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相続人以外に財産を残すには?②~包括遺贈~  (2020.11.17)

【相続人以外に財産を残すには?②~包括遺贈~】

前回のトピックスでは「特定遺贈」をご説明しましたが、今回は「包括遺贈」についてお伝えします。

⇒【相続人以外に財産を残すには?①~特定遺贈~】はこちら

 

包括遺贈とは、財産の全部または割合的一部を包括的に遺贈するもので、例えば、

財産の全てを与える」や、
全財産の1/4を与える

など、相続分の割合を遺言者が指定します。

「財産のすべてを」であれば貰えるものが明確ですが、上記のような割合が指定された場合、受遺者は具体的に何をもらえるか分かりません。

ですので、他に相続人がいる場合は、その方と「遺産分割協議」を行う必要があります

包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有することになります。

 

≪債務も承継?≫

包括受遺者は、相続財産に対して相続人と遺産の共有状態になるので、債務も承継することになります。

つまり、プラスの財産だけではなくマイナスの財産も引き継ぐことになります。

 

≪包括遺贈の放棄≫

もし債権者から返済を請求されたら、応じる義務があります。

ですので、返済したくない場合は、包括遺贈の放棄を行う必要があります。

相続放棄の申立てと同じように、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に放棄の申述が必要となります。

このように相続人と近い地位になるのが包括遺贈の特徴です。

 

≪遺贈するうえでの注意点≫

遺言書を作成する場合に、特定遺贈にするか包括遺贈にするかは慎重に検討するべきです。

包括遺贈にしてしまうと、上記のように受遺者には債務も承継されることになります。

また、遺留分についても考慮する必要があります。兄弟姉妹以外の法定相続人には「遺留分」という最低限相続できる割合が決められています。

そのため、特定の相続人の遺留分を侵害して遺贈してしまうと、遺留分を持った相続人から遺留分侵害額請求権を行使されることがあります。

 

≪遺言執行者≫

相続人以外の第3者に贈与する際は、遺言書で遺言執行者を選任していると、手続きがスムーズに進みます。

遺言執行者は、遺言者が亡くなった後に、遺言者の意思が実現するのを見届けてくれる人です。

必ず必要となるわけではありませんが、遺言執行者が選任されていると、相続人に代わって遺贈対象となった相続財産を管理するため、確実に遺贈が行われることになります。

 

当法人では、何故遺言を書くのか、その方の置かれた背景事情や家族関係、遺留分のこと等を踏まえ、オーダーメイド型の遺言文案を提案することを心がけています。

遺言執行者に関してもお引き受け致しますので、相続対策でお悩みの方は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまでお気軽にご相談ください。

 

 

お気軽にご相談ください。

相続のキホン③ ~失踪宣告とは~ (2020.11.12)

【相続のキホン③ ~失踪宣告とは~ 】

前回より相続の考え方、法律用語などを不定期にお届けしております『相続のキホン』。

今回は、『失踪宣告』について取り上げていきたいと思います。

 

≪『失踪宣告』とは?≫

行方不明者の生死不明の状況が一定期間継続したとき、その者を死亡したとみなす制度です。

これまでのトピックスで、遺言書がない限り、原則、遺産分割協議には相続人全員の実印と署名が必要となる旨についてはお話してきました。

この原則を忠実に履行しようとすると、困った事態に遭遇してしまうケースがあります。

例えばある家庭で相続が発生したとき、相続人の一人が10年以上前から音信不通であったとします。

所在を探ろうにも戸籍や住民票は当時の現住所のままで、実際にどこに住んでいるか分からず消息不明であったとすれば、その相続手続きはそれ以上先に進めない事になってしまい、他の相続人にとって大変な弊害が生じてしまいますよね。

そこで法律では、一定の要件を満たしたときに限り、その行方不明者を死亡したものとみなす制度=『失踪宣告』を設けました。

失踪宣告によって行方不明者は死亡したとみなされますのでそれによって相続が開始されます。

失踪には普通失踪特別失踪の2種類に分かれており、それぞれ死亡したとみなされる時期が異なるため、相続開始時期が異なってきます

 

①普通失踪

行方不明者の生死が7年間不明であるとき、利害関係人の申立によって家庭裁判所は失踪宣言をすることができます。

普通失踪の場合、失踪(行方不明になって)から7年が経過したときに死亡したとみなされ、その日が相続開始日となります。

 

②特別失踪

特別失踪は震災戦争船舶の沈没などによって生死不明となった者が対象とされます。

特別失踪は、危難が去ってから1年間生死不明の場合に、利害関係人の申立によって家庭裁判所が失踪宣告をすることができます。

特別失踪の場合、危難が去ったときに死亡したとみなされ、その日が相続開始日となります。

 

≪失踪宣告の申立人≫

失踪宣告は利害関係人が申し立てることができます。

利害関係人とは不在者の配偶者相続人にあたる者財産管理人受遺者などの失踪宣告を求める法律上の利害を有する者をいいます。

 

≪申立先≫

不在者の従来の住所地又は居所地の家庭裁判所に対して申立を行います。

 

≪必要書類≫

1 申立書

2 標準的な添付書類
 ・不在者の戸籍謄本
 ・不在者の戸籍附票
 ・失踪を証する資料
※警察署長が発行する家出人届出受理証明書、返送された不在者あての手紙など
 ・申立人の利害関係を証する資料
※親族であれば戸籍謄本など

 

当法人では、相続に関する制度について何もご存知でなくても、ご相談時より一から丁寧にご説明させて頂きまして、書類の収集代理・提出書類の記入代理も致します。

また失踪宣告によって相続が開始しますので、その後の相続手続きまで一連のお手伝いを包括的にご対応することも可能です。

お困りの方は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズにお気軽にご相談下さい。

 

 

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遺言書に記載すべき特記事項② (2020.11.11)

【遺言書に記載すべき特記事項②】

1.遺言執行者の指定
2.予備的遺言(補充遺言)
3.相続させる文言への読みかえ規定
4.負担
5.付言事項

前回のトピックスで遺言に記載すべき特記事項①(上記1~3)を取り上げました。

⇒【遺言書に記載すべき特記事項①】

今回はその②ということで、上記の4、5をテーマにお話したいと思います。


4.負担

皆様は負担ときいて何を連想しますか?

例えば、「会社内で自分にばかり重い仕事が降りかかってきて、負担に感じるなあ。」など、このようなときに使われている気がします。

負担とは、法律上は、法律行為の附款と定義されており、いわば条件のようなものです。
(遺言に条件という文言を入れると、実務上、遺言執行がかなり煩雑になるので、この負担という文言を用います。)

もう少し具体的に言えば、『この財産をあげる代わりにこういったことをしてほしい』、という時に使っていきます。

実務上、遺言の中で多く使われるケースは、

一.全ての財産を長男に相続させる
二.前項の負担として、長男は遺言者の妻◯◯の一生涯、介護扶養をしなければならない

といった表現です。

実際にそのようにして欲しいからという場合もありますが、何の負担もなしに全ての財産を長男に相続させると、後々に二男たちと遺留分争いになる可能性がある時などに、わざわざ上記の文言を入れたりします。
(もちろんケースバイケースではありますが)

家督相続で全て長男が遺産を相続していた旧民法時代は、この負担が当然に盛り込まれていたと解されており、権利を引き継ぐものが義務も引き受け、一族の大黒柱として遺産を承継できなかった弟たちの面倒を見るのが通常でした。

その為、遺産相続で争いに発展したことはないと言われています。

権利は主張出来るが義務は履行しない、という現代の遺産相続においては、遺言を作る際、上記の負担を本文に入れておくのも一つの対策と言えます

万が一、遺産を承継する者が負担を履行しない場合他の相続人から家庭裁判所に請求をして遺言を取り消すことができる強力な義務なので、遺言を遺す方にも安心と言えるでしょう。

 


5.付言事項

付言事項とは、遺言の本文以外の部分に載せるメッセージのことをいいます。

遺言本文には法的効力があるものを記載していくのですが、この付言事項には法的効力がありません

しかし、遺言者の相続人へ宛てた最後のメッセージとして、下記のようなことを記しておけば、無用な争いを防ぐ効果があります

 

「二男◯◯には生前に自宅購入代金として、1000万円贈与しているので、今般の相続では長男に全てを相続させることとしました。
長男◯◯も二男◯◯も私の宝物でした。
今でも長男◯◯、二男◯◯が生まれた時のことを覚えています。
ですので、私亡き後は兄弟で争いをしてほしくありません。
父の最後の遺志をくみ取り、遺言通りに手続きをしてもらえることを願っております。」

 

いかがでしょうか?

日本人は面と向かって意思表示をすることが非常に苦手です。

遺言でこういったメッセージを残すことで、もしかしたら争いを防ぐことができるかもしれません。

また万が一、遺言無効確認の訴えに事が発展した場合にも、遺言を作るに至った経緯やその時の背景事情を記しておけば、遺言者の真意がどこにあるか等、遺言作成当時の有力な事実を推測することに役立つと言えます。

 

当法人では、何故遺言を書くのか、その方の置かれた背景事情や家族関係、遺留分のこと等を踏まえ、オーダーメイド型の遺言文案を提案することを心がけています。

相続対策でお悩みの方は是非一度、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまでお気軽にご相談下さい。

 

 

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法定後見制度の注意点③ (2020.11.05)

【法定後見制度の注意点③】

 

前回2回に渡り、成年後見制度の利用開始に際して良くご質問されること、誤解されている方が多いと思われる点についてご紹介させていただきました。

⇒法的後見制度の注意点①はこちら
⇒法定後見制度の注意点②はこちら

≪内容≫
1.後見人候補者が必ず就任できるとは限らない
2.申し立ての準備から就任まで時間がかかる
3.本人と口約束でした契約や贈与は、履行が果たされない場合がある
4.後見申立の取り下げには許可必要
5.後見人が就任した場合、被後見人が意思能力を回復するか死亡するまで継続する
6.後見人が就任した後に、後見人を交代させるには条件がある

今回も引き続き、注意点についてご紹介させて頂きます。

 

7.後見が終了しても管理していた財産は後見人のものになるわけではない

例を挙げてみましょう。

被後見人A(夫は既に他界している)の長男Bが、Aの後見人に就任し、預貯金の一切をBに渡し、日常的に必要な金銭をAの預金から支払っていたとします。

Aはしばらくして病気により死亡しました。Bには、弟のC(Aの子)がいます。

この場合、被後見人死亡により、後見は終了します。しかし、既に預かっているAの預貯金はBのものになるわけではなく、相続財産としてBとCが相続することになります。

BがCから相続権を主張された場合、法定相続分(Aの財産の半分)については渡さなければなりません

後見申立の相談を受けていると、「後見人になった者が財産をもらえる」と考えている方がいらっしゃいます。

しかし被後見人の財産は、後見人が被後見人のために預かっているに過ぎず、被後見人死亡による後見終了後は、全て「相続財産」として相続人に引き渡されることになります

 

8.後見人であったからといって相続時に有利になるわけではない

被後見人に相続が発生した場合、相続人が財産を取得する旨は上記7で述べた通りですが、後見人が相続の際に有利になるとは言えません

後見人であった者の相続権が、他の相続人より多いとの規定はないからです。

また例えば上記7の例で、後見申立の際に、「Aと同居しているBが後見人となり、Aの面倒を見る代わりにCは相続を放棄する。」との念書をCに書いてもらったとします。

しかし、被後見人の生前に相続放棄の念書を書いたとしても、これには何ら法的拘束力はありません

これは民法915条に、相続放棄をする場合には「相続があったことを知った時から3か月以内」に行う旨が明記されておりますので、あくまで「死亡後」に手続きをすることが前提となっており、被相続人が死亡する前に相続放棄することはできないからです。

それどころか、Cから「後見人としての管理が悪かったから、相続財産を無駄にした」と不当な因縁をつけられてしまうこともあるようです。

家庭裁判所に求められるか否かにかかわらず、後見終了時に争いにならないように、後見人として被後見人の財産を使った場合には、全て領収書等を保管しておくことが望ましいと思います。

 

9.後見人になったとしても本人の行為すべてを代理で出来るわけではない

後見人は、被後見人の財産を管理し、財産に関する法律行為についてのみ、被後見人の代理行為ができます

言い換えれば、一身専属行為は代理することはできません

一身専属行為とは、一身に属するという文字のごとく、いかなる場合も他人には行えない、本人のみに行える行為ということです。

例えば、結婚や離婚等の行為や、養子縁組、認知等が挙げられます。

これらの行為は、いかに後見人であろうとも、本人が決定すべき事柄であり、後見人が口を出すことを認めるべきではないからです。

また、「遺言」も一身専属行為とされているため、後見人が代理で行うことはできません。

ご相談を受ける中で、母が認知症になってしまい、母亡き後の財産の処分方法について法定相続に従うと不都合があるため、自分が後見人となって遺言を書きたいとおっしゃる方がいらっしゃいますが、これはできません。

被後見人となった後も遺言を書くことはできますが、判断能力が一時的に回復していて、医師2人以上の立会のもと、事理弁識能力のあることを確認できた場合にのみ行うことができます

遺言等の生前対策は、認知症が心配になる前の元気なうちに行っておきたいですね。

 

司法書士法人鴨宮パートナーズでは、後見制度の注意点等も踏まえ、最適な制度の利用方法のご提案をさせていただきます。

少しでもご不安な点ございましたら、是非ご相談ください。

 

 

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相続人以外に財産を残すには?①~特定遺贈~  (2020.11.04)

【相続人以外に財産を残すには?①~特定遺贈~】

以前のトピックスにて、相続人の順位等を取り上げてきました。

【法定相続人とその見分け方】
【相続開始時における不動産調査】

相続人がいない方の財産は、遺言等で承継先を指定していない限り、相続人不存在となり、国庫へ納められます

これを回避するのに有効なのは、遺言書により、相続人以外の方へ財産を承継する方法です。

これを遺贈といいます。
※相続人がいる場合でも、相続人ではない方へ遺言を利用して財産を承継する事も遺贈といいます。

受遺者(財産をもらう方)は個人、法人問わず、自由に選択することができます。

遺言は契約や財産を渡す側・もらう側双方の合意を必要とせず、財産を渡す人の一方的な行為であり、これを法律上、単独行為と言います。

遺贈はその指定方法の違いにより「特定遺贈」・「包括遺贈」に分かれます。

今回のトピックスでは、「特定遺贈」に焦点を当ててご説明いたします。

 

<特定遺贈とは?>

特定遺贈とは遺言者が受け渡す遺産を特定する遺贈方法です。

○○に、A建物を遺贈する。」など誰に何を渡すかを記載します。

ポイントは遺産のうち、どの財産が遺贈対象物なのか、具体的に特定できる必要があるということです。

したがって銀行預金であれば金融機関名、支店名、預金の区別(普通・定期・当座)など口座番号を明記します。

特定遺贈の場合は、遺贈者の借金などのマイナス財産を引き継ぐことはありません

 

<遺贈の放棄>

特定遺贈の場合、意思表示をすればいつでも放棄が可能です。

ただし、例えば特定遺贈の他に相続財産がある場合、受遺者の意思がいつまでもはっきりしないと相続人関係者は遺産分割ができませんので、相続人等の利害関係者は受遺者に対して特定の遺贈を承認するか放棄をするかの確認の催告をすることが可能です。
(『催告』とは、相手方に対して一定の行為を成すように請求する事を言います。)

ここで受遺者が決められた期間内に回答しない場合は、承認したものとみなすことができます。

また、一度行った承認・放棄は撤回できません。ただし、制限行為能力者、詐欺・強迫を理由として承認・放棄の意思表示を取り消すことはできます。

なお、遺贈にて取得した不動産は、3年10カ月以内に売却すると、譲渡所得税を軽減する事ができます。

 

いかがでしたでしょうか。今回は「特定遺贈」に焦点を当ててみました。

次回は「包括遺贈」についてご説明いたします。

冒頭でご説明しました通り、相続人がいない場合、何もしないでいると、ご相続発生時に、ご自身の大切な財産が国庫に流れてしまう事になります。

『お世話になった友人に財産を譲りたい。』『ライフワークとして活動していたボランティア団体に寄付したい。』等、当法人にも様々な想いを寄せられるご相談者様がいらっしゃいます。

遺言・遺贈のご相談は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまでお気軽にご相談ください。

 

 

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小規模宅地の減額特定 (2020.10.30)

【小規模宅地の減額特定】

ご家庭で相続が発生した際、まず何よりも気になってくるのが相続税の事ではないでしょうか。

実際、相続税の申告は相続発生後、10ヶ月以内と期限がありますし、相続人が複数ですと、誰が何を相続するかでその額も変わってきます

相続財産には一般的に不動産や預貯金、有価証券などがありますが、その中でも評価額が高くなってくるのが、土地です。

特に都心部では地方に比べて土地の評価額がかなり高く、不動産以外に相続財産がなく、相続税を支払うために自宅を手放さなければならなくなった、なんてこともありえます。

高齢のお子様がいないご夫婦で、残された奥様が大事なご自宅まで手放さなければならなくなった、なんて事になっては気の毒ですよね。

そこで税法ではこのような場合に考慮して、被相続人の自宅敷地を、特定の相続人が一定の条件を満たした場合の減税基準を設けています。

今回はそこに焦点を当てて見ていきましょう。

 

≪減税の要件≫

被相続人の自宅敷地を、特定の相続人が一定の条件を満たした場合、宅地の330㎡までの部分については、土地の評価額の80%を減額することになっています。

1.配偶者が相続する場合

被相続人の自宅の敷地を相続する、という要件さえ満たせば80%の軽減措置を受けることができます。

 

2.同居の親族が相続する場合

被相続人の自宅の敷地を相続する場合で、相続税の申告期限まで継続して所有しなければならず、かつ、相続税の申告期限まで継続して居住をしなければなりません

 

3.『家なき子』が相続する場合

まず『家なき子』とはどんな人物でしょうか。

その定義としましては、被相続人に配偶者も同居の親族もいない場合に、

相続開始前3年以内に、3親等内の親族または特別の関係にある法人が所有する家屋に居住していない者
相続開始時において居住している家屋を過去に所有していたことがない者

上記①②の要件を満たした者、を指します。

①に関しては、持ち家のある相続人の子(被相続人の孫)に遺言で相続させて、孫が特例を使うといった抜け道を排除するため防止するための要件です。

また、社長が会社所有の社宅に住んでいるようなケースも認められません。

②に関しては、持ち家のある相続人が、被相続人が亡くなる前に自宅を自分の子に贈与して、家なき子になって3年を経過することによって、①の要件を満たそうとするのを防止するための要件です。

家なき子が相続する場合には、被相続人の自宅の敷地を相続する場合で、相続税の申告期限まで継続して所有することが軽減を受けられる要件になります。

 

適用要件を図にまとめると以下のようになります。

 

≪その他の要件≫

◆遺産分割協議書が成立している(または遺言書がある)こと

小規模宅地の特例の適用を受けるためには、相続税の申告期限までに遺産分割協議が成立していることが必要です。

相続税の申告期限までに遺産分割協議が成立しなかった場合には、小規模宅地の特例は適用できず、法定相続分に沿って相続税を申告し、納付をしなければなりません。

しかし、法定相続分に沿って相続税を申告した場合であっても、申告期限までに申告期限後3年以内の分割見込み書を提出しており、申告期限から3年以内に遺産分割協議が成立すれば、小規模宅地の特例を適用する形で、払いすぎた税金は返還してもらう事が出来ます

 

◆相続税の申告をすること

小規模宅地の特例の適用を受けると、結果的に相続税がゼロになる場合であっても、相続税の申告は必要になります

 

相続税は税理士の専門分野ではありますが、当法人では、相続税法等の周辺知識にも明るい相続専門チームが、業界トップクラスの税理士法人・事務所と共にサポートさせていただいております。

ぜひお気軽にご相談ください。

 

 

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遺言書に記載すべき特記事項① (2020.10.27)

【遺言書に記載すべき特記事項①】

これまでのトピックスで、遺言に関わるトピックスを多数掲載してきました。

⇒遺言に関するトピックスはこちら

今回は、遺言(自筆証書・公正証書共通)に入れた方が良い文言をご紹介したいと思います。

 

相続人に相続させる、または、相続人以外であれば遺贈するとの文言を使い、誰にどの財産をあげたいかを特定すれば、それで立派な遺言が完成します。

しかし、相続専門の司法書士であれば、実際の手続きを想定して以下のような文言を入れるべきか検討し、提案をしていきます。

1.遺言執行者の指定
2.予備的遺言(補充遺言)
3.相続させる文言への読みかえ規定
4.負担
5.付言事項

今回のトピックスでは、1~3までを具体的に見ていき、次回トピックスで4,5を取り上げる事とさせて頂きます。

⇒【遺言書に記載すべき特記事項②】

それでは、1から順に見ていきましょう。


1.遺言執行者の指定

銀行預金の解約等で、遺言執行者を指定しておいた方が、確実に手続きがスムーズに進みます。

実務的な話ですが、銀行は遺言があっても、相続人同士のトラブルに巻き込まれることを恐れます。が、この遺言執行者が指定されており、当該遺言執行者が預金解約の手続きをすると、難なく審査をパスすることが多いと言えます。

また、不動産の名義変更に論点を絞っても、この遺言執行者が登場するだけで、手続きは簡易に進みます。

 


2.予備的遺言(補充遺言)

例えば、父が長男に全ての財産を相続させる遺言を残したとしましょう。

ところが、父がなくなる前にその長男が死亡。長男には子が二人います。

長男の子二人は遺言にしたがって、遺言者の長男が相続すべき財産を承継取得するでしょうか?

答えは、、、

 

 

NOです。

 

この場合、長男の子は当然に代襲相続するわけではなく、遺言は無効となってしまいます

 

長男の子は代襲相続人とはなりますが、他の法定相続人との遺産分割協議がまとまらない限り、遺言内容どおりの全ての財産を相続する事は出来ません。

このような事態に備え、相続専門の司法書士であれば、遺言の内容を以下のように工夫します。

『遺言者の財産全てを長男に相続させる。もし、長男が遺言者の死亡以前に死亡した場合は、長男の子であるABに均等割合にて相続させる。』

上記の『もし~』以降の部分が、予備的遺言補充遺言)と言われる文言です。

もちろん、遺言者のご意志が一番重要なので、この文言を入れるか否かは遺言者と一緒に検討していく必要があります。

 


3.相続させる文言への読みかえ規定

こちらは特に不動産の名義変更に直結した文言と言えますが、例えば、遺言者が孫にA不動産を遺贈するとの遺言を残したとします。

遺言者には孫の上の世代に長男がいましたが、孫が可愛すぎて上記のような遺言を残したと仮定して下さい。

孫は上の世代がいる以上、相続人とはなり得ないので遺贈との文言を用いることになります。

相続させるでも遺言でも同じ意味ですが、いざ手続きとなると全く変わってしまいます。

相続人へ相続させる』文言であれば、他の相続人の協力なくして不動産の名義変更が出来ますが、遺贈という文言が使われている以上、遺言執行者が指定されていない限り、不動産の名義変更には相続人全員の実印と印鑑証明書が必要となります。

では、上記の事例で孫が不動産の名義を遺言によって変更する際、孫の父(遺言者の長男)が死亡して、相続人の地位を得ているとしたら、とうなるでしょう?

この場合、

『もし遺言の効力発生時に、受遺者◯◯が相続人の地位を得ていた場合、『遺贈する」の文言を「相続させる」と読み換えるものとする。』

といったように、『相続させる』文言への読みかえ規定が明記されていれば、他の相続人の協力を得ることなく単独で登記申請をする事が出来ます。

逆にこの文言が無い事で、他の相続人全員の協力を仰がなければならない、といった事態も、手続きを想定して遺言を書いていない事で起こり得ます。

 

このように、遺言、相続に関して言えば、法律にも詳しく、実際の手続きも日々他の資格者よりも多くこなす司法書士に遺言作成は依頼した方が良いと言えます。

当法人では、生前から遺産分割対策、遺言、家族信託について、しっかりとサポートさせて頂いております。

是非、お気軽にご相談下さい。

 

 

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法定後見制度の注意点② (2020.10.22)

【法定後見制度の注意点②】

以前のトピックスにて、成年後見制度の利用開始に際して頻繁にご質問される点や、誤解されている方が多いと思われる点についてご紹介させていただきました。

⇒法的後見制度の注意点①はこちら

≪内容≫
1.後見人候補者が必ず就任できるとは限らない
2.申し立ての準備から就任まで時間がかかる
3.本人と口約束でした契約や贈与は、履行が果たされない場合がある

今回も引き続き、注意点についてご紹介させて頂きます。

 

4.後見申立の取り下げには許可必要

成年後見申立のための書類の準備が整い、申立書及び提出書類を裁判所に提出すると、正式に申立がなされたことになります。

そして一度申立がなされた後は、審判前であったとしても、家庭裁判所の許可を得なければ申立を取り下げることはできません

これは、成年後見制度がそもそも本人(被後見人予定者)保護のための制度であるため、申立人の判断のみで終了させることが適切でないと考えられるからです。

例えば、本人Aさん(被後見人予定者)の息子Bさんが申立人となり、後見人候補者をBさんとして申立書を提出したとします。

手続きが進むにつれて、家庭裁判所の調査官の言動から、Bさんではなく専門職の弁護士が選任されそう、あるいは後見人にはBさんが選任されそうだけれども、後見監督人として弁護士が選任されそうと感じたとしても、家庭裁判所の許可なく取り下げることはできません。

また、第三者が選任されそうとの理由のみでは、許可も下りない可能性が高いと思われます。

申立書類は、申立以後取り下げられなくなることを念頭に、提出する必要があります。

審判を出すか出さないか、あるいは誰を後見人として選任するかは、個々の事情から最終的には家庭裁判所の裁判官が判断をするため、確定的なことは申し上げられません。

しかし財産の多寡親族の関係性、申立てをして成年後見人をつける目的等により、家庭裁判所がいかなる判断をしうるかとの見通しをある程度立てることは可能ですので、申し立てを行う際はご相談いただければと思います。

 

5.被後見人が意思能力を回復するか死亡するまで継続する

成年後見の申立のご相談をお受けする場合、大多数の場合、申し立てる目的があります。

例えば、Aさんは父親が10年前に亡くなり、その際に父親が所有していたAさんの実家を、母親が相続し、母親がそこで一人暮らしをしていたとします。

ところが母親が認知症になってしまったため、母親をグループホームに入れる資金に充てるために、実家の売却目的で後見申立をしたいというケースがあったとします。

無事申立が認められ、後見人としてAさんが就任し、実家の売却手続きを完了させたとしても、後見人でなくなるわけではありません

後見は、被後見人である母親が亡くなるか、あるいは認知症が治癒(判断能力が回復)するまで続きます。

後見人を立てないとできないからと、何らかの手続きのために一時的に成年後見を利用するということはできません

これも、本人を保護する制度である以上、申立人が考える目的を果たしたとしても、本人の要保護性が消滅するわけではないからです。

なお後見人は、病気などやむを得ない事情がある場合には、家庭裁判所の許可を得て辞任することができます。

この場合にも、後見自体が終了するのではなく、別の後見人を就任させ、新後見人に引き継がれることになります。

基本的にはご本人が亡くなるまで一生続くことですので、特に親族が候補者になる場合には、よく検討して申立手続きをする必要があります。

 

6.後見人が就任した後に、後見人を交代させるには条件がある

例えば母親Aのために息子Bが申立人となって後見申立を行い、弁護士や司法書士等の専門職の後見人Cが選任されたとします。

Bは後見人が就任したことで一安心したのも束の間、Cとはなかなか連絡がつかないうえ、愛想が悪くてうまくコミュニケーションが取れません。

Bは、Cとそりが合わないため、交代させたいと考えるようになりました。

この場合、仮にBがC後見人を交代させたいと考えたとしても、家庭裁判所に申し立てて無条件に交代させることはできません

このように後見人を交代させたい場合には、本人や親族が後見人の解任請求を行っていくことになりますが、これが認められるためには、後見人が任務に適しない正当な事由がなければなりません

例えば後見人が本人に対して虐待行為を行っている、あるいは財産を本人のためでなく後見人自身のために使っている(横領している)、等の事由が必要になります。

成年後見制度はあくまで本人のための制度であるため、親族が望んだとしても本人の不利益になっていないのであれば交代すべきではない、と考えられるからです。

 

司法書士法人鴨宮パートナーズでは、後見制度の注意点等も踏まえ、最適な制度の利用方法のご提案をさせていただきます。

少しでもご不安な点ございましたら、是非ご相談ください。

 

 

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相続のキホン② ~遺産分割協議とは~ (2020.10.20)

【相続のキホン② ~遺産分割協議とは~ 】

前回より相続の考え方、法律用語などを不定期にお届けしております『相続のキホン』。

今回は、『遺産分割協議』について取り上げていきたいと思います。

 

 

≪『遺産分割協議』とは?≫

ご家族・ご親族のうちで相続が発生した際、亡くなった方(被相続人)の法定相続人を確定財産調査を終えた後、誰がどの遺産を相続するか、遺産の分け方を決めなければなりません。

これを「遺産分割」と言い、相続人全員が参加して遺産の分け方を決める話し合いを「遺産分割協議」と言います。

民法では、相続人の順位によって法定相続分が定められていますが、相続人全員が合意すれば、民法で決められた法定相続分と異なる分け方をすることもできます

遺言がなく、相続人が2人以上いる場合、その他に相続分譲渡証明書特別受益証明書が無い限り、必ずこの協議が必要となります。

法定相続通りに分ける場合でも、どの財産を誰が引き継ぐかを具体的に決める必要があります。

こうした分割協議において、最終的に合意に至った内容を書面に取りまとめた文書=「遺産分割協議書」を作成し、登記預貯金の解約税務申告等に用います。

 

≪いつどこで必要になるもの?≫

遺産分割協議書作成の期限は特に決まっていませんが、相続税がかかる場合は、相続税の申告に間に合うよう10ヶ月以内に行う事が通常です。
(実際には相続税申告の手続書類に相応の時間がかかりますので、申告期限の3ヶ月程前には遺産分割を終えておく方が良いでしょう。)

また、相続税がかからない場合でも、相続関係が複雑にならないように、早めに遺産分割協議書を作成する事をお勧めします。

相続人全員で署名実印で押印し、相続人の人数分作成して各自で保管します。

相続登記や銀行預金の名義変更などで、この協議書と印鑑証明書を併せて提出します。

 

≪分割方法≫

分割方法には現物分割・代償分割・換価分割・共有分割の4つの方法がありますが、今回は最もオーソドックスな現物分割をした場合の遺産分割協議書の書き方をご紹介します。

現物分割とは、例えば、不動産は配偶者へ、預貯金は子供全員に均等に、といった具合に、遺産を分割する方法を言います。

書き方として、金融資産は金融機関名・支店名・口座番号等、出来るだけ特定する事をお勧めします。

 

●不動産


市役所や都税事務所から届いた固定資産税の通知書に、土地の地番や建物の家屋番号が記載されているので、その地番等を基に法務局にて登記簿謄本を取得できます。

但し、固定資産税の通知書にも記載されていない場合もありますのでご注意ください。

権利証の確認等で、非課税の私道部分の登記漏れを防ぐ為にも、念のため司法書士に助言を受けた方がよいでしょう。

 

●預貯金


預貯金の金額は、遺産分割協議書に記載してもしなくても、どちらでも構いません。

誰がどの銀行のどの口座を相続するか具体的に記載します。

 

戸籍上相続人であると判明しているのに、一部の相続人を除いて遺産分割協議書が作成された場合や、相続人ではない人が加わっていた場合など、協議書自体の有効性が争われるケースがあります。

作成について不安が残る方は、是非一度当法人までお気軽にお問合せください。

 

 

お気軽にご相談ください。

相続のキホン① ~代襲相続とは~ (2020.10.15)

【相続のキホン① ~代襲相続とは~ 】

相続』という一言の中に、様々な法律や用語、考え方が登場します。

これまでに多くのトピックスを掲載しましたが、「そもそも、これってどんな考え方なの?」と疑問に思う方も、実は大多数いらっしゃるのではないでしょうか。

今回から不定期で『相続のキホン』とも呼べる法律や用語について取り上げていきたいと思います。

 

≪『代襲相続』とは??≫

代襲相続とは、本来であれば相続人である人が、被相続人よりも以前に死亡していた場合に、その方の子供(養子含む)が代わりに相続人になることです。

 

代表的な例としてパターン①を見てみましょう。

Aが被相続人である場合、本来の相続人はBとCです。

しかし、図のようにBがAよりも以前に亡くなっていた場合は、死亡している人は相続人となることができないので、EがBの代わりに相続人になります

代襲される人(上記例ではC)のことを被代襲者といい、代襲する人(上記例ではE)のことを代襲者と言います。

 

≪代襲相続が発生するケース≫

●被代襲者が被相続人の子である場合

上記代表的なパターンがこれにあたります。

 

●被代襲者が被相続人の兄弟姉妹である場合

パターン②のように両親が既に亡くなっている状況で、相続人であるBも先に亡くなっている場合、CがBを代襲してAの相続人になります。

 

≪代襲相続の範囲≫

●被代襲者が被相続人の子である場合

数は多くないですが、ご長寿家系で子・孫が先に亡くなっているケースも実在します。

パターン③のように、CとEがともにAよりも先に亡くなっていた場合には、Eの子Fが代襲相続によってAの相続人となります。

このように被代襲者が被相続人の子である場合には、理論的には何代まででも続いて代襲相続が起こります

 

●被代襲者が被相続人の兄弟姉妹である場合

被代襲者が被相続人の兄弟姉妹である場合、代襲相続は一代に限って起こり、その後の再代襲はありません。

Aよりも先にBが亡くなっていた場合、Bの子のDは代襲相続によって相続人となることができます。

しかしパターン④のように、Aよりも以前にBとDがともに亡くなっていた場合でも、Dの子のFはAの相続人になることができません

 

≪代襲相続が発生しないケース≫

●被代襲者が被相続人の配偶者である場合

パターン⑤のケースを見てみましょう。

両親が先に亡くなっていて、被相続人Eの配偶者Bも先に亡くなっています。

一見するとCがBを代襲してEの相続人になれそうですが、被代襲者が被相続人の配偶者の場合は代襲相続が発生しません

 

≪代襲相続人の相続分≫

代襲相続人は被代襲者と同じ地位で相続人となります。

例えば、2分の1の相続分を持つCが先に亡くなっていた為に、孫であるEが代襲相続する場合には、Eの相続分は2分の1となります。

孫が2人いる場合には、2分の1を2分の1ずつに分けるので、それぞれの孫の相続分は4分の1となります。

つまり、代襲相続人の数が多くなれば、その分、1人の相続分は少なくなります

 

≪相続放棄の場合、どうなる?≫

代襲相続は、被代襲者が被相続人よりも先に亡くなっていた場合だけでなく、

●被代襲者が相続欠格者である場合
●被代襲者が廃除されている場合

にも起こります。

しかし注意しなければならないのは、被代襲者が相続放棄をしていた場合には、その子は代襲相続によって相続人となることはできない、という点です。

相続放棄をした人は、はじめから相続人ではなかったことなるからです。

 

代襲相続が起こっている場合には、代襲相続人の相続分が判断しにくくなっていたり、相続人の調査や遺産分割に手間がかかったりと、対応に迷ってしまう方もいるかと思います。

お困りの際は是非、当法人までお気軽にご相談ください。

 

 

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