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会社の代表取締役が認知症になってしまった場合の手続き (2020.12.03)

【会社の代表取締役が認知症になってしまった場合の手続き

過去のトピックスにおいて何度もお伝えしておりますが、日本の高齢者人口は増え続けていて、その点は会社の経営者についても例外ではありません。

経営者が認知症になってしまうと、経営の判断の質が低下したり、言動から取引先の信用が低下してしまう、などの弊害が生じます。

場合によっては経営者の意思能力が無いと主張され、契約の効力を争ってくる可能性もあります。

このような場合、他の取締役等は、どのように手続きをしていくべきなのでしょうか。今回はこちらのテーマで書かせていただきたいと思います。

 

≪こんな場合、どうする?≫

A株式会社の代表取締役はB、取締役はBの息子であるCが登記されています。普段からBは、「近頃物忘れがひどくなってきたので、会社の経営は息子であるCに任せている」旨を、取引先にも公言していました。

しかし、代表取締役はBの状態のまま、Bの認知症が悪化してしまいました。この場合Cはどうしたらいいでしょうか。

 

①代表取締役Bを解任する

まず考えていくのが、このままですと会社経営にリスクがありますので、代表取締役Bを解任する手続きを取っていくことが考えられます。

株主総会にて「取締役」Bの解任(代表取締役資格は自動的に失う)をしていくか、仮に取締役会を置いている会社でしたら、取締役会にて「代表取締役」の資格のみ先に解任することも可能です。

しかし、取締役会にて取締役の意見が一致しない可能性もあります。

また、株主総会においても、中小企業などの場合、株式の大多数を代表取締役が持っていることも多いため、代表取締役であるBが議決権を行使した多数の票に意思能力の問題が残り、後になって株主総会の決議自体の効力が争われてしまう恐れがあります。

 

②法定後見制度を使う

上記①のような手続きには、不確定的部分がどうしても生じてしまします。また、仮に経営する会社関係の問題をクリアしたとしても、その他の私生活においての問題が残ります。

預貯金が下せなかったり、不動産の売却や、施設の入所契約ができない等の問題は解決されません。

そこで、Bについて成年後見の申立を行うという方法が考えられます。CはBの息子ですので、成年後見の申立を行うことができます。

代表取締役が成年被後見人となった場合には、取締役としての資格を自動的に失います(会社法331条の取締役欠格事由)ので、上記①で述べた手続きが確定的なものとなります。

その後は、後見人に選任された者が、Bに代わって議決権を行使し、新たな代表取締役を選定していくことになります。

取締役会を置く会社では、Bを除く構成員による取締役会によって、新代表取締役を選定していくことになります。

また、必要に応じて株式の譲渡等を行い、経営権を承継していくことになります。

しかし、後見人に選任される者は、経営のプロではありませんので、適切な取締役を選ぶことができるとは限りません

また、後継者について社内に争いがある場合には、正式な代表者が定められない状態が続いてしまうリスクは依然として残ってしまいます。

 

③任意後見制度を使う

法定後見制度は、認知症になってしまった場合の制度ですので、既に認知症を発症してしまうと、この制度を利用する以外の方法が無くなってしまいます。

今回取り上げた例のように認知症が悪化してしまう前に、起こりうることに備えて他の方法によって準備することはできます。

例えば暦年贈与によって株式を後継者に移譲しておく民事信託の契約をしておき、後継者を決めておく等も考えられますが、任意後見契約を結んでおくという方法もご紹介できればと思います。

任意後見契約では、まだ本人に意思能力があるうちに、認知症になってしまった場合に備えて、信頼できる者を後見人に指名し、予め契約を結んでおきます

本人が認知症になってしまった場合は、後見監督人のもとで、後見人が本人の代わりに権利を行使し、適切な取締役を選任することになります。

 

認知症はいつ発症するかわかりません。そして、発症してしまうと取りうる手段が限られてきてしまいます。

備えられるうちに、できるだけ早めに対策を講じておくことで、安心して経営できる状態を作っておくことが望ましいといえます。

司法書士法人鴨宮パートナーズでは、様々な制度を選択肢として検討し、ご本人の状態等も考慮しながら、最適な利用方法のご提案をさせていただきます。

このようなお困りごとがございましたら、是非一度お気軽にご相談ください。

 

 

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遺産分割の優先順位 (2020.12.01)

【遺産分割の優先順位】

以前のトピックスにて遺産分割の方法について取り上げました。

⇒【遺産分割の方法】

この中でいくつかの分割方法をご紹介いたしましたが、分割方法にも優先順位があるのをご存知でしょうか?

遺産分割審判(裁判)となった場合、裁判官が選択する遺産分割方法の順番があります

今回は遺産の分割方法の優先順位についてご説明いたしましす。

 

第1順位:現物分割

現物分割が最優先となります。財産をそのまま(現物)分割するので預貯金や現金などの分割に向いています。

財産の形状や性質を変更することなくそのものを分割する方法です。

 

第2順位:代償分割

現物分割が不可能な場合、次に代償分割を検討します。一人の相続人が財産を取得し、他の相続人に代償金として支払う方法です。

遺産分割協議書で代償分割の記載がないと贈与とみなされ、贈与税を課税されることがあるので注意が必要です。

 

第3順位:換価分割

3番目に換価分割で、財産を売るなどして金銭に換えて(換価)分割する方法です。

不動産がある場合に行うことが多いですが、有価証券にも利用できます

現金化することになるので、公平性を重視する場合にも採用されやすい方法と言えます。

 

第4順位:共有

最後の共有は、できれば避けたい方法です。1つの財産を複数の相続人で持ち分を決めて持ち合う方法となります。

例えば、別荘は皆で使って維持費は折半する、という方法になります。

共有のメリットは、財産をそのまま皆に残せるため公平感がある、ということです。収益物件なら持ち分に応じて利益を受け取る権利も取得できるため分配が楽である、という面もあります。

共有のデメリットは、財産を個人で自由に変更したり処分したりすることができなくなる、ということです。また共有者に相続が起こると権利関係が複雑になる、という面もあります。

既に売却が予定されている空き家がある場合等に選択する方法と言えるでしょう。

共有分割した場合には早期に解消する方向で遺産分割をすることが望ましいです。

 

遺産の分割方法は、それぞれのケースにあわせて考える必要があります。

安易に共有してしまうと将来的に禍根をのこしてしまう場合もありますので、遺産の分割にお悩みの方は、是非一度、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまでお気軽にご相談ください。

 

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相続放棄の流れと必要書類 (2020.11.26)

【相続放棄の流れと必要書類】

「被相続人の債務を相続したくない」又は「特定の相続人にすべての遺産を相続させたい」など様々な目的で行われる相続放棄ですが、これまでにいくつかのトピックスにて注意点等に触れてきました。

⇒【相続放棄と法定相続人】
⇒【相続放棄の注意点】
⇒【二次相続税対策としての相続放棄】

今回は相続放棄をするためにはどんな手続きが必要なのか、またその際に必要な書類について取り上げてみたいと思います。

 

≪申述先≫

相続放棄の申述先は家庭裁判所です。

全国どこの家庭裁判所に対して申述していいわけではなく、相続放棄の申述ができる家庭裁判所は被相続人の最後の住所地と決まっています

もし誤った管轄に申述申立してしまった場合、正しい管轄に送られるのではなく、一度誤った申述申立を取り下げた後、正しい管轄で再度申立てする必要がありますのでご注意ください。

 

≪期間≫

相続放棄をするにあたって注意しなければならないのは、相続放棄には期間制限があることです。

相続放棄は相続開始を知った時から3カ月以内にしなければなりません。

 

≪必要書類≫

①相続放棄申述書

記入すべき事項は形式的なものが多いですが、申述の理由の欄をどのように書くのかが重要な意味を持つことがあり、必要に応じて詳細な事情説明書や資料説明書などを添付する場合もあります。

相続放棄申述書のフォーマットは家庭裁判所のホームページでもダウンロードすることができます。
(例:『相続の放棄の申述書(20歳以上)』

 

②被相続人の住民票除票または戸籍の附票

相続放棄は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申述しなければならないため、そのことを証明するために添付が必要になります。

 

③相続放棄する方の戸籍謄本

戸籍謄本は戸籍がある本籍地の役所でしか取得できません。

住所があっても本籍地が異なる場合は、住所がある役所では戸籍は取得することができませんので注意が必要です。

 

④ 収入印紙(800円)

相続放棄を行う際に必ずかかる費用になります。

 

⑤ 切手(80円を5枚程度)

家庭裁判所から郵便で通知を送る際等に使用するため、郵便切手を提出する必要があります。

各家庭裁判所によって異なりますが、概ね数百円程度です。

 

ここまでが相続放棄の申述をするために必ず必要になる書類になります。

ここからは場合に分けて必要な書類を解説していきます。

【配偶者が相続放棄する場合】
上記に加え、

⑥被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本

被相続人と配偶者は通常であれば同じ戸籍に載っていますので、③に被相続人の死亡の記載がある場合は③のみで問題ありません。

 

【子または孫が相続放棄する場合】
子が相続放棄をする際は、配偶者と同じく⑥の書類が必要になる他、子が婚姻して被相続人の戸籍から除籍されている場合、子の現在の戸籍も必要になります。

 

【孫が相続放棄をする場合】
⑥に加えて、

⑦被代襲者(配偶者または子)の死亡記載のある戸籍謄本 が必要になります。

 

【被相続人の親(または祖父母)が相続放棄する場合】
⑧被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本

子等の直系卑属が死亡又は相続放棄している場合、被相続人の親(父母)の相続順位は第2位の相続人で、第1位の相続人である子及びその代襲相続人(孫)が存在すれば相続人にはなりません。

つまり、父母が相続放棄をするのは、第1位の相続人が全員いない場合となります。

したがって、第1順位の相続人がいないことを証明するために、

⑨配偶者(または子)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本 が必要になります。

さらに、被相続人の親(父母)も死亡している場合、被相続人の祖父母が相続することになり、祖父母も相続放棄を行う際は、

⑩被相続人の親(父・母)の死亡記載のある戸籍謄本 が、必要になります。

 

【兄弟姉妹(または甥・姪)が相続放棄する場合】
兄弟姉妹、甥姪が相続放棄を行う場合、相続順位が最下位の相続人になりますので、今まで記述した全てのものが必要書類になります。

⑧被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本

⑨配偶者(または子)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本

⑩被相続人の親(父・母)の死亡記載のある戸籍謄本

 

【兄弟も死亡している場合】

⑪兄弟姉妹の死亡の記載のある戸籍謄本

が必要になります。

 

≪相続放棄申述書の提出後の流れ≫

相続放棄申述書と必要書類、収入印紙を管轄家庭裁判所に提出すると、家庭裁判所は相続放棄の審査に移っていきます。

ケースにもよりますが、申述書提出から数週間以内に家庭裁判所から照会書と言う書類が送られてきて、その照会書に回答し、返送することにより実際の審査に移る場合もあります。

なお、照会書は必ず回答し返送してください。また相続放棄が認められなくなるような記載は控えてください。

相続放棄申述書の提出から、早くて3週間程、通常は1カ月程で受理されます。長い場合でも2カ月程で受理されます。

相続放棄が受理されると、家庭裁判所から通知が送られてきます。

相続放棄と同時に相続放棄受理証明書発行請求書を提出している場合は、相続放棄受理証明書も同様に管轄家庭裁判所から送られてきます

 

 

相続放棄には多くの書類が必要になり、ご自身で用意しようとすると非常に手間のかかる作業になります。

また相続放棄には期間制限があるので、必要書類を集めている間に期間が過ぎてしまったというケースも見受けられます。

当法人では、必要書類の収集から申述の手続まで、経験豊富なスタッフが専門チームでお手伝いさせていただきます。

目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまで、是非一度お気軽にご相談ください。

 

 

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老親の介護を条件とする遺産分割協議 (2020.11.24)

【老親の介護を条件とする遺産分割協議】

前回までのトピックスにて遺産分割の方法について取り上げました。

⇒【遺産分割の方法】

遺産分割は相続人全員が同意すればどのような協議内容でも原則有効に成立します。

しばしば、長男が財産を相続する代わりに、残された老親の介護や扶養義務を負うものとする文言を入れたいと、別の相続人から相談を受けることがあります。

「遺産分割協議に、そんな相続財産とは関係ないような事を入れられるの?」とお考えの方もいらっしゃることでしょう。

しかし実はこの遺産分割協議、無効ではありません

遺産分割協議書に反映する場合は、下記のように記載します。

 

1.相続人◯◯は、下記財産を含め全ての遺産を取得する。

2.前項の遺産分割の負担として、相続人◯◯は被相続人の妻であり、相続人◯◯の母である相続人◯◯の生涯、介護及び扶養をしなければならない。

 

といった入れ方になります。

遺産を全て相続する相続人が、第二項の取り決めを履行してくれれば問題はありません。

しかし、遺産を全て相続する相続人が第二項の取り決めに全く従わず、相続手続きが終わるや否や遺産を浪費に使ってしまったらどうでしょう?

この場合、下記の対策が考えられます。

 

1.遺産分割協議を解除する

2.老親から扶養請求権を行使する

 

1の場合、他の相続人が一方的に債務不履行を原因として遺産分割協議を解除することは認められていません

どうしても遺産分割協議を解除したい場合は、全員の合意で解除するしかありません

遺産分割で取り決めたことを履行しないからトラブルになっているのに、もう一度円満に合意することは非常に困難でしょう。

仮に全員の合意で解除して、遺産分割協議をやり直した場合、税務上は贈与税を課せられます

ですので、1は実際には使われることはほぼありません。

 

続いて2ですが、これは一般的には一定程度認められる可能性があります。

しかし、任意に請求しても到底応じないからトラブルに発展していると言えるので、裁判上の請求をして時間も費用も取られてしまう、と言っても過言ではありません。

このように、遺産分割協議書の押印時点では合意が成立していると見えても、親の介護等不確定要素(どこまでやればいいか答えがない)を含む場合は後にトラブルに発展することもあります。

 

遺産分割協議はどのような方法でも合意があれば原則有効に成立しますが、不確定要素を含む場合は注意が必要です。

当法人では、相続人皆様方の意見をヒアリングし、最適な遺産分割協議案を提案致します。

目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズにまずは一度、お気軽にご相談下さい。

 

 

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そのまま手続きできる?後見人を立てなければならない場合 (2020.11.19)

【そのまま手続きできる?後見人を立てなければならない場合】

認知症になってしまった事で、銀行や施設との手続関係において、今までできていたことができなくなった(拒否された)、というご相談をよくいただきます。

どのような場合に拒否される(可能性がある)のかを把握しておくと、事前に備えることもできるかと思います。

そこで今回は、後見人を立てないと手続きができなくなる場合を、例を交えてケース毎にご紹介していきたいと思います。

 

≪ケース①:銀行から預金を下ろしたい≫

Aさんには認知症の夫Bさんがいます。Bさんは今まで何とか銀行に出向いて、生活のための預金を下ろせていましたが、最近夫の認知症が進行していることを心配し、Aさんが代わりに預金を下ろしに行ってあげたいと考えました。

ある日Aさんは、生活費のためBさんの預金口座から預金を下ろし、日用品の購入や公共料金の支払い等をしようと、銀行に行きました。

しかし、「Bさんは認知症のようですので、預金の引き出しはできません。」と言われてしまいました。

Aさんにとっては、自分と夫の老後のために資金として貯めておいた口座から預金を引き落とすことができず、生活費が支払えなくなりました。

上記のような状態になってしまうと、Aさんの生活自体も危うくなってしまいます。

すぐに成年後見人を付けて(もしくは自分が後見人となり)預金を下ろしたいところですが、後見申立てにはおよそ2~3ヶ月の申立期間がかかってしまいます

認知症になる前に、任意後見契約財産管理契約等(詳しい説明は別のトピックスにて掲載致します)を結んでおいて、このような事態に陥らないよう、事前の予防策を講じることが大切です。

 

≪ケース②:老人ホームに入居したい≫

軽度の認知症にかかっているが、老人ホームに入居したいと考えていたAさんは、夫がすでに死亡しており、子供はいません。弟がいますが、住居は遠方で疎遠となり、連絡先も知りません。

このような場合に施設を探していましたが、施設入居の条件に「身元保証人が必要」と言われてしまいました。

しかし、親族は連絡先のわからない弟しかおらず、入居することができません。

この場合には、たとえ成年後見人を立てたとしても、成年後見人は身元保証人にはなれませんので、成年後見人を立てれば入居できるとは限りません

しかし、施設によっては「身元保証人が立てられないのであれば、成年後見人を立ててください」というところもありますので、施設に確認し、成年後見申立を行いましょう

成年後見人がいることは、施設側にとっても安心になるようです。

 

≪ケース③:相続手続きをしたい≫

認知症のAさんの夫Bさんは、先日他界してしまいました。息子のCさんは、Bさんの相続手続きをしようと考え、不動産の名義書き換え、預金の解約を進めようとしました。

ところが、不動産名義の書き換えのために相続登記を司法書士に依頼したけれど、Aさんに認知症の疑いがあるとのことで断られてしまいました。

預金の解約に行った銀行からも同じように断られてしまい、結局このままでは手続きができません。

相続人の中に認知症の方がいる場合には、基本的に相続手続きをすることはできません。

この場合には成年後見人を立て、成年後見人と他の相続人とで遺産分割協議をすることで、相続による不動産名義書き換えや、預金の解約手続きを行っていくことになります。

上記の例で仮にCさんが成年後見人に就任した場合には、Cさんは、Bさんの相続人であるAさんの後見人の立場と、自身のBさんの相続人の立場と二重になり手続きが出来ませんので(このような状況を利益相反といいます)、遺産分割協議のために特別代理人の選任申立を行っていくことになります。

Aさんの成年後見人はCさんで変わりないのですが、今回の遺産分割に限って、成年後見人Cさんの特別代理人が、Cさんと一緒に遺産分割を行っていくことになります。

 

≪ケース④:騙されてしてしまった契約を取り消したい≫

認知症の父Aさんは、妻Bさんに先立たれて一人暮らしをしていて、遠方ですが息子Cさんがいます。

Cさんは月1回くらいのペースでAさんの様子を見に行っていましたが、行くたびに見知らぬ商品が増えていっていました。CさんがAさんに聞くと、親切な方が置いて行ってくれていると言っていました。

しかし契約書のようなものが見つかり読んでみると、高額な商品を購入するというもので驚いてしまいました。

CさんがAさんの息子だとしても、このままではAさんのした行為を直接取り消すことはできません

この場合、成年後見人を立てることで、成年後見人がAさんのした行為を取り消して解決することができます

近年の高齢者を狙ったオレオレ詐欺や振り込め詐欺などの特殊詐欺の被害は、残念ながら一向に減りません。

認知症になった場合には、このような詐欺被害から本人を守る意味でも、成年後見を検討していくことが望ましいと考えます。

 

いかがでしたでしょうか。司法書士法人鴨宮パートナーズでは、後見人を立てる必要性等も考慮しながら、最適な利用方法のご提案をさせていただきます。

少しでも疑問点ございましたら、是非一度お気軽にご相談ください。

 

 

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相続人以外に財産を残すには?②~包括遺贈~  (2020.11.17)

【相続人以外に財産を残すには?②~包括遺贈~】

前回のトピックスでは「特定遺贈」をご説明しましたが、今回は「包括遺贈」についてお伝えします。

⇒【相続人以外に財産を残すには?①~特定遺贈~】はこちら

 

包括遺贈とは、財産の全部または割合的一部を包括的に遺贈するもので、例えば、

財産の全てを与える」や、
全財産の1/4を与える

など、相続分の割合を遺言者が指定します。

「財産のすべてを」であれば貰えるものが明確ですが、上記のような割合が指定された場合、受遺者は具体的に何をもらえるか分かりません。

ですので、他に相続人がいる場合は、その方と「遺産分割協議」を行う必要があります

包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有することになります。

 

≪債務も承継?≫

包括受遺者は、相続財産に対して相続人と遺産の共有状態になるので、債務も承継することになります。

つまり、プラスの財産だけではなくマイナスの財産も引き継ぐことになります。

 

≪包括遺贈の放棄≫

もし債権者から返済を請求されたら、応じる義務があります。

ですので、返済したくない場合は、包括遺贈の放棄を行う必要があります。

相続放棄の申立てと同じように、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に放棄の申述が必要となります。

このように相続人と近い地位になるのが包括遺贈の特徴です。

 

≪遺贈するうえでの注意点≫

遺言書を作成する場合に、特定遺贈にするか包括遺贈にするかは慎重に検討するべきです。

包括遺贈にしてしまうと、上記のように受遺者には債務も承継されることになります。

また、遺留分についても考慮する必要があります。兄弟姉妹以外の法定相続人には「遺留分」という最低限相続できる割合が決められています。

そのため、特定の相続人の遺留分を侵害して遺贈してしまうと、遺留分を持った相続人から遺留分侵害額請求権を行使されることがあります。

 

≪遺言執行者≫

相続人以外の第3者に贈与する際は、遺言書で遺言執行者を選任していると、手続きがスムーズに進みます。

遺言執行者は、遺言者が亡くなった後に、遺言者の意思が実現するのを見届けてくれる人です。

必ず必要となるわけではありませんが、遺言執行者が選任されていると、相続人に代わって遺贈対象となった相続財産を管理するため、確実に遺贈が行われることになります。

 

当法人では、何故遺言を書くのか、その方の置かれた背景事情や家族関係、遺留分のこと等を踏まえ、オーダーメイド型の遺言文案を提案することを心がけています。

遺言執行者に関してもお引き受け致しますので、相続対策でお悩みの方は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまでお気軽にご相談ください。

 

 

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相続のキホン③ ~失踪宣告とは~ (2020.11.12)

【相続のキホン③ ~失踪宣告とは~ 】

前回より相続の考え方、法律用語などを不定期にお届けしております『相続のキホン』。

今回は、『失踪宣告』について取り上げていきたいと思います。

 

≪『失踪宣告』とは?≫

行方不明者の生死不明の状況が一定期間継続したとき、その者を死亡したとみなす制度です。

これまでのトピックスで、遺言書がない限り、原則、遺産分割協議には相続人全員の実印と署名が必要となる旨についてはお話してきました。

この原則を忠実に履行しようとすると、困った事態に遭遇してしまうケースがあります。

例えばある家庭で相続が発生したとき、相続人の一人が10年以上前から音信不通であったとします。

所在を探ろうにも戸籍や住民票は当時の現住所のままで、実際にどこに住んでいるか分からず消息不明であったとすれば、その相続手続きはそれ以上先に進めない事になってしまい、他の相続人にとって大変な弊害が生じてしまいますよね。

そこで法律では、一定の要件を満たしたときに限り、その行方不明者を死亡したものとみなす制度=『失踪宣告』を設けました。

失踪宣告によって行方不明者は死亡したとみなされますのでそれによって相続が開始されます。

失踪には普通失踪特別失踪の2種類に分かれており、それぞれ死亡したとみなされる時期が異なるため、相続開始時期が異なってきます

 

①普通失踪

行方不明者の生死が7年間不明であるとき、利害関係人の申立によって家庭裁判所は失踪宣言をすることができます。

普通失踪の場合、失踪(行方不明になって)から7年が経過したときに死亡したとみなされ、その日が相続開始日となります。

 

②特別失踪

特別失踪は震災戦争船舶の沈没などによって生死不明となった者が対象とされます。

特別失踪は、危難が去ってから1年間生死不明の場合に、利害関係人の申立によって家庭裁判所が失踪宣告をすることができます。

特別失踪の場合、危難が去ったときに死亡したとみなされ、その日が相続開始日となります。

 

≪失踪宣告の申立人≫

失踪宣告は利害関係人が申し立てることができます。

利害関係人とは不在者の配偶者相続人にあたる者財産管理人受遺者などの失踪宣告を求める法律上の利害を有する者をいいます。

 

≪申立先≫

不在者の従来の住所地又は居所地の家庭裁判所に対して申立を行います。

 

≪必要書類≫

1 申立書

2 標準的な添付書類
 ・不在者の戸籍謄本
 ・不在者の戸籍附票
 ・失踪を証する資料
※警察署長が発行する家出人届出受理証明書、返送された不在者あての手紙など
 ・申立人の利害関係を証する資料
※親族であれば戸籍謄本など

 

当法人では、相続に関する制度について何もご存知でなくても、ご相談時より一から丁寧にご説明させて頂きまして、書類の収集代理・提出書類の記入代理も致します。

また失踪宣告によって相続が開始しますので、その後の相続手続きまで一連のお手伝いを包括的にご対応することも可能です。

お困りの方は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズにお気軽にご相談下さい。

 

 

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遺言書に記載すべき特記事項② (2020.11.11)

【遺言書に記載すべき特記事項②】

1.遺言執行者の指定
2.予備的遺言(補充遺言)
3.相続させる文言への読みかえ規定
4.負担
5.付言事項

前回のトピックスで遺言に記載すべき特記事項①(上記1~3)を取り上げました。

⇒【遺言書に記載すべき特記事項①】

今回はその②ということで、上記の4、5をテーマにお話したいと思います。

 

4.負担

皆様は負担ときいて何を連想しますか?

例えば、「会社内で自分にばかり重い仕事が降りかかってきて、負担に感じるなあ。」など、このようなときに使われている気がします。

負担とは、法律上は、法律行為の附款と定義されており、いわば条件のようなものです。
(遺言に条件という文言を入れると、実務上、遺言執行がかなり煩雑になるので、この負担という文言を用います。)

もう少し具体的に言えば、『この財産をあげる代わりにこういったことをしてほしい』、という時に使っていきます。

実務上、遺言の中で多く使われるケースは、

一.全ての財産を長男に相続させる
二.前項の負担として、長男は遺言者の妻◯◯の一生涯、介護扶養をしなければならない

といった表現です。

実際にそのようにして欲しいからという場合もありますが、何の負担もなしに全ての財産を長男に相続させると、後々に二男たちと遺留分争いになる可能性がある時などに、わざわざ上記の文言を入れたりします。
(もちろんケースバイケースではありますが)

家督相続で全て長男が遺産を相続していた旧民法時代は、この負担が当然に盛り込まれていたと解されており、権利を引き継ぐものが義務も引き受け、一族の大黒柱として遺産を承継できなかった弟たちの面倒を見るのが通常でした。

その為、遺産相続で争いに発展したことはないと言われています。

権利は主張出来るが義務は履行しない、という現代の遺産相続においては、遺言を作る際、上記の負担を本文に入れておくのも一つの対策と言えます

万が一、遺産を承継する者が負担を履行しない場合他の相続人から家庭裁判所に請求をして遺言を取り消すことができる強力な義務なので、遺言を遺す方にも安心と言えるでしょう。

 

 

5.付言事項

付言事項とは、遺言の本文以外の部分に載せるメッセージのことをいいます。

遺言本文には法的効力があるものを記載していくのですが、この付言事項には法的効力がありません

しかし、遺言者の相続人へ宛てた最後のメッセージとして、下記のようなことを記しておけば、無用な争いを防ぐ効果があります

 

「二男◯◯には生前に自宅購入代金として、1000万円贈与しているので、今般の相続では長男に全てを相続させることとしました。
長男◯◯も二男◯◯も私の宝物でした。
今でも長男◯◯、二男◯◯が生まれた時のことを覚えています。
ですので、私亡き後は兄弟で争いをしてほしくありません。
父の最後の遺志をくみ取り、遺言通りに手続きをしてもらえることを願っております。」

 

いかがでしょうか?

日本人は面と向かって意思表示をすることが非常に苦手です。

遺言でこういったメッセージを残すことで、もしかしたら争いを防ぐことができるかもしれません。

また万が一、遺言無効確認の訴えに事が発展した場合にも、遺言を作るに至った経緯やその時の背景事情を記しておけば、遺言者の真意がどこにあるか等、遺言作成当時の有力な事実を推測することに役立つと言えます。

 

当法人では、何故遺言を書くのか、その方の置かれた背景事情や家族関係、遺留分のこと等を踏まえ、オーダーメイド型の遺言文案を提案することを心がけています。

相続対策でお悩みの方は是非一度、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまでお気軽にご相談下さい。

 

 

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法定後見制度の注意点③ (2020.11.05)

【法定後見制度の注意点③】

 

前回2回に渡り、成年後見制度の利用開始に際して良くご質問されること、誤解されている方が多いと思われる点についてご紹介させていただきました。

⇒法的後見制度の注意点①はこちら
⇒法定後見制度の注意点②はこちら

≪内容≫
1.後見人候補者が必ず就任できるとは限らない
2.申し立ての準備から就任まで時間がかかる
3.本人と口約束でした契約や贈与は、履行が果たされない場合がある
4.後見申立の取り下げには許可必要
5.後見人が就任した場合、被後見人が意思能力を回復するか死亡するまで継続する
6.後見人が就任した後に、後見人を交代させるには条件がある

今回も引き続き、注意点についてご紹介させて頂きます。

 

7.後見が終了しても管理していた財産は後見人のものになるわけではない

例を挙げてみましょう。

被後見人A(夫は既に他界している)の長男Bが、Aの後見人に就任し、預貯金の一切をBに渡し、日常的に必要な金銭をAの預金から支払っていたとします。

Aはしばらくして病気により死亡しました。Bには、弟のC(Aの子)がいます。

この場合、被後見人死亡により、後見は終了します。しかし、既に預かっているAの預貯金はBのものになるわけではなく、相続財産としてBとCが相続することになります。

BがCから相続権を主張された場合、法定相続分(Aの財産の半分)については渡さなければなりません

後見申立の相談を受けていると、「後見人になった者が財産をもらえる」と考えている方がいらっしゃいます。

しかし被後見人の財産は、後見人が被後見人のために預かっているに過ぎず、被後見人死亡による後見終了後は、全て「相続財産」として相続人に引き渡されることになります

 

8.後見人であったからといって相続時に有利になるわけではない

被後見人に相続が発生した場合、相続人が財産を取得する旨は上記7で述べた通りですが、後見人が相続の際に有利になるとは言えません

後見人であった者の相続権が、他の相続人より多いとの規定はないからです。

また例えば上記7の例で、後見申立の際に、「Aと同居しているBが後見人となり、Aの面倒を見る代わりにCは相続を放棄する。」との念書をCに書いてもらったとします。

しかし、被後見人の生前に相続放棄の念書を書いたとしても、これには何ら法的拘束力はありません

これは民法915条に、相続放棄をする場合には「相続があったことを知った時から3か月以内」に行う旨が明記されておりますので、あくまで「死亡後」に手続きをすることが前提となっており、被相続人が死亡する前に相続放棄することはできないからです。

それどころか、Cから「後見人としての管理が悪かったから、相続財産を無駄にした」と不当な因縁をつけられてしまうこともあるようです。

家庭裁判所に求められるか否かにかかわらず、後見終了時に争いにならないように、後見人として被後見人の財産を使った場合には、全て領収書等を保管しておくことが望ましいと思います。

 

9.後見人になったとしても本人の行為すべてを代理で出来るわけではない

後見人は、被後見人の財産を管理し、財産に関する法律行為についてのみ、被後見人の代理行為ができます

言い換えれば、一身専属行為は代理することはできません

一身専属行為とは、一身に属するという文字のごとく、いかなる場合も他人には行えない、本人のみに行える行為ということです。

例えば、結婚や離婚等の行為や、養子縁組、認知等が挙げられます。

これらの行為は、いかに後見人であろうとも、本人が決定すべき事柄であり、後見人が口を出すことを認めるべきではないからです。

また、「遺言」も一身専属行為とされているため、後見人が代理で行うことはできません。

ご相談を受ける中で、母が認知症になってしまい、母亡き後の財産の処分方法について法定相続に従うと不都合があるため、自分が後見人となって遺言を書きたいとおっしゃる方がいらっしゃいますが、これはできません。

被後見人となった後も遺言を書くことはできますが、判断能力が一時的に回復していて、医師2人以上の立会のもと、事理弁識能力のあることを確認できた場合にのみ行うことができます

遺言等の生前対策は、認知症が心配になる前の元気なうちに行っておきたいですね。

 

司法書士法人鴨宮パートナーズでは、後見制度の注意点等も踏まえ、最適な制度の利用方法のご提案をさせていただきます。

少しでもご不安な点ございましたら、是非ご相談ください。

 

 

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相続人以外に財産を残すには?①~特定遺贈~  (2020.11.04)

【相続人以外に財産を残すには?①~特定遺贈~】

以前のトピックスにて、相続人の順位等を取り上げてきました。

【法定相続人とその見分け方】
【相続開始時における不動産調査】

相続人がいない方の財産は、遺言等で承継先を指定していない限り、相続人不存在となり、国庫へ納められます

これを回避するのに有効なのは、遺言書により、相続人以外の方へ財産を承継する方法です。

これを遺贈といいます。
※相続人がいる場合でも、相続人ではない方へ遺言を利用して財産を承継する事も遺贈といいます。

受遺者(財産をもらう方)は個人、法人問わず、自由に選択することができます。

遺言は契約や財産を渡す側・もらう側双方の合意を必要とせず、財産を渡す人の一方的な行為であり、これを法律上、単独行為と言います。

遺贈はその指定方法の違いにより「特定遺贈」・「包括遺贈」に分かれます。

今回のトピックスでは、「特定遺贈」に焦点を当ててご説明いたします。

 

<特定遺贈とは?>

特定遺贈とは遺言者が受け渡す遺産を特定する遺贈方法です。

○○に、A建物を遺贈する。」など誰に何を渡すかを記載します。

ポイントは遺産のうち、どの財産が遺贈対象物なのか、具体的に特定できる必要があるということです。

したがって銀行預金であれば金融機関名、支店名、預金の区別(普通・定期・当座)など口座番号を明記します。

特定遺贈の場合は、遺贈者の借金などのマイナス財産を引き継ぐことはありません

 

<遺贈の放棄>

特定遺贈の場合、意思表示をすればいつでも放棄が可能です。

ただし、例えば特定遺贈の他に相続財産がある場合、受遺者の意思がいつまでもはっきりしないと相続人関係者は遺産分割ができませんので、相続人等の利害関係者は受遺者に対して特定の遺贈を承認するか放棄をするかの確認の催告をすることが可能です。
(『催告』とは、相手方に対して一定の行為を成すように請求する事を言います。)

ここで受遺者が決められた期間内に回答しない場合は、承認したものとみなすことができます。

また、一度行った承認・放棄は撤回できません。ただし、制限行為能力者、詐欺・強迫を理由として承認・放棄の意思表示を取り消すことはできます。

なお、遺贈にて取得した不動産は、3年10カ月以内に売却すると、譲渡所得税を軽減する事ができます。

 

いかがでしたでしょうか。今回は「特定遺贈」に焦点を当ててみました。

次回は「包括遺贈」についてご説明いたします。

冒頭でご説明しました通り、相続人がいない場合、何もしないでいると、ご相続発生時に、ご自身の大切な財産が国庫に流れてしまう事になります。

『お世話になった友人に財産を譲りたい。』『ライフワークとして活動していたボランティア団体に寄付したい。』等、当法人にも様々な想いを寄せられるご相談者様がいらっしゃいます。

遺言・遺贈のご相談は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまでお気軽にご相談ください。

 

 

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