し立てを行う場合に必要になります。

仮に、親族が遠方に住んでいるために後見人として活動をすることが難しい場合や、そもそも親族が疎遠になっていて後見人になってもらいたいと頼むことが実質不可能等の理由で、後見人に就任する候補者が不在の場合には、この書面の提出自体不要になります。

後見人候補者事情説明書は、後見人の候補者に関して詳細に記載していきます。

後見人候補者の職業、年収、勤務先、職歴、家族構成、家族の年齢や職業、候補者となった経緯や事情等を記載していきます

なぜこんなプライベートなことまで裁判所に報告しなければならないのかと思われる方も多いと思います。

しかし、これは裁判所がこの候補者を後見人に選任することで、被後見人の利益をしっかりと守ることができるかの適正をみているためです

もちろんこの形式的な情報のみで判断できる部分は限られてくるとは思いますが、例えば、収入がある程度確保されているのであれば、被後見人の利益を侵害する可能性が比較的低いといえるでしょう。

また、家族がいたほうがサポートを受けながら後見業務を行っていける、といえるので問題が少ない等が考えられます。

被後見人本人の利益をしっかり保護するという成年後見制度の趣旨を実現するために、このような詳細な情報を提出する必要があるのです。

 

⑧親族の意見書(同意書)

 

後見申し立てを行う場合に、親族がどのような意向なのかを確認するための書面も併せて提出します。

「親族」は、基本的に被後見人が仮に将来死亡した場合に、相続権のある者が範囲として想定されています。

ただし、申立を行う者(申立人)は、賛成であるのが明らかなので、提出は不要です。

 

例えば申立を考えているXの両親A及びBが健在で、Xには弟Yがいるとし、Aの後見申立をXが行う場合、仮にAが死亡した場合の相続人はB、X、Yなので、裁判所に提出する意見書は、申立人Xを除くB及びYのものとなります。

 

また、例えば子のいないAには、既に亡くなっている姉Bがいて、Bには妻Cと子X、Y、Zがいたとします。

Aの後見申立Xが行う場合、仮にAが死亡した場合の相続人はX、Y、Zなので、裁判所に提出する意見書は、申立人Xを除くY及びZのものとなります。

 

意見書に記載する内容は、

①本人(被後見人)との続柄、本人について後見(保佐・補助)を申立ることについて賛成か反対か

②候補者を立てて申し立てを行う場合には、当該具体的候補者が選任されることについて賛成か反対か

 

の2点です。実際にはチェックボックスにチェックをしていきます。

これは、(将来的に)相続権のある親族間に争いがあると、例えば一部の(将来の)相続人のみで自己に有利な管理をする等により不公平感が増大してしまうことがありえるため、当該候補者を後見人とすることがかえって家族間の争いを助長させてしまう恐れがあるのかどうかをみていると考えられます

本人(被後見人)のための制度であるのに、本人に後見人が就くことで親族間が揉めてしまうことはかえって本人を害する結果となってしまうため、裁判所としても避ける必要があります。

一部の親族の中に、候補者(ある相続人)が就任することに反対の場合には、家庭裁判所としては、弁護士や司法書士等の第三者(専門職)を就任させた方が良いと判断する可能性が高くなると考えられます。

⑨医師の診断書及び診断書付票(3か月以内のもの)

 

後見を申立するにあたり、そもそも被後見人となる方が、後見人を立てる要件に該当する状態なのかに関しては、医師等の専門家でないと判断ができません

つまりご本人の状態が、法律上の文言でいう「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあるか否かの判断は、申立を行う親族の意見のみでは不十分であり、医師による診断書をもって裁判所が判断していくことになります

直近の状態のものでないと判断ができないということもあり、基本的には3か月以内作成のものが要求されます。

 

基本的にはかかりつけの医師が最もご本人の状態を把握できると考えられるため、かかりつけの医師にお願いするのが良いと思います。

ただし、全ての医師が精神状態に関しての専門ではないため、かかりつけの内科医等に診断書の作成を断られてしまうこともあるようです。

その場合には、「物忘れ外来」や「認知症鑑別診断」を行っている病院等に問い合わせしてみると、対応してもらえる病院がみつかると思います。

 

なお、本トピックスでは詳細は割愛致しますが、後見よりも弱い「保佐」、「補助」という類型もあり、医師の診断書に基づいてどの類型に該当するのかを判断していくことになります。

保佐は「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である」者、また補助は「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である」者とされています

それぞれ保佐人補助人が家庭裁判所により選任され、後見よりも弱い措置が取られていくことになりますが、こちらは別のトピックスにてご紹介いたします。

この診断書につきましても、家庭裁判所のホームページにファイルが載っておりますので、印刷したうえで医師に記入をお願いするということになります。

外部サイト⇒家庭裁判所ホームページ「成年後見制度における鑑定書・診断書作成の手引」

 

内容は、診断名(病名)や、重症度、検査をした際の点数(例えば長谷川式の認知症テスト等)、脳の萎縮や損傷の有無、回復の可能性などを記入してもらいます。

また、診断書内に

①「契約等の意味・内容を自ら理解し,判断することができる。」

②「支援を受けなければ,契約等の意味・内容を自ら理解し,判断することが難しい場合がある。」

③「支援を受けなければ,契約等の意味・内容を自ら理解し,判断することができない。」

④「支援を受けても,契約等の意味・内容を自ら理解し,判断することができない。」

 

という項目があり、どれに該当するかをチェックボックスにチェックするというものがあります。

基本的に④については後見相当、③については保佐相当、②については補助相当、①についてはどれも不要ということになり、とても重要な項目となります

こちらのチェックにてすべてが判断されるわけではありませんが、それを覆すようなものが他の記載から読み取れない限り、上記のような判断を裁判所も踏襲することになるでしょう。

その他、

●他人との意思疎通の障害の有無

●理解力・判断力の障害の有無

●記憶力の障害の有無

 

についても、4段階でチェックするという項目もあります。

そもそも後見申立が必要な状態なのかを知りたいという場合には(診断書作成の費用を医師に支払う必要はでてきてしまいますが)この診断書の記入を医師にお願いし、上記項目等を参照して、申立を行う必要があるのかをご判断いただくという方法も良いでしょう。

また、診断書には「診断書付票」という書面も同時に医師に記入してもらいます。

 

後見申立が行われ、家庭裁判所が診断書等提出された書類をもっても「後見」「保佐」「補助」のどの類型を選択するべきかの判断がつかないこともあります。

そこで、そのような場合には、家庭裁判所の職権で、鑑定というものが行われます。

これは、家庭裁判所が選任した医師によって、より詳細に本人の状態を把握し、診断していくというものになります。

上記「診断書付票」には、仮に鑑定を行うことになった場合に、引き受けてもらえるか否か、またその場合にかかる期間や報酬額を記載してもらうものになります

家庭裁判所はこちらの記載も参考にしたうえで、鑑定を行う場合にはこの診断書を記載してもらった医師に依頼するか、別の医師に依頼するのかを決めていきます。

 

⑩本人確認情報シート

 

後見申立を行う際には、医師による診断書を提出することで、ご本人の状態を家庭裁判所が判断しますが、この医師の診断書の補足資料として、「本人情報シート」を提出していきます。

基本的にご本人の普段の様子等を記入していく書類になります。

まずは形式的な部分で、現在どちらにいるのか(ご自宅なのか施設なのか病院なのか)、施設や病院でしたらその名称や所在介護認定や障害者認定等の該当区分認定日等を記載していきます。

次に、実質的な部分で、普段の生活の中で身体的な支援が必要か、またどの程度の支援が必要か、それに伴って今後の支援体制としてどのようなことが必要になってくるのかを記入していきます。

また、認知機能の程度として、日常的な意思伝達能力の程度日常生活の短期的記憶能力の程度家族を認識できるか等を記入していきます。

その他、下記のような内容を記入していきます。

 

 

●日常生活上支援が必要な行為

●地域社会との交流の頻度

●金銭の管理を現在どのように行っているのか

●今後生じうる課題

●ご本人に裁判所の手続きをすることについて説明しているのか
(又は認知症の程度が重度で、説明しても理解できないので説明していないのか)

●本人にとって望ましい日常生活及びそれに関する課題と解決策等

 

 

内容としては記入が簡単ではないうえ、日常的にご本人にある程度関わっていないと記入できないものと言えます。

そこでこちらの書類については、基本的には福祉関係者に作成してもらうことになります。

明確に決まりがあるわけではありませんが、例えば自宅にて訪問介護をうけている方であればケアマネージャーの方、病院に長期に入院中の方でしたら、病院にいる相談員ケースワーカーソーシャルワーカー)等に記入してもらうことになります。

なお、こちらの書類は提出が義務ではなく、可能な限り提出が求められている書類になります

これは、例えばご本人の配偶者の方がご自宅で介護をされていて、ヘルパーさんも頼まれていらっしゃらず、入院もしていなくて、書いてもらえる方がいない場合も想定されるからです。

この場合には、提出が義務になっている②申立事情説明書において、ほとんど同じような項目があります。

そして、本人情報シートを提出すれば、申立事情説明書のこの項目についての記載は省略できる、との構成になっています

逆に言えば、本人情報シートの記入を福祉関係者に依頼できない場合には、申立を行う方(例えば本人の配偶者や子等)が申立事情説明書に当該項目を詳細に記入する事で、本人情報シートの提出は不要になります。

本人情報シートの記入を福祉関係者に依頼できる場合には、本人情報シートを福祉関係者に記入して頂き提出する代わりに、申立を行う方(例えば本人の配偶者や子等)の申立事情説明書の当該項目の詳細な記載は免除されるということになります。

裁判所からすれば、医師の診断書ももちろん重要ですが、ご本人の近くにいて、日常生活を実際に見ている方に様子を聞くことで判断材料にしていく、という点を考慮すると重要な書類であるといえます。

余談となりますが、この書類作成を通して、日常生活がどの程度可能で、どのような支援が必要なのか等、改めてよく考えてみていただき、ご本人にとって何が最良な環境なのか(在宅介護なのか施設入所なのか、どの程度支援が必要な施設を選択するか等々)を改めて考えていく良い機会ともなるでしょう

 

⑪本人の戸籍謄本
⑫本人の住民票(又は戸籍の附票)
⑬後見人候補者の戸籍謄本
⑭後見人候補者の住民票(又は戸籍の附票)
※すべて3ヶ月以内のもの

 

成年後見を申し立てる際に、被後見人予定者や後見人候補者に関して、何通か提出しなければならない証明書があります。

申立書類を受領した裁判所としては、被後見人予定者や後見人となる候補者の方が、実在する人物なのか、またどこに居住しているのかを確認するため、公的な証明書類が要求されます

まず、被後見人予定者本人の戸籍住民票(または戸籍の附票)です。

直近のものの証明書が要求されますので、どちらも発行後3か月以内のものを提出する必要があります。

 

また、住民票に関しては戸籍の附票にて代用が可能ですが、戸籍の附票という書類はあまりなじみのある書類ではないかと思います。

簡単にご説明すると、今現在の本籍にいる期間について、その期間内に住所を移転した遍歴を、全て記載した書類になります。

余談ですが、本籍は結婚や養子になる等以外で変更しない方が多いため、頻繁にお引越しされている方が住所遍歴を証明するためには非常に便利な証明書かと思います。

こちらも住民票と同じく、住所を証明する書類ですので、住民票の代わりになるということです。

 

住民票に関しては、マイナンバー(個人番号)を載せることができるようになっておりますが、裁判所はマイナンバーを記載した書類の受領ができないため、マイナンバーは省略したものを取得する必要がありますので注意が必要です

また、後見人候補者をあらかじめ指名して申し立てを行う場合、当該後見人候補者の戸籍謄本と、住民票(または戸籍の附票)も提出する必要があります。

こちらに関しても、期限の3か月、マイナンバーを載せたものは使用できない点は、被後見人本人の戸籍、住民票と同じですので、注意が必要です。

また、住民票はやはり戸籍の附票にて代用可能です。

 

⑮本人が登記されていないことの証明書
(3か月以内のもの)

 

この書類は、既に後見制度を利用していて、後見人等が就任している方に対し、二重で選任されることのないように、提出が求められています

従いまして、「被後見人予定者の方」に関して、後見/保佐/補助/任意後見について既に「登記されていないことの証明書」を提出することになります

こちらの書類は、(東京23区の場合)東京法務局の後見登録課に対して発行を依頼するものになります。

登記されていないことの証明書」の請求をする際に、「どの登記」がされていないことを証明する必要があるか、を発行請求書に記載することになるのですが、先述のとおり、「後見/保佐/補助/任意後見について」が求められていますので、一部でも欠けていると証明書を取得し直しとなってしまいます

そのため、取得請求書を記載する際は必ず「後見/保佐/補助/任意後見」の全てと記載(またはチェックボックスにチェック)してください

 

⑯愛の手帳のコピー(お持ちの方のみ)

 

こちらは知的障害のある方が被後見人予定者となる場合、お持ちでしたらこちらのコピーも提出書類となっておりますので、併せて提出する必要がございます。

 

後見申立を行う際に家庭裁判所に提出する書類のご説明は以上となります。


成年後見の申し立ては、収集する書類が多く、一般的になじみの薄い手続きですので、ご自身で行うのは時間と労力がかなりかかってくると思います。

司法書士法人鴨宮パートナーズでは、制度について何もご存知なくても、一から丁寧にご説明させて頂きまして、書類の収集代理・提出書類の記入代理、さらに家庭裁判所との連絡も当法人にて致します。

成年後見の申し立て手続きをお考えの方は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズにお気軽にご相談下さい。

 

お気軽にご相談ください。

相続のキホン① ~代襲相続とは~ (2021.06.02)

 

 

 

≪目次≫
1.代襲相続とは?
1-1.代襲相続が発生するケース
1-2.被代襲者が被相続人の子である場合
1-3.被代襲者が被相続人の兄弟姉妹である場合
2.代襲相続はどこまで起こる?
2-1.子どもや孫等の直系卑属が相続人の場合
2-2.兄弟姉妹が相続人の場合
2-3.被相続人が養子縁組をしていた場合
2-4.被代襲者が被相続人の配偶者である場合
3.代襲相続人の相続分
4.相続放棄・相続欠格・廃除の場合、どうなる?

 

 

相続』という一言の中に、様々な法律や用語、考え方が登場します。

これまでに多くのトピックスを掲載しましたが、「そもそも、これってどんな考え方なの?」と疑問に思う方も、実は大多数いらっしゃるのではないでしょうか。

今回から不定期で『相続のキホン』とも呼べる法律や用語について取り上げていきたいと思います。

 

1.代襲相続とは??

 

代襲相続とは、本来であれば相続人である人が、被相続人よりも以前に死亡していた場合に、その方の子供(養子含む)が代わりに相続人になることです

相続人の中に死亡している人がいたら代襲相続が発生する可能性がありますが、相続人が子どもか兄弟姉妹かにより代襲相続の範囲が異なるので正しい知識を持っておきましょう。

今回はパターン別に代襲相続がどこまで起こるのかを解説していきますので、相続人の範囲を確定できず迷われている方はぜひ参考にしてみてください。

 

1-1.代襲相続が発生するケース

 

被相続人の配偶者は、常に相続人となりますが、その他にも被相続人の子、直系尊属(通常、父母)、兄弟姉妹がいる場合には、この順番に従い、相続人となります。

なお、被相続人の父母がすでに死亡しているものの、被相続人の祖父母が生きている場合には、祖父母が相続することになりますが、こちらは代襲相続とは区別されています。

 

1-2.被代襲者が被相続人の子である場合

 

代表的な例としてパターン①を見てみましょう。

Aが被相続人である場合、本来の相続人はBとCです。

しかし、図のようにBがAよりも以前に亡くなっていた場合は、死亡している人は相続人となることができないので、EがBの代わりに相続人になります

代襲される人(上記例ではC)のことを被代襲者といい、代襲する人(上記例ではE)のことを代襲者と言います。

 

1-3.被代襲者が被相続人の兄弟姉妹である場合

 

パターン②のように被相続人のにあたる両親が既に亡くなっている状況で、兄弟姉妹にあたる相続人のBが先に亡くなっている場合、CがBを代襲してAの相続人になります

実際には、養子や認知した子が登場する場合など、複雑な親族関係となっていることも多々あります。

そのような場合には司法書士等の専門家に相談した方がよいでしょう。

 

2.代襲相続はどこまで起こる?

 

2-1.子どもや孫等の直系卑属が相続人の場合

 

数は多くないですが、ご長寿家系で子・孫が先に亡くなっているケースも実在します。

パターン③のように、CとEがともにAよりも先に亡くなっていた場合には、Eの子Fが代襲相続によってAの相続人となります。

このように、被相続人の子や孫といった直系卑属において代襲相続が生じる場合には、直系卑属が連続する限り代襲相続が続くことになります

 

2-2.兄弟姉妹が相続人の場合

 

被代襲者が被相続人の兄弟姉妹である場合、代襲相続は一代に限って起こり、その後の再代襲はありません

Aよりも先にBが亡くなっていた場合、Bの子のDは代襲相続によって相続人となることができます。

しかしパターン④のように、Aよりも以前にBとDがともに亡くなっていた場合でも、Dの子のFはAの相続人になることができません

このように、被相続人の子が相続人となるはずであった場合と、兄弟姉妹が相続人となるはずであった場合では、代襲相続が生じる範囲が異なるので注意が必要です。

 

2-3.被相続人が養子縁組をしていた場合

 

被相続人が養子縁組をしており、その養子がすでに死亡していた場合に、その養子の子が代襲相続をするかは養子の子が生まれた時期により異なります

 

養子縁組の日より前に養子の子として生まれた者は、養親との間に血族関係は生じません

従って養親の直系卑属にあたらず、養子が先に亡くなっていても代襲相続は発生しません

一方、養子縁組の日以降に養子の子として生まれた者は、既に養子は通常の子と同様に養親との間に血族関係が生じているため、養子の子もまた養親の直系卑属(=孫)となり、代襲相続が発生します

 

2-4.被代襲者が被相続人の配偶者である場合

 

パターン⑤のケースを見てみましょう。

両親が先に亡くなっていて、被相続人Eの配偶者Bも先に亡くなっています。

一見するとCがBを代襲してEの相続人になれそうですが、CとEの間に養子縁組をした形跡が無い場合、血縁関係にはありません

このような場合には、CはBの代襲相続人となる事は出来ませんので、代襲相続は発生せず、第三順位のAが単独で相続する形となります。

 

3.代襲相続人の相続分

 

代襲相続人は被代襲者と同じ地位で相続人となります。

例えば、2分の1の相続分を持つCが先に亡くなっていた為に、孫であるEが代襲相続する場合には、Eの相続分は2分の1となります。

孫が2人いる場合には、2分の1を2分の1ずつに分けるので、それぞれの孫の相続分は4分の1となります。

つまり、代襲相続人の数が多くなれば、その分、1人の相続分は少なくなります

 

4.相続放棄・相続欠格・廃除の場合

 

代襲相続は、下記の場合に発生します。

①本来相続人となる被相続人の子又は兄弟姉妹が相続発生時に「死亡」していた場合

②本来相続人となる被相続人の子又は兄弟姉妹に「欠格」事由がある場合

③本来相続人となるべき子が「廃除」された場合

 

②、③の場合には、被代襲者は相続人の地位を失います、その相続人の属人的な行為に基づく効果であり、その相続人の子は相続人の地位を失いません

②の「欠格」事由には、

a)被相続人や先順位の相続人を死亡させた

b)被相続人に対する詐欺や脅迫により、遺言を撤回、変更させたりするなど遺言に対して不当な干渉を行った

ことが含まれます。(民法891条各号参照)

 

③「廃除」されるのは、相続人が

a)被相続人に対して虐待や重大な侮辱を与えた場合

b)著しい非行を行っていた場合

となります。著しい非行には、被相続人の家族に対する継続的な暴力なども含むとされています。

 

なお、廃除は遺留分を含めた相続権を奪うものなので、廃除の対象となるのは、遺留分を有する相続人に限られており、遺留分を有しない被相続人の兄弟姉妹が廃除されることはありません

例えば、被相続人が遺言において、「相続人となる兄弟姉妹から虐待を受けたために一切の財産を相続させない」との意思表示をしていても、これは廃除の意思表示ではなく、単なる遺産の分割割合を指定しているにすぎず、その兄弟姉妹の子が代襲相続することにはなりません。

 

また、注意しなければならないのは、被代襲者が相続放棄をしていた場合には、その子は代襲相続によって相続人となることはできない、という点です。

相続放棄をした人は、はじめから相続人ではなかったことなるからです

 


いかがでしたでしょうか。

このように、相続関係を把握するには、細かな法律判断が必要になってくることがあり、相続税申告の有無を判断する際にも大きな影響を与えます。

代襲相続が起こっている場合には、代襲相続人の相続分が判断しにくくなっていたり、相続人の調査や遺産分割に手間がかかったりと、対応に迷ってしまう方もいるかと思います。

 

当法人では、専門の相続チームが初回面談を行い、適切なヒアリングからまずは相続税申告が必要が否かを素早くご判断させて頂いております。

相続関係、相続人の範囲、法定相続分、遺産分割の方法等些細なことでもかまいませんので、お困りの際は是非一度、目黒区学芸大学駅、渋谷区マークシティの司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまでお気軽にご相談下さい。

 

 

お気軽にご相談ください。

意外と難しい戸籍収集 (2021.05.18)

 

 

≪目次≫
1.戸籍と相続手続の関係とは
2.戸籍の種類
3.戸籍の名称
4.読みづらい戸籍
5.取得方法
6.戸籍を取得できない場合
7.郵送での戸籍請求

1.戸籍と相続手続の関係とは

戸籍とは、端的に言えば、本籍地や法定の家族関係などを証明するものです。

戸籍には、その人の本籍地、生年月日、婚姻日(婚姻歴)、死亡日、両親の名前、子供の名前などが記載されています。

一般に金融機関や法務局の相続手続きでは、被相続人の出生から死亡までの戸籍や、相続人の現在戸籍等が必要になります。

今、相続手続をしたいと依頼されてきた方が、本当に亡くなった方の相続人なのか、そもそも本当に口座等の名義人が亡くなっているのか等を確認するには、公的書面である戸籍を確認する必要があるからです。

しかし、一言に戸籍が必要と言ったところで、配偶者や生前に親しかった親族でさえ、被相続人の出生から死亡までの本籍地を把握していることはなかなか考えにくく、一般的には現在の戸籍(亡くなった時点での戸籍)に記載されている転籍履歴や、改正の有無などを頼りに戸籍を遡りながらながら、古い戸籍を取得していきます。

当法人にご相談にいらした方でも、『戸籍の取得位は自分でやるから大丈夫!』と仰っていたのですが、その後1ヶ月程経過してから、『やっぱり、先生の所で戸籍も含めてすべてお願いできるかしら?』と再度ご来所されるケースは、実はそう少なくありません。

 

2.戸籍の種類

戸籍には種類があります。それぞれ、謄本とうほん)と抄本しょうほん)と呼ばれています。

謄本とは、その戸籍に載っている全部(全員)の情報を記載したもので、全部事項証明書ともいいます。

それに対し、抄本とは、その戸籍に載っている情報のうち、一部(一人)について記載されたもので、個人事項証明書ともいわれるものです。

どちらも記載されている情報に差異はありませんが、用途によってどちらを取得するべきなのか、注意が必要です

不特定の法定相続人がいるかもしれない相続手続においては、戸籍謄本を取得する方が確実です

 

3.戸籍の名称

ひと言で戸籍と呼んでいても、その状態や状況によって名称が変わってきます。

その呼び名は大きく分けて、『戸籍(現在戸籍)、改製原戸籍、除籍』とあり、これらはすべて戸籍と呼ばれるものです。

一般的には現在戸籍を指すことが多いですが、状況によってどの戸籍を指すのかが重要となります。

相続手続において戸籍と言った場合、現在戸籍のみならず、改製原戸籍や除籍などの古いものについても含まれるわけです

 

◆除籍◆
除籍とは、婚姻、離婚、死亡、転籍などによって、その戸籍に在籍している人が誰もいなくなった状態の戸籍です。

◆改製原戸籍◆
例えば、民法の改正により、

・戸籍の記載事項が変更になった
・手書きであったものが電子化され、印字のものに変更された
・縦書きであったものが横書きに変更された

など、戸籍の記載方法などが法律によって変更されることがあります。

明治時代に戸籍制度ができてから、現在に至るまで、4~5回の変更がありました。

改製後の戸籍では記載方法が異なるため、改正前の戸籍の情報をそのまま記載することはできません。

従って、法律が改正されると新しい型の戸籍をつくりそれを現在の戸籍とし、改正前の戸籍は閉鎖されます。

この改正によって閉鎖された戸籍を改正原戸籍といいます。

戸籍の読み方に関しては別のトピックスにて取り上げておりますので、そちらをご確認下さい。

【相続のキホン⑤ ~戸籍の読み方~ 】

 

4.読みづらい戸籍

戸籍の記載は古くなればなるほど読みづらい事が多く、昭和初期以前の戸籍になると、旧字が使われており、数字の記載に関しても現在のようなアラビア数字ではなく、「壱、弐、参、、」といった記載になります。

また、古い戸籍は手書きで書かれており、字そのものが読めないといったこともしばしばあります。

(普段から戸籍を読み慣れている私共でさえ、『よくこの字でOK出したな。。。』と思ってしまう字体が多々あります。これも統一された印字で読み慣れてしまった現代人の弊害とでも呼ぶべきでしょうか。。?)

このように、戸籍を判別しながら遡って、時には前後の表記から推測してまで戸籍収集をしていくことは、思った以上に時間と手間がかかります

 

戸籍は家族単位で構成されており、結婚をすると新たな戸籍が編製され、籍を移すことになります。

また離婚をした場合、婚姻によって姓を変えた方は、親の戸籍に戻るか、新たに自分の戸籍を作り入籍します。

婚姻や離婚をしている場合には、取得しなければならない戸籍の数がその分多くなります。

(旧姓の親の戸籍に戻った場合、その方の名前が、婚姻前⇒離婚後と二度表記されることになります。流し読みで婚姻前の名前を見逃すと、その後の婚姻中の戸籍を見落としてしまう事がありますので注意しましょう。)

他にも、例えば現住所に本籍地を変更した場合には、戸籍は本籍地で管理しているため、新たな本籍地に新たな戸籍が編製されます。

そして、もともと戸籍があった旧本籍地の戸籍は除籍簿に入ることとなります。相続手続には被相続人の記載される戸籍全てが必要になりますので、取得が大変なのです。

 

5.取得方法

戸籍は本籍の置かれている役所で取得します。

被相続人が婚姻や転籍を複数回していると、それぞれの本籍地に戸籍の請求をしなければなりません。場合によっては全国の役所に請求をすることになります。

役所に行くことが難しい場合、郵送によっても戸籍を取得する事ができますが、郵送での戸籍取得はその場で役所の人とのやり取りをすることができません。

そのため、

「取得したいものが違った」

「必要な書類が抜けていた」

等の不手際があると、同じ管轄で何度も郵送のやり取りが必要になる事もあります。

また、郵送での請求は、一回のやりとりに、早くても1週間程かかると考えた方がよいでしょう。

役所によって手続きの仕方が若干異なる場合もあり、そういったことも戸籍取得の難しさを助長しているように思えます。

戸籍を取得しようとしている相続人と被相続人の関係性で、必要となる書類も変わってきます

同じ戸籍内の親子であれば自分の戸籍に被相続人の除籍が記載されますが、例えば相続人が甥・姪であった場合(両親・祖父母が先死亡)などは、まずご自身の戸籍⇒両親との関係⇒祖父母との関係(この辺りでようやく被相続人の名前が出てくることになります)と被相続人との関係性を示すまでにもかなりの戸籍が必要となります。

 

6.戸籍を取得できない場合

被相続人の出生まで戸籍を遡るとなると、状況によりかなり昔の戸籍まで取得する事になります。

場合によっては、戸籍を取得できないケースが出てきます。原因としては、戸籍が戦争または震災によって焼失していることなどが挙げられますが、その場合には、相続手続を申請する先の機関に確認をしながら手続きを進めなければなりません

通常は、役所から焼失証明書破棄証明書という証明書を発行してもらい、それを添付して相談をしていく事になります。

 

7.郵送での戸籍請求

本籍地が近くであれば、直接役所の窓口で請求することができますが、本籍地が遠方など直接窓口に行くことができないこともあります。

そのような場合には、郵送で戸籍を請求することができます。

基本的には請求書、手数料、本人確認書類、切手を貼った返信用封筒など必要な書類を送れば問題ありません。

上記の書類を郵送で役所へ送れば1週間程度で返送してくれます。

 

必要書類


①請求書

交付請求書は、各市町村によって異なります。この請求書は役所のホームページから印刷をすることができます。

 

②請求者の本人確認書類の写し

運転免許証、マイナンバーカードなどが該当します。

代理人が請求する場合には、代理人本人の確認書類のコピーが必要です。

 

③被相続人の死亡を確認できる戸籍

請求する役所に死亡を確認できる戸籍がある場合には不要です。

 

④請求者と被相続人の関係を確認することができる戸籍の写し

同じ戸籍に入っている場合には不要ですが、違う戸籍の場合、請求者と被相続人が同一戸籍に入っていた経緯が分かるところまでの戸籍のコピーを添える必要があります

例えば結婚して夫の戸籍に入っている次女の方が、独身の長男の相続手続きをする事になった場合、次女の現在の戸籍(戸主:夫)から遡って、婚姻前の戸籍(戸主:両親のどちらか)で長男の記載がある戸籍までのコピーが必要です。

 

⑤切手を貼った返信用封筒

 

⑥手数料

郵送で戸籍を請求する場合、手数料は郵便小為替で納付をします。

手数料は役所によって若干違う場合があるので、事前にホームページ等で確認をしておいた方がいいでしょう。

戸籍が何通出てくるかわからない場合は、多めに入れておけばお釣りを出してくれます。(但しお釣りも郵便小為替で帰ってきます。)

※定額小為替は、郵便局で購入することができます。

300円、450円、700円などの種類があり、1枚の定額小為替を購入するのに手数料が100円かかります。

 

⑦委任状(代理人が請求する場合)

一般的には、全国どの市区町村役場でも提出する書類は同じですが、市区町村によっては取り扱いが若干異なる場合がありますので、事前によく確認しておきましょう。

 


いかがでしたでしょうか。だいぶネガティブな表現になってしまったかと思いますが、状況により、かなり面倒なケースが出てくることも事実です。

ご遺産によって相続税申告が生じる場合、お亡くなりになってから10ヶ月以内にご葬儀、戸籍収集、遺産分割、納税申告、、とやらなければならない事が多々あり、今回の戸籍収集はご認識頂けたように時間も手間も取られる、なかなかに厄介な存在です。

当法人では、相続登記や預貯金解約等の相続手続の一環として、戸籍収集や法定相続情報の取得も承っております。

普段から見慣れていないなかで、ご自身でご取得可能なのか、一括してお任せいただいた方がよいのかも含め、まずはお気軽にご相談ください。

 

 

お気軽にご相談ください。

相続のキホン⑥ ~準確定申告とは~ (2021.03.04)

 

≪目次≫
1.準確定申告とは
2.準確定申告が必要な人
3.準確定申告の期限(確定申告と相違する部分)
4.準確定申告が必要な場合は、早めの対応が必要

1.準確定申告とは

前回より相続の考え方、法律用語などを不定期にお届けしております『相続のキホン』。

今回は、『準確定申告』について取り上げていきたいと思います。

 

相続に関する税金で有名なものとして相続税がありますが、相続に関する税金の手続きは実は相続税だけではありません。

忘れられてしまいがちな手続きとして準確定申告というものがあります。

準確定申告は確定申告と共通する部分が多いですが、準確定申告特有のルールも存在します。

毎年1月1日から12月31日までの1年間分の税額を計算し、翌年の2月16日から3月15日までに申告・納税をする

これが所得税の確定申告です。

しかし、確定申告をすべき人が、年の途中で亡くなった場合や、年が明けて確定申告をする前に亡くなった場合、確定申告をしていない状態になってしまいます。

そのため、被相続人に代わって、相続人などが確定申告を行う手続きが設けられています。これが、準確定申告です。

 

2.準確定申告が必要な人

準確定申告必要な人とは、被相続人が一定額以上の年金収入があり、確定申告をしていた場合や、賃貸不動産を所有していて不動産収入の確定申告をしていたという場合です。

したがって相続が発生すると必ず準確定申告が必要というわけではありません。

そもそも被相続人に申告する所得がなかった場合など、確定申告そのものが必要ないのであれば、準確定申告の手続きは不要です。

 

【準確定申告が必要かどうかの判断基準】

 

・給与収入が2000万円を超えていた場合

・給与所得、退職所得以外の所得の合計が20万円を超えていた場合

・2か所以上から給与をもらっていた場合

・公的年金等による収入が400万円を超えていた場合

・公的年金等による所得以外の所得の合計が20万円を超えていた場合

 

3.準確定申告の期限(確定申告と相違する部分)

前項でも述べたように、確定申告は毎年1月1日から12月31日までの1年間分の税額を計算し、翌年の2月16日から3月15日までに申告・納税をします。

準確定申告の場合は、相続人が被相続人の相続開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に申告をしなければなりません

この相続開始があったことを知った日とは、基本的には被相続人が亡くなられた日と考えてよいでしょう。

なお、確定申告をしなければならない被相続人が、1月1日から3月15日までの間に確定申告をしないで亡くなった場合には、前年分と本年分の準確定申告をしなければなりません

この場合、前年分の申告、本年分の申告ともに4カ月以内に行う必要があります。

納税額が生じる場合、申告期限を過ぎてしまったり、申告しないでいると加算税や延滞税といった追徴税が課される可能性がありますので、注意が必要です。

 

4.準確定申告が必要な場合は、早めの対応が必要

4カ月以内という期限がある準確定申告ですが、4カ月は決して長い期間とは言えません。

相続開始後は葬儀の執り行い後、年金の手続き、不動産の名義変更、預貯金の解約の手続き…とやらなければならない手続きが数多くあります。

それらと並行して準確定申告の手続きも進めなければなりません。

また周囲も知らない預金口座があったり投資をしていたりと、被相続人の財産や収入を完全に把握している方は、そう多くいないと思います。

そんな中、資料を収集しそれを基に申告書を作成し、申告までを4カ月以内に行わなければなりませんので、4カ月という期間は、非常にシビアな期間と言えます。

 

準確定申告は税理士の分野ではありますが、当法人では、相続税法等の周辺知識にも明るい相続専門チームが、業界トップクラスの税理士法人・事務所と共にサポートさせていただいております。

相続税や準確定申告、確定申告が発生しそうな相続手続きでお悩みの方は、是非一度渋谷区マークシティ、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまでお気軽にご相談ください。

 

 

 

お気軽にご相談ください。

相続のキホン⑤ ~戸籍の読み方~ (2021.02.10)

前回より相続の考え方、法律用語などを不定期にお届けしております『相続のキホン』。

今回は、『戸籍の読み方』について取り上げていきたいと思います。

≪目次≫
戸籍の読み方
平成6年式戸籍
②昭和23年式戸籍
③大正4年式戸籍
④明治31年式戸籍
⑤明治19年式戸籍

 

相続手続きでは、相続人を確定させるため戸籍の取得が必要となります。

公正証書遺言がない場合では、状況により亡くなった方の父母の出生まで遡って戸籍を取得する必要がありますが、戸籍の書式は時代とともに変化しており、その戸籍がどの時期(いつからいつまで)のものであるかを読み取ることは容易ではありません

今回は、戸籍について、年式別の種類を説明するとともに、取得した戸籍がどの時期にあたるものかを確認する方法を紹介したいと思います。

 

①平成6年式戸籍

2021年現在の戸籍は、平成6年式戸籍といわれる書式です。

コンピュータ化されている書式で、他の年式が縦書きであるのに対し、横書きの書式となっています。

 

<時期の確認方法>

●戸籍事項(当該戸籍の情報)
当該戸籍がいつからいつまでの戸籍なのかが記録されています。

(最新の戸籍である場合は「いつまで」は書かれていません)

●戸籍に記載されている者

この欄には、戸籍内の人ごとの情報が記載されています。

この欄に「除籍」となっている方の除籍理由が「死亡」となっている場合は、その者にとっての死亡時の戸籍となります

また、「除籍」となっていない場合は、その者にとって最新の戸籍となります

 

②昭和23年式戸籍

昭和23年式戸籍は、平成6年式戸籍と同様に、昭和22年の民法改正に従って作成された書式です。

よって戸籍事項、戸籍にされている人の記載は平成6年式戸籍と同様です。

ただし、コンピュータ化前の書式となっているため縦書きとなっており、数字が「壱」「弐」「参」「拾」といった漢数字となっています。

 

<時期の確認方法>

●本籍欄の右側欄外(横)

本籍欄の右側欄外に「平成六年法務省法令第五十一号附則第二条第一項による改製につき平成〇〇年〇月〇日削除」と記載されていることがあります。

この場合、コンピュータ化により平成6年式戸籍が作成されていることになるので、この戸籍は改製までの戸籍(改製原戸籍)として扱うことになります。

●戸籍事項(当該戸籍の情報)

本籍欄の左側が戸籍事項です。当該戸籍がいつ編製され、いつまでの戸籍であるかが記載されています。

ただし、上述の通り、コンピュータ化に伴い削除されている場合、当該戸籍の終わりは欄外に記載されています。

●戸籍内の者ごとの情報

戸籍事項につづいて左側に、戸籍内の人ごとの情報が記載されています。

「昭和〇〇年〇月〇日□□で出生父△△届出同日受附入籍」「平成〇年〇月〇日△と婚姻届出同月〇日□□市長から送付同区△に夫の死の新戸籍編製につき削除」(例)といった形で記載されています。

 

③大正4年式戸籍

大正4年式戸籍は、比較的記載内容が多い戸籍です。

まず、それまでの「家制度」により、孫など三代以上の者も記載されている場合があります。

また、戸籍作成時にそれまであった戸籍の記載事項をすべて記載していたため、編製事由(当該戸籍の期間を示す記載。「〇年〇月〇日〇〇改製」等と記載)が複数ある場合があります。

編製事由が複数記載されていた場合は、最も現在に近いものが、当該戸籍のはじまりとなります。

 

<時期の確認方法>

●戸主の事項(当該戸籍の情報)

通常本籍のすぐ左側に戸主の事項が記載されています。ここには戸主の事項だけでなく当該戸籍の情報も記載されています

当該戸籍がいつからいつまでの戸籍なのかはこの欄に記載されています。

●戸籍内の者の事項

戸主の事項につづいて左側に、戸籍内の者ごとの情報が記載されています。

「本籍に於て出生父△届出昭和〇〇年〇月〇日受付入籍」「△と婚姻夫の氏を称する旨昭和〇〇年〇月〇日受附□□に新戸籍編製につき削除」(例)といった形で記載されています。

 

④明治31年式戸籍

明治31年式戸籍は、「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」という欄があることが特徴です。

1枚目の表には2人、裏には3人、2枚目以降は、すべて3人ずつ記載できるような様式になってます。

 

<時期の確認方法>

●戸主ト為リタル原因及ヒ年月日(当該戸籍の情報)

一枚目に「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」という欄があり、「父△死亡に因り大正〇年〇月〇日戸主と為る同日届出同日受附」(例)といった形で記載されています。

この日付が当該戸籍のはじまりとなることが多いです。

●戸主を含む戸籍内の者の事項

本籍の左側に、戸主から順に戸籍内の者の事項が記載されています。

当該戸籍の終わりは戸主の事項に「□□に転籍届出大正〇年〇月〇日〇〇市長受附同月〇日送付全戸除籍」(例)といった形で記載されています。

 

⑤明治19年式戸籍

明治19年式戸籍は、2021年現在閲覧可能な最古の年式となります。

この戸籍には一部空白がありますが、これは「族称欄」と呼ばれる「士族」「平民」といった記載があった場所ですが、身分差別廃止の観点から現在では白く塗られており、白く塗られている部分の記載が読み取れなくても問題はありません

 

<時期の確認方法>

●戸主の事項(当該戸籍の情報)

本籍の左側に、戸主の事項が記載されています。

戸主の事項内に、当該戸籍がいつまでの戸籍なのかは記載されていますが、いつからの戸籍となるかは記載されていない場合があります。

●戸籍内の者の事項

戸主の事項から順に戸籍内の者の事項が記載されています。

それぞれの者にとっていつまでの戸籍となるかが記載されています。

 

コンピュータ化以前の内容は手書きで書かれており、記載内容が判読しにくいものもあります。

また、記載内容を正しく読み取って対応しないと、思わぬトラブルになる可能性があります。

必要な戸籍の代理取得を含め、ご検討の方は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまで、お気軽にご相談下さい。

 

 

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離婚と遺産分割・財産分与の関係性とは (2021.01.27)

 

 

 

前回までのトピックスにおいて、遺産分割について多く触れて来ました。

今回は、相続人の離婚と実家の土地の相続について本当にあった相談事例を基本にお話しをしたいと思います。

 

下記の相関図をご覧ください。

≪相関図≫
父(被相続人)、母(同居)、長女(嫁いでいる)、長男(同居)

弊社の司法書士が、ご自宅を訪れ遺産分割協議についてお話をお伺いしたところ、建物は同居の長男で登記名義が入っている為、今回父の底地の相続登記も長男名義にしたいと、お話が進み、相談が終盤に近付きました。

同居のお母様も、ご長女の方も、実家の土地は、ご長男が単独名義をいれることで納得していたのですが、肝心のご長男はなぜか難色を示し、なかなか発言をしません。

そして、最後にご長男から次の様なご意見が、、、、

 

『実は、今妻と別居中でして。。。

これから、財産分与について話し合う所なのですが、今、私が実家の土地を相続してしまうと、この土地の一部を財産分与で妻に渡す必要があるかもしれないと思って。。。

それだけは、耐えがたく今回は私の名義にしたくないのですが。。。』

 

 

皆さんは、この問題についてどう思いますか?

結論から申し上げますと、実家の土地の相続は、離婚時における財産分与には影響を与えません

ですので、今回のケースは、相続人全員のお話合い通りご長男が取得したとしても、ご長男の妻には、実家の土地の持分や代償金を財産分与として支払う必要はありません。

離婚時の財産分与は、婚姻時点~別居時点までに夫婦で共同で築き上げてきた財産一切が対象となりますが、婚姻前にご自身名義で買った財産や、実家の相続で取得した財産は特有財産と言われ、一切財産分与の対象にはなりません

上記の内容をお伝えすると、ホッとしたご様子で、無事ご長男名義で相続登記の申請をすることが出来ました。

 


相続専門の司法書士は、手続き代行屋ではなく、各ご家庭が置かれた状況や一切の事情をヒアリングし、時には相続とは関係ないように思われる法律知識も駆使しながら最適な遺産分割を提案していきます。

遺産分割で迷っている、二次相続を睨んだ遺産分割をしたい、相続人の一人が債務整理をしている、相続人の一人が離婚協議中である、相続人の一人が失踪してしまっている。
等々、、、

遺産分割には多種多様な論点が盛りだくさんです。

 

当法人では、多種多様な相続手続きを手掛けてきた専門の司法書士がチームを組み、要所要所で最適な提案をしていきます。

相続でお悩みの方は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまで、是非お気軽にご相談下さい。

 

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そもそも成年後見制度とは何か?制度の概要と後見人の義務とは (2021.01.20)

 

 

≪目次≫
1.成年後見制度の概要
 ◆どんな時に困るのか
2.制度内容
3.家庭裁判所が後見人に定めた義務

 

1.成年後見制度の概要

 

日本は高齢化社会になった、と言われて久しい今日、平均寿命の増加によって認知症になるリスクは年々増加しています。

自分(の親)は大丈夫、とは決して言えない時代になってきています。

しかし実際に認知症になってしまった場合、具体的に何に困ってくるのか、それをどのようにカバーしていったらいいかを正確に理解されている方はまだまだ少ないと思います。

そこで今回は改めて、認知症等により判断力が低下した場合の制度成年後見制度とはどのようなものなのか、について基本的なところをご説明したいと思います。

 

≪どんな時に困るのか≫

 

認知症になってしまった場合、どのような場合に困ってくるかについて詳細は、以前のトピックス【そのまま手続きできる?後見人を立てなければならない場合】にてご紹介しましたのでそちらに譲らせていただきますが、大まかに挙げると下記のような場合が考えられます。

 

●認知症になってしまった場合、たとえ息子(娘)であっても、銀行から預金が下せない

●認知症になった方が老人ホームや高齢者施設に入居しようとしても、入居契約ができない

●亡夫の資産を相続しているが、相続人間で遺産分割協議が整わないうちに認知症になってしまった場合、相続手続きを確定的に行うことができない

●認知症になってしまったので、グループホームに入りたいが、入居資金が足りない。持ち家を売却すれば資金を用意できるが、認知症のため売買契約を締結することができない

●認知症の親が不要な契約をしてしまったとしても、契約を息子等が取り消すことはできない

 

では、認知症になってしまった場合、これらを解決するために成年後見制度を使うとどうなるのでしょうか。

 

2.制度内容

 

成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害等の理由で判断能力が低下してしまった方の代わりに財産管理を行ったり、生活や医療等に関する手続き(契約等)を行ったりすることで、判断能力が低下してしまった方の権利や生活を守る制度です

成年後見人は法律上の代理権を持ち、例えば以下のようなことを行うことができます

 

●本人の銀行口座の通帳及びキャッシュカードを管理し、本人のために預金を引出し、月々の光熱費や家賃の支払い等を行うことができます

●本人に代わって、介護老人施設を探して、入所(入居)契約を締結することができます。

●親や配偶者から相続したが相続人間で未分割の相続財産について、本人に代わって遺産分割協議を行い、確定的に本人の名義に変更手続きすることができます。

●本人に代わって所有不動産を売却し、施設入居の資金に充てることができます。

●本人がした不要な売買契約や工事請負契約を取り消すことができます。

 

成年後見人は、家庭裁判所を通じて選任されるという厳格な手続きを要求しているため、その分強力な権限が与えられているのです。

但し、成年後見人はあくまで認知症等により判断能力が低下してしまった方(被後見人)のための制度になりますので、成年後見人自身の利益ために被後見人の財産を浪費したり、財産を無駄に支出したりして、被後見人の財産を侵害することはあってはいけません。

そこで、被後見人の財産を守るために、成年後見人に対しては家庭裁判所が監督することになります。

 

3.家庭裁判所が後見人に定めた義務

 

管理している財産は何で、どのように管理しているかを把握するため、一年に一度、報告書の提出を求められます

具体的には、管理財産把握のための財産目録を毎年作成し提出します。

また、被後見人の預金や現金に変動(入出金)がある場合、領収書や請求書にて、何にいくら使ったのか、いくら何の資金が入金したのか等の収支報告書を作成、領収書等を添付して提出します

成年後見人は法律上「善管注意義務」(善良なる管理者としての注意義務)を負い、高度な注意義務が課されており、これに違反する管理を行った場合、解任されたり、損害賠償請求される恐れもあります

このように、認知症等により判断能力が低下した場合、成年後見制度を利用することで、成年後見人が代理で財産管理や契約行為を行い、不都合を解消することができるのです。

 

 


当法人では、制度について何もご存知なくても、一から丁寧にご説明させて頂きまして、お困りごとを解決する方法をご提案させていただきます。

認知症等によってお困りの方は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズにお気軽にご相談下さい。

 

 

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